2017年11月21日火曜日

【秩父鉄道SLパレオエクスプレス撮影記事】荒川橋梁にて


■SLパレオエクスプレスを待つあいだにも楽しさがある
秩父鉄道に出かける楽しさは、SLパレオエクスプレスを待つあいまにもある。などということは、ここにお越しになる鉄のみなさんならおわかりだろう。電車はもちろんのこと、武川から武州原谷、平日や土曜日なら影森までの区間を走る鉱石貨物列車を見ることもできるから、飽きない。秩父鉄道の鉱石貨物列車は、いまとなっては貴重な私鉄を走る貨物列車でもある。

SLパレオエクスプレス5002列車をどこで撮ろうかということは、事前に決めてあった。広くて撮影者の人数が多くても困らない荒川橋梁にしようと思っていた。ここでも何度も撮っているけれど。いまは河原の木々の紅葉するようすを眺めるのも楽しい。


■人出が多いときはそれに応じて
いまは紅葉がさかりで、撮影者は多い。そうして結局は逆光側に回って紅葉をいっさい活かさない絵にすることに。紅葉は紅葉でいいのだけど、画面をシンプルにしたいから。ここで列車もいれて紅葉を美しく画面に配置して、さらに空や川面も……などと画面に複数の要素を盛り込もうとすると、少なくとも私にはうまく扱いきれない。こういうときは心を鬼にするくらいの気持ちで(おおげさな)紅葉した木々のことはすぱっとあきらめるほうが、精神衛生上も仕上がりもいいと思う。河原の紅葉をうまく活用するならいっそのこと、山の上から俯瞰撮影でもして、列車は画面内で小さく扱うほうがよさそう。

とはいえ、ここしばらくは水量が多く、長靴がないといつも撮影している場所には近づけないので、いろいろと工夫をした。


■観光客のみなさんとSLパレオ撮影大会
列車が通過する15時頃になると撮影者以外のひとたちも増える。私が待ち構えているすぐそばには観光客らしきひとたちがセルフィーの撮りっこをしていたので、大きなお世話かもしれないけれどなあ、と思いながら「5分以内にあの橋にスチーム・ロコモティヴ・トレインがくるんだよ!」と教えた。そうして、みんなでならんで撮影大会になった。

ちなみに、その観光客のみなさんはどうも日本語がよく通じないので英語でたずねたところ「秩父にははじめて来た」というアジア諸国からの観光客のみなさんだったそうだ。秩父の楽しい記憶がひとつ増えたならいいなあ。「秩父では冬から5月の連休まではストロベリー・ピッキングもできる」「トウキョーから近いわりに、日本の我々から見てもカントリーサイドのアトモスファーが残されている」などとお話をしたので、今後も秩父を楽しんでくれるといい。

それにしても、この場所で何度も何度もパレオを撮影しているのに、列車の通過直前になると緊張がいつも同じように高まるのはなぜか……ああそうか、橋梁の前後の木立に隠れていることと水の音のために列車が姿を現すのが直前までわかりにくいからだ。橋梁では列車は減速するから準備していれば撮り逃すことはしにくいはずとはいえ。

■手を振ると楽しそうに返ってくるところがおもしろいよね
そうして15時すこし過ぎにSLパレオエクスプレス5002列車は橋梁を通過した。ゆっくりと走りながら汽笛を鳴らす。この瞬間に私はいつも「きゅん☆」と萌える。おじさんなのにぶりっ子みたいですみません。「ドキドキする」と書けばいいんだな。三脚を立てているので、私は片手でレリーズしながら、空いている方の手でカメラをぶらさないように、静かに大きく手を振った。ほかにも河原で手を振るひとたちがいる。

すると、それに気づいた乗客のみなさんが手を振り返してくれた。画像を拡大再生するとそのようすが写っていて、私もうれしくなる。私が秩父でこの荒川橋梁やパレオを写していて楽しいなあと思うのは、車両だけではなくて楽しそうなひとたちを写せることなのだ。楽しそうな雰囲気も写せるのが、こちらも楽しくていいんだ。



もちろん、鉄ヲタ的には鉱石貨物列車にも楽しませてもらった。なにしろこの日はデキ105やチョコバナナデキもデキ108も走る、ネタガマ総出演の日だったからね!

【撮影データ】
Nikon D7200/AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>/RAW/Adobe Photoshop CC