下仁田から現れた7000形 |
■上信電鉄のひさしぶりの新造車
上信電鉄が昨年度から新型車両を導入することは、ときどき同社Webサイトでチェックしていた。なんでも、昭和56年の6000系以来久しぶりの新造車であり、メンテナンス性を考慮してステンレスではなく鋼製のボディにしたとか。そして、ついに上信電鉄ではじめてのVVVF制御にボルスタレス台車、ワンハンドルマスコンにシンブルアームパンタグラフと、新機軸が目につく。そもそも、上信電鉄は昔は斬新な独自新型車両を用意する会社だったというのは、もしかしたらアラフォー以上の鉄道ファンでないと知らないかもしれない。同社1000系は正面に一枚窓を用いて、斜めのラインを用いた塗装など、昭和52年度(1977年度)鉄道友の会ローレル賞を受賞した、地方私鉄の星ともいうべき輝いて見えるような存在だった。
31年ぶりの新造車7000形は1000系や6000系同様に新潟トランシス製だそうだが、そのデザイン案が公表されたときには驚いた。これは……西武湘南型ではないか! そして3ドア前パンで、おまけにドア間の窓が二つずつまとめられていた西武551系や601系のような……本家西武鉄道から西武湘南型3ドア車が姿を消そうとしているいま、上信電鉄にその後裔が現れるとは。 うーらーやーまーしーいー!
■アイボリーだけだと「東武ん」もたっぷり
塗装もなんだか愉快だ。西武にも真っ白の新101系電車がいるけど、クリーム色のこちらのほうが印象が落ち着いてみえるうえに、前パン2連でずっとシャープな印象を持つ。しかも、クリーム色一色のままだと東武セイジクリームのようにも見え、「東武塗装の西武」とでもいう東武と西武のコラボが上信にて完成! といったおもむきだ。いや、西武所沢工場製200形の増設側運転台が東武3000系のパーツを使って行われているとか、以前から上信では「東武と西武のコラボ」は行われていたようだけど。
夕闇迫るなか下仁田行きになって戻ってきた |
■いいものだ!
なんでも、沿線自治体の補助金を得て作られた電車だそうであり、現在はクリーム色1色のまま走っているものの、沿線在住高校生によるいくつかデザイン案に人気投票で決められるとか。そして、さらに補助金が降りればその塗装になるという。ふつうに501編成のような緑の斜めストライプがいい! と思うけど。でもいいや。秩父党で東上線も好きな西武ヲタでもある私としては、やはり気になる存在だ。いや、素直に言います。カッコイイ! 好き!
■「ゴングワンより指揮車。日没後に目標を捕捉。送れ」
先ごろまでは運用が固定され、その運用も公表されていたが、「より多くのお客様に乗っていただくため」という理由で、現在は一般車とあわせて随時運用入りするようだ。尋ねればいいのだろうが、まあいいや、くらいのノリで沿線に行き、数本待ったら姿を現してくれた。
もちろん、心の中では「ゼロワンよりコマンド、目標を補足」などと河原でひとり戦争ごっこの心境だ。いい年こいてまったく。ねらったとはいえ日没が迫って来て露出が稼げなくなるからだ。私がいた位置だと長瀞のように完全逆光にならないし、佐野橋が流出してしまい対岸に渡れないから。おまけに日没後は河原は冷えるのだ。でも、寒いなか待った甲斐があった。
追記:高崎の駅ビルはティーンエイジャーが多かったからか、黒髪パッツンボブの女子だらけでちょっと笑った。おかげで、7000形の写真を見るたびに黒髪パッツンボブを連想してしまう。マチルダボブってやつね。"This is from Matilda"というのは私には手榴弾ではなくてこの電車だ。