■熱心な航空ファンとはいえないけれど
自分はけっして「熱心な航空ファン」とは口が裂けてもいえない。遠くの空港や基地に特定の機種の写真を撮るためにでかけるほどの熱心さはないから。エアバンドを聞くことも航空無線の用語や自衛隊用語を使って会話をすることもしない。生半可にしか知らないので私めなどがそうするのは、ガチ勢のみなさんに失礼に思われろうだし。
それでも航空機を見るのも写真に撮るのも好きだ。乗るのは正直にいうとときどきちょっぴりこわいなと思うものの、乗る機会があればわくわくする。
何度か記事にしているように、この10年ほどは私はたまたま航空自衛隊の基地近くに住んでいるので、平日は毎日のように航空機が飛び交うさまを目にする。風向が季節によって変わるので、離陸方向や着陸方向を見て季節の推移を知ることもある。
散歩に出るときには天気や風向によっては航空機の撮影もできるコースにすることも多い。空模様だけを写すよりも、画面内にアクセントとして航空機を写し込みたい。そのほうが空のスケールの大きさも表現することができると思うから。
■「航空機が好き」というよりも「YS-11が好き」なのかも
そして、近隣の基地にはたまたまYS-11シリーズが残されている。少し古めかしいものを好ましく思う私には、もともと旅客機であったYS-11は魅力的に思えた。旅客機として用いられているときに乗ったことはないし、古臭い飛行機だと思っていたのに。ここでそのYS-11シリーズを撮るのは、小柄なT-4練習機よりも機体が大きいので絵になるように感じたからだ。速度が遅いところも撮影しやすい。
私自身は軍用機よりも輸送機や旅客機のほうが好きだ。だから旅客機のように見える機体を好ましいと思う。半逆光やシルエットで撮ることが多いのは私自身はスポッター的な「どこどこ航空なになに形をA空港でとらえた」というわかりやすい記録写真が撮りたいわけではなく、むしろ自衛隊機かどうかよくわからない写真にしたい。
これは私のふだんの鉄道撮影とも同じだ。「どこどこ鉄道なになに線なんとか形がA駅とB駅のあいだを走る記録」ばかりを撮りたいわけではない。私が撮りたいのは「列車の走る風景」だ。逆光やシルエットでの撮影はそういうときに対象を単純に見せる技法だ。
逆光やシルエットでの撮影方法を身につけておくと、特定の車両がなくてもその鉄道路線を魅力的にとらえることができる。それでも「あの車両がくるとなおいいなあ!」と車両に拘泥するのは私がヲタだからだ。あはは。自分独自の写真にするというのは頭をひねらないといけないね。そこも写真術のおもしろさかもしれないな。
■原型エンジンのFCが好みだけど3枚ブレードのEAも好み
YS-11「シリーズ」という書き方をしたのは、いくつかの種類が存在するからだ。すでに、旅客型だけではなく海上保安庁、自衛隊などの輸送機型や要人輸送用の機体は退役してしまったものの、何度か書いているように航空自衛隊の飛行点検隊(フライト・チェッカー・スクワッド)に所属して赤と白のツートンカラーとチェックの模様をまとい、エンジンも原型のロールス・ロイス製「ダート」ターボプロップエンジンのままでプロペラが4枚ブレードのFCとよばれるタイプがもっとも好ましい。
ただし、2021年1月現在では機体番号52-1151(151)の1機のみになり、遭遇機会が減ってしまった。以前記事にした160号機も解体されるために基地内の解体場所にいる。
これらYS-11EAと同EBはP-2Jから転用されたゼネラル・エレクトリック「T64エンジン」(石川島播磨重工業でライセンス生産されたもの)に換装され、3枚ブレードのプロペラになった「スーパーYS」とよばれる仕様だ。ロールス・ロイス「ダート」とはエンジン音がことなる。どちらも特徴的な音なので、慣れると音で識別できる。
基地の近隣に住んでいるという地の利を生かして、ひとが集まらない場所で少しずつ撮っているものの、なかなか撮り貯められない。ほかのひととそっくり同じ写真を撮ってもつまらないと考えているので、もともと、すぐ隣にひとがいるようなところで写真を撮らないけどね。とにかく、これらスーパーYSも後継機が決まっているようなので見かけるたびに撮っている。列車のようにきまったダイヤが明示されているわけではないから、撮りためるには時間がかかる。
【撮影データ】
Nikon D7200, Sony α7II/AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF), AI Nikkor 85mm F2S/RAW/Adobe Photoshop CC 2021