KIEV-6SとMC ARSAT (VOLNA-3) 2.8/80の基本セット |
■秩鉄沿線をKIEV-6Sで撮る
秩父鉄道を訪れたときの話をしよう。あれは、7500系電車7505編成の試運転中のことだった。高崎線沿線にある「ダーチャ」(ロシア語「別荘」。ここでは「バリニッツァ」「ゴシピタリ」「ポリクリニカ」の比喩)の帰りに熊谷まで出てから秩父鉄道に乗り換えて、KIEV-6Sを持って荒川桜堤の駅に降り立った。
KIEV-6Sはブローニーフィルム(120サイズ)のフィルムを使う、6×6フォーマットのペンタコンシックスマウントを持つ一眼レフだ。見かけはもちろん大柄だ。けれど、ペンタックス67やマミヤRZおよびRB67などに比べたら、標準レンズであるMC ARSAT 80mm F2.8やVEGA-12 90mm F2.8だけをつけて持ち歩くには、私にはそう重い感じはしない。けっして軽くはないけれど、中判一眼レフカメラとしてはそう重いわけではない。
KIEV-6Sはブローニーフィルム(120サイズ)のフィルムを使う、6×6フォーマットのペンタコンシックスマウントを持つ一眼レフだ。見かけはもちろん大柄だ。けれど、ペンタックス67やマミヤRZおよびRB67などに比べたら、標準レンズであるMC ARSAT 80mm F2.8やVEGA-12 90mm F2.8だけをつけて持ち歩くには、私にはそう重い感じはしない。けっして軽くはないけれど、中判一眼レフカメラとしてはそう重いわけではない。
■TTL露出計のないアイレベルファインダーが好きだ
もっとも、私が使うのは露出計のない初期形のアイレベルファインダーだ。理由は簡単で、シンプルでこいつがいちばん見た目が好きだから。
ただし、このアイレベルファインダーは通常のひとには遠視すぎる設定になっている。あちらでは眼鏡店で各自の目に合わせて視度補正レンズを購入することになっていたようだ。そこで、コンタックス(京セラ)の一眼レフ用の視度補正レンズは入れてある。それでもアイピースレンズのもともとの視度のせいで「ぐるぐる」が大きく見える欠点がある。そこは慣れるほかない。
ただし、一般的に見かけるTTLファインダーは改良されていてのぐるぐるはない。そして、OP/TECH USAの太いネオプレーンのストラップを使って軽く感じる努力もしている。
あれこれレンズを持ち歩くよりも、標準レンズ一本だけで撮影するというのは潔くて楽しい。というのは私はずっと「カジュアル中判撮影」ができないかと思い続けていたのだった。「カジュアル中判撮影」とはいま私が考えついた造語だ。
■三脚を立てて絞り込むしか使えないのだろうかと試してみた
中判カメラでは一般的には精緻なポジを得るために、大型三脚を用いて絞り値も大きくして被写界深度を深くして撮影するのが王道だ。これは、120フィルムではフィルムのあいまに裏紙をはさむためにフィルムが波打ちやすく平面性がよろしくないということと、フォーマットサイズが大きいためにレンズの被写界深度が浅いから。
あれこれレンズを持ち歩くよりも、標準レンズ一本だけで撮影するというのは潔くて楽しい。というのは私はずっと「カジュアル中判撮影」ができないかと思い続けていたのだった。「カジュアル中判撮影」とはいま私が考えついた造語だ。
■三脚を立てて絞り込むしか使えないのだろうかと試してみた
中判カメラでは一般的には精緻なポジを得るために、大型三脚を用いて絞り値も大きくして被写界深度を深くして撮影するのが王道だ。これは、120フィルムではフィルムのあいまに裏紙をはさむためにフィルムが波打ちやすく平面性がよろしくないということと、フォーマットサイズが大きいためにレンズの被写界深度が浅いから。
そこで、私が接するひとたちは自然風景を撮るみなさんが多いので、大きな絞り値にして三脚を立てて撮る使い方が主流だ。というよりも、中判カメラで風景撮影をするにはそれしかない。
