2020年4月25日土曜日

【カメラ機材の話】AI Nikkor 85mm F1.4Sで撮る2020年春の日々


■今年の桜は安・近・短で
「人生のあらゆるものは予期しないものごとばかりだ」とはアンドレイ・タルコフスキーの映画『僕の村は戦場だった』(1962年)のなかに出てくる台詞だ(たしか……うろ覚えだけど)。2020年の春が私も含めてこういう状況になるとはほとんどのひとが予想しなかったのではないか。

だから今年の春はもっぱら自宅周辺で春の訪れを愛でて……あれれ、いつも同じだわ。ここ数年は春先に遠出をしていなかったんだった。あは。今年は私自身は元気いっぱいだけどね。どこにいても私はけっこう楽しいのかも。




■Nikon Dfでなにかを毎日撮っているよ
さて、昨年末にようやく手に入れた、というかむしろ「手に入れてしまった」Nikon Dfに慣れるためもあって、なにかを家のなかや家の周辺で毎日写しているのはやめていない。たとえば自宅から見える窓辺の景色や空、午後の光が差し込んでできるなにかの影とか、ささやかなものばかりを写しているということ。ここでお見せするのはソメイヨシノが私の住むあたりで開花した、ちょうどひと月ほどまえの写真だ。

Dfにつけて使うのはもっぱらAI Nikkor 85mm F1.4SかAI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dだ。85mmをもっと使いたいけれど、35mm一眼レフ用レンズなので最短撮影距離が85cmだから、思うような近接撮影はできない。そこで、近接撮影をしようというときはAI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dの出番だ。

それでも、85mmはとくに楽しくてたまらない。被写体の全体像を見せて説明的に写すのではなく、一部だけを切り取って見せる使い方がいまやいちばん気に入っているから。それに、30年前に買ったレンズをようやくきちんと使えるようになったというのもなにやら痛快だ。





そして、絞り開放での85mmのパープルフリンジが出てフレアっぽい感じも気に入っている。DfとマニュアルフォーカスのAI-SニッコールレンズやDタイプニッコールレンズで満足してしまうところを見ると、どうやら私は「画質」への要求水準があまり高くはないのかも。もちろん、絞り開放でも端から端まで高画質に写る最新機材も大好きだし、業務の撮影ではそういう機材のほうが気を使わないで済むかららくちんなのだけど。

Nikon D850またはNikon Z7、LUMIX S1R、Sony α7RIVあるいはSIGMA fpと最新のレンズも使いたい。そりゃあ興味あるだろ。けれど「自分のための写真」はいささか古びた画質ではあってもNikon Dfでもじゅうぶん楽しい。あれだ、適材適所というやつだ。どんな道具でも使いこなしかたを見つければいいのだ。

■「人生においてはすべては一時的なものだ」
さて、ロシア語で冒頭の台詞をグーグル検索していたら「人生においてはすべては一時的なものだ」という台詞にヒットした。いまはそんなつもりでこの事態を乗り越えていこうぜ。たいていのことはなんとかなる。

【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 85mm F1.4S, AI AF Nikkor 300mm F4S ED (IF)/RAW/Adobe Photoshop 2020