2011年5月16日月曜日

【2011年5月流鉄流山線撮影記事】若葉の季節にさようなら。流鉄3000形「若葉」こと最後の元西武101系低運転台編成 その2



■『若葉』午後の部

午前中になん往復か鰭ヶ崎や小金城趾付近で撮っていたけど、集中力も切れ空腹になったので、若葉に「惜別」札が下がったところでひと休みすることにした。考えたら、新松戸まで武蔵野線に乗ってきて目の前の幸谷から歩いたので、まだ流山線の電車に乗っていない。そこでせっかくだからと、鰭ヶ崎から電車で幸谷まで戻ることにした。



■「日曜日にこんなに混むなんて」
馬橋行き若葉に乗る。南流山にも新松戸(=幸谷)からそれなりに離れているために鰭ヶ崎から乗ってくる一般の乗客がそこそこいる。流山から来た電車の車内には鉄および電車好きの子どもを連れた親子連れで座席が埋まっていて、鰭ケ崎から一緒に乗り込んだ一般の乗客のみなさんは、その混雑ぶりにいちように驚いた顔をする。日曜日にこんなに客が乗っているのは久しぶりだね、とか話す声がした。


車内のクリーム色の化粧板が懐かしい。広告枠のスペースにはパチンコの広告がわずかにある以外は空っぽ。パチンコの広告も震災前に比べて減っている。

■親子連れが多いのもいい感じ
流山線のさよなら運転では小さい子どもを連れた親子連れの姿がいつも多い。みんな思い思いに若葉に揺られて楽しんでいるようだ。全線乗っても15分弱だから、気軽なショートトリップだ。そう思うと、午後からは車掌や沿線の様子をもう少し写したくなった。

ゆっくり昼食をとるはずが、幸谷駅そばのファストフード店でそそくさと食事をして、さっき乗ってきた電車の返しに乗ってふたたび鰭ヶ崎まで戻ってきた。鰭ヶ崎駅そばから平和台へ至る切り通し(の跡)は、流山行きを撮るには雑草が伸びていて脚立がないとうまく撮れない。そこで、踏切そばで何度か撮る。

列車通過直前に撮影者が集まってきた。狭い場所なので、みんなでポジションを調整し合い「頭の隙間からレンズを出すから」と言い合う。先日の秩父鉄道ウグイスの撮影(2011年2月の秩鉄1009編成の引退イベント)でお会いした方とも再会して、秩父の話をしていたら、小学生の二人組、中学生とおぼしき集団がしきりと某巨大掲示板の話をしている。京葉線の201はもう2本だけだからな、とか。情報は検索エンジンをかけまくって調べると、ナントカ板やブログにヒットするから、そこで調べるんだよ……なんて。




■男の子って
それにしてもどうして男の子って仕入れたうんちくをみんな語りたがるんだろう。もちろん、そんななれの果てがみなさんの目の前にいる私や、女性のみなさんのパートナーなのだが。我が子も私が教えたことをすぐさま母親に自慢げに語るし。そういう様子がオンナに笑われるんだぜきみたち。でもね、オヤジっぽいことを言えば、幼児や小学生や中学生の「語り」ってほんとうにかわいいけどな。そうこうしているうちに若葉が通過。正面を撮ったあとで、速攻で駅に止まる列車を望遠で狙う。狙うは車掌のいる光景。そしたら……フレームの中にさっきまで隣にいた子たちが入ってきて、横で撮影していた方と思わず吹き出した。おかげで「さよなら運転」らしい絵が撮れた。

さて、このあと平和台まで歩こうとして……道がわからなくなった。というのも、鰭ケ崎からの切り通しを出て陸橋を抜けたあたりで道路は線路と平行しなくなる。どこかなあ、と道行くお孫さんを連れた女性に平和台へ至る道を聞いたら、冷たいお茶をいただいてしまった。いわく、あたしの息子(自分たちの母親くらいの年齢である)もさんざん電車を撮っていたのよ。お茶でもいかが。あたしのうちはすぐそばだからちょっと待ってて! だなんて。「カメラ好きの変なのがいるなあ」と思わないで親近感を抱いていただいて感謝です。

この沿線に来るといろいろ声をかけてもらえるのがありがたい。これからも、沿線住民のみなさんに私たち鉄が嫌われないようにしないとな。もっとも、すれちがったり撮影ポイントで一緒になる同業のみなさんとも、短い路線で何度も合うからか、自然と話すようになることが多いように思う。こうして心地よく撮影できるのがいい。



■入庫する列車を撮っておしまい
平和台で14時55分馬橋発流山行きを撮ることにした。これが若葉の最終運用だ。やって来た列車を見ると、種別表示札が「惜別」から「若葉最終」になっていた。西武の「通勤準急」の札のデザインで、じつに凝っている。「快速急行」などの4文字の列車種別で用いるものだ。「若葉」という各編成の愛称のロゴがイタリックなのも昭和の雰囲気。

この列車で流鉄の3両編成も車掌乗務列車も方向幕の電車も最後だ。そして、西武101系低運転台型の営業運転もこれでほんとうの最後。


電車はゆっくり平和台を出発していく。車掌が駅員に挨拶を送る。いろいろなカメラで撮る人たちにかこまれて、最終列車は流山へ出発。ここから見える流山ではこのあと入れ替えやセレモニーがあるようだけど、私はここで引き上げた。

あちこちでいろいろな「さよなら」を催してもらって、いろいろと幸せな電車だったのではないか。流鉄関係者のみなさんや沿線でお会いしたみなさん、どうもありがとうございました。

【撮影データ】
Nikon D2X /AI AF Nikkor 35mm f/2D, AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>, AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW+JPEG/Adobe Photoshop CC