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給食センターそばの踏切から道明寺方を見る |
■レッツゴー・道明寺!
そんなわけで、奈良盆地を目指さずに、ある日近鉄南大阪線道明寺駅で降りた。まずは駅前を歩いてみる。たまたまやって来た……ごめん、もうじきやってくることがわかっていた「青の交響曲(シンフォニー)」などの南大阪線の列車を写した。数ブロック歩いて道明寺まで行こうとした。ところがこの日はじつに蒸し暑くて……駅から近い道明寺天満宮にお参りしただけだ。蒸し暑さにはほんとうに参ってしまう。
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同じ場所から柏原方 |
「道明寺天満宮」とは神社なのにお寺の名前を冠するんだな、と思っていたら、明治時代に神仏分離が行われたとのこと。ひとつ手前の駅は土師ノ里(はじのさと)といい、土師氏とは菅原道真の先祖であること、古墳の埋葬時に家来を殉死させずに埴輪を使うようにしたのはどうやらその土師氏の発案であるらしいこと、道明寺は尼寺であること、保存食として作られ、いまでは桜餅やおはぎに使う「道明寺粉」というものがあること、その道明寺粉を使った桜餅はあずまびとの私が知る桜餅とはことなり、つぶつぶの食感が楽しめることなど、そのときはまったく知らなかった。知っていたら歩いていてもっと楽しめたかもしれない。こんど歩くときはそんなことに思いを馳せてみよう。そう、このあたりは町を歩いてみるの楽しそうだから。
■そうして線路沿いに
道明寺線沿いに出て、石川の堤防上の道路を歩いた。そばを走る線路はなかなかいい雰囲気だ。しかも、ここを2両編成の電車がコトコト行き交うのだ。こりゃあいいなあ! とホクホクする。なぜ2両編成がいいのか、ほんとうに説明しづらいな……1両編成(単行)は路面電車や旧型電車、大型のディーゼルカーなら好きだ。
けれどですね……日本の電車はたいてい最低の両数が2両編成だ。もちろん単行運転を行なっている電化路線もある。それはもっと人口希薄地帯で、路線バスのようにフリークエントサービス(運転本数の多い運行形態)を行う路線のはず。そういうところはしばしば風光明媚(かつての鶴見線や小野田線をのぞく)な場所ではあっても……私にはひとが少なすぎる。病院に行くご老人と通学の高校生、あとはヲタしか乗っていない路線では、少々さみしくなってしまうのだ。
道明寺線を走っているのはワンマン運転対応された2両編成の電車で、御所線と同じ車両だ。かつては、もっと古い電車が走っていた頃はなお魅力的に見えたかもしれない。とはいえ、いまの6432系電車はこれはこれでカッコいい。下枠交差式のパンタグラフが2つ乗っていて機関車みたい。
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対岸を近鉄大阪線の特急と関西本線の201系が走るよ |
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大和川の人道橋 |
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道明寺線の橋梁 |
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ほら、727 Cosmeticsがある! |
さあ、いよいよ大和川橋梁にたどり着いた。ここに来ようと思ったのは、鉄道橋と人道橋が並行していて、人道橋から鉄道橋を見ることができるから。そして、人道橋から鉄道橋を夕方見ると逆光になるからだ。つまり、私が好むシルエット撮影ができそうに思えたから。シルエットで撮ってばっかりやなあ、カメラのおっちゃんは。
下流を見るとずっと遠くまで家並みが見える。列車にそれがかからないようにするのはちょっと工夫が必要だ。そう思うと河原や土手から撮るほうがいいかもしれない。
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もう少し高さを下げて撮りたいんだ |
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座り込んでこんなのを撮ってみる。押井守のアニメふう |
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85mm相当でもねらった |
そこで、しばらく人道橋の上に座り込んで列車を待った。道明寺線はかつては日中は10分おき運転だったそうだ。いまはそれが30分おき……意外と待たされる。そうしているあいだに、大和川の対岸を見ると関西本線や近鉄大阪線の列車が行き交うのが見える。
そもそも、奈良盆地からはこの大和川を使った水運が盛んだったにちがいない。関西本線(当時の大阪鉄道→関西鉄道)がそれにとって代わり、それに接続するためにこの道明寺線も、あるいは奈良盆地の桜井線だって敷かれた。けれど、いまや物流の主役はトラック輸送になって……などと自分には見当もつかないようなロジスティックの歴史の変遷について考えていると今回もまた通りかかったおばちゃんに「どうしたん? しんどいんちゃう?」と話しかけられた。橋に座り込んでいるのだから、たしかに不審者だなあ、私。
■柏原南口駅もまたよし
撮影を終えて橋を渡ると、すぐ目の前に柏原南口駅があった。これもまたこぢんまりとした雰囲気が素敵だ。蒸し暑さに耐えかねてやって来た列車にそそくさと乗り込んで道明寺まで戻ってしまったけれど、こんどはこの駅もうまく撮ってみたい。道明寺線、なんかいい!
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柏原南口駅もいい感じ |
追記:新幹線から見える「
727 Cosmetics」(株式会社セブンツーセブン)の本社工場は柏原にあるんだね!
【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH., LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S./Adobe Photoshop CC 2019