とはいえ、私が撮りたいのは自然風景ではないので、中判カメラのそういう使い方は動く被写体をねらいづらくて、そればかりではおもしろくない。一般的には、鉄道写真で中判カメラを使うのは車両基地などでの形式写真、あるいはベテラン諸氏がよくされているハスキー三段+ペンタックス67による編成写真ばかりということになる。そうやってきちっと撮ると大きくプリントできるからいいのだけど。
とはいえ、私が撮りたいのは自然風景ではないので、中判カメラのそういう使い方は動く被写体をねらいづらくて、そればかりではおもしろくない。一般的には、鉄道写真で中判カメラを使うのは車両基地などでの形式写真、あるいはベテラン諸氏がよくされているハスキー三段+ペンタックス67による編成写真ばかりということになる。そうやってきちっと撮ると大きくプリントできるからいいのだけど。
1003編成オレンジバーミリオンIIが登場! |
それを知ってはいるにもかかわらず、私はもっとシンプルでカジュアルに、なんとか手持ちで軽快な装備にして、気軽に持ち歩きながら動きに対応した撮影ができないかな、とずっと考えて来た。交換レンズも標準レンズ一本だけでいい。首からカメラは提げて、あとはトートバッグやバックパックに交換フィルムとブロアーを入れて機材のセットはおしまい。
トラベラー三脚などの小型三脚をうまく工夫するのもよさそうだ。
ようは横着なだけか。でも、中判カメラでもできるだけ気軽に、かつ動きのある写真を撮りたい。そんなふうにはできないかな。そう考えていながら実行できないでいたのだ。距離計連動式の富士の645判のカメラ、マミヤ6または7、あるいはプラウベルマキナやブロニカRF645ならそういう撮影はできるのはわかっている。ところが私が所有しているのは一眼レフのKIEV-6Sだ。うーん、どうかなあ。
そのモヤモヤがとうとういやになった。昨年の暮れに気持ちがついにバクハツした。えーい、もう家にあるポジも期限切れだし、ごちゃごちゃ考えているだけではなく、やってみろ! というわけ。
ようは横着なだけか。でも、中判カメラでもできるだけ気軽に、かつ動きのある写真を撮りたい。そんなふうにはできないかな。そう考えていながら実行できないでいたのだ。距離計連動式の富士の645判のカメラ、マミヤ6または7、あるいはプラウベルマキナやブロニカRF645ならそういう撮影はできるのはわかっている。ところが私が所有しているのは一眼レフのKIEV-6Sだ。うーん、どうかなあ。
そのモヤモヤがとうとういやになった。昨年の暮れに気持ちがついにバクハツした。えーい、もう家にあるポジも期限切れだし、ごちゃごちゃ考えているだけではなく、やってみろ! というわけ。
そうして秩父鉄道沿線にやってきた。中判でもいつか秩父鉄道を撮りたいと思っていたけど、勇気がなかった。だから、今回は特定の列車をねらうわけではなくても、好きな路線で「カジュアル中判撮影」を行うぶっつけ本番というわけだ。
■「自分の試運転」の日に好きな列車に遭遇してしまう
■「自分の試運転」の日に好きな列車に遭遇してしまう
さて、この日に熊谷で遭遇したのは7500系電車ばかりだった。とはいえ、冬の北関東らしい冬晴れの青空は気持ちがよかった。そして荒川桜堤のある駅でしばらく待っていたら、オレンジバーミリオンIIである1000系電車1003編成が来た。むしろやってきてしまってどうしようとさえ思った。やばい。そこでもう撮るしかない。ベルビア100で激写したぜ。やっほー。
しかも、まさかのデキ102+108の交換! |
予期していなかった1003編成の登場でほくほくしていたら、あれれれれ列車交換。しかも、この区間ではめずらしい電気機関車が姿を現した。しかもよく見ると、もっとも古くて私の好みであるデキ102号が108号を牽引している! ルパンを追いかけていてこんなものを見つけてしまったあ。どうしよう。
【共通データ】
KIEV-6S・MC ARSAT-C 2.8/80・F8~5.6・1/500sec.・RVP100