西武新宿に到着した2403編成+2009編成 |
■西武新宿線といえばこれ
二段窓の西武2000系初期車は新宿線系統専属の形式だ。だから、筆者は「西武新宿線」というとこの2000系電車の姿をまずは思い出す。昭和52年(1977年)から走り始めたこの電車は筆者が沿線で過ごした子どものころから走っていた。もっとも、導入当時は3ドア車の701・801・401系電車が優等列車運用に入り、当初6両固定編成しかなかった2000系は、もっぱら各駅停車として走っていた記憶がある。
その後、8両固定編成や編成組み替えで余ったクハを改造した2両固定編成(2400番台)が登場して、いかにも西武鉄道らしく2連や6連をあれこれと組み合わせて優等列車入りするようになり、さらに足回りや20メートル4扉という基本仕様が同じながらもスタイルを変えた増備車4連が登場した。それもなぜか3M1Tという不思議な仕様で。この増備車が増えるに従い、2連、6連、8連をさまざまな組み合わせながら、いまでも縦横無尽に走り回っている。
ただし、初期車は新宿線系統でしか運用されない。西武球場前行き臨時をのぞいて、まれに池袋線や狭山線内運用に貸し出されることがはあり、そうなると西武ファンの「祭り」になる。西武で一番製造数が多い形式はいまや2000系と新2000系を組み合わせた2000系シリーズなのだそうだ。
■あたりまえすぎてきちんと写していなかった
仔細に観察すればベンチレーターの違いや方向幕の有無なども登場時から存在したものの、地味な運用入りのせいか、それとも筆者が「西武3ドア車命」すぎたからか。2000系シリーズは筆者にはいまひとつおもしろみが感じられないでいたので、最近になって登場時のスカートなしの姿や灰色Hゴム、側面方向幕がなかくパンタグラフも置き換わる前の姿、あるいは2400番台の2連がチョッパ制御車なのに旧型のAK-3コンプレッサーなど、それらを撮った写真がほとんどないことに気づき、少しだけ後悔している。こればかりは仕方がない。
その2400番台の2連はすべてスカートを装備し、シングルアームパンタグラフになり、行き先表示がLED表示になった。ところが、どういうわけか昨年秋に検査出場した2403編成だけが方向幕に戻された。とても不思議な存在だ。数年前までは2413編成が唯一AK-3コンプレッサーを残したままの不思議な存在だったのに。もしかして、西武の社内に「2400で遊びたい人たち」がいるのだろうか。そんなはずはないか。
■初期車だけの8両編成を見て追いかけた
さて、地元駅まで散歩に出た夕方のこと。駅前の踏切で目の前を通過した上り電車を見て驚いた。2403編成が新宿方(つまり前パン)で、しかもそれに続く6連が貴重な幕車だったのだ。前パン+オール幕車で2000系だけの8連!
オール幕車の8連でしかも前パン! |
新宿線のことをご存知の方ならご理解いただけるだろうか。じつは、「2000系初期車だけの8連または10連」それも、2400が新宿方に連結されているケースというのは、新宿線でもなかなか見ることができない。新宿線の2400の連結位置は、池袋線とちがって外部から見ると法則性が見いだしにくい。池袋線なら2連は新2000系電車でも30000系電車でも必ず飯能方に連結して、いわゆる「前パン」になる。むかしは必ずしもそうはならなかったようだけど、いまは必ずそうなる。新101系もそうだった。ところが、新宿線の場合は「わりと本川越方になることが多いけど、ときどき新宿方にも連結される」としかいいようがないのだ。南入曽および玉川上水と上石神井の中の人、どうなっているのですか!?
各停田無行きとして出発 |
後続の急行で追いかけてもう一度 |
この日は2400前パンの編成はこれだけではなかった。しかも、ただ前パンなだけではなく、「2000系初期車同士」「すべて方向幕車」という係数がかかるとレア度はかなり高いのだ。幕車を撮りたかったら、国分寺線内運用の6連を狙うほうが確実なほどだ。というわけで、これはいかん! とばかりに散歩を取りやめて思わず西武新宿まで後続の急行で追いかけてしまったというわけだ。
ほらね、オール幕車! |
【撮影データ】
Nikon 1V1/1Nikkor 10.5mm f/2.8/RAW