2015年2月10日火曜日

【小湊鐵道PETIT撮影記事】キハ5800をちょこっと撮る


■五井の貴重な「元電車」キハ5800
土日に小湊鐵道沿線に行ったときのこと。列車を撮りに出かけたわけではないので、雨に考え込んだ。というのも、被写体にお願いした方を撮るのに、寒い雨の中に立たせるわけにはいかない。プロのモデルさんでもないし、そういう寒々しい絵を求めていったわけではないから。

そこで撮影を途中であきらめて、五井に保存されている蒸気機関車を見に行った。詰所に一声かけて、蒸気機関車を見学させてもらったときに、庫内のキハ5800のことをふと思い出した。旧鉄道院の電車を改造したディーゼルカーだ。


■はじめて小湊鐵道に行った昭和60年代にもすでにめずらしかった
私が小湊鐵道をはじめて訪ねたのは1986年(昭和61年)5月の連休だ。中学生だったはずで、家族全員で養老渓谷にでかけたときに乗った。そのときにはすでに一眼レフを持っていたので五井と養老渓谷でわずかに列車を写している。そのときの写真をいまの見比べてみると、五井機関区の様子もほとんど変わっていないことにおどろかされる。

キハ5800はそのときからすでに検修庫のなかに留置されていて五井のプラットホームからわずかに顔を出していた。少年の私はすでにめずらしくなっていた木製貨車やこのキハ5800にすっかり心奪われた。キハ5800が走るところを見たいと思っていた。すでに1986年の段階では走ることはなさそうだった。そして、それから小湊鐵道はなんどか訪問していたものの、いずれも列車を撮影するのではなくローカル線の雰囲気を楽しみに乗るばかりで、五井機関区を見学させてもらうこともなかった。




■シルヘッダーのある車体というだけでいまや貴重品
シルヘッダーのついた半鋼製の車体を持った車両は、もうほとんど記憶の奥底にあるだけの存在だ。私は幸運にも、シルヘッダーのある電車が走るところを見ることができたぎりぎりの世代なのだろう。シルヘッダーは基本的には昭和20年代までに作られた車両でしか見られない。その昭和20年代からそれだけ時が流れたのだと思う。

もっとも、その気になれば、東京圏であれば三峰口の秩父鉄道100形電車なり、大宮の鉄道博物館なり、あるいは青梅鉄道公園に行けば、保存してある車両を見ることはできる。動く車両であれば、コトデンや一畑に行けばいい。だが、走らない車両はいつでも見られると思うために、つい走っている車両のほうを追いかけてしまい、その存在を忘れがちだ。忘れるのは私だけなのかもしれないが。

■1986年から同じ場所にいるのかな
さて、詰所では庫内には入らないでくださいね、と言われたので、もちろんそれは守りつつ少しはなれたところから、キハ5800を遠巻きに見せてもらった。この車両が走るところを見たことはない。しかも、帰宅して古い写真を見てみたら、1986年の写真でも同じ場所にいたようだ。手入れがされているわけではないが、公園に雨ざらしにされるよりはずっと幸せな保存方法だろう。


【撮影データ】
Nikon D5300・AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR II・WB:曇天・RAW+JPEG(いずれも許可を得て撮影)

1986年5月に撮影。このときから同じ位置にいるのですね