■秩父と上信、そして上電
首都圏で私が大好きな鉄道路線は秩父鉄道と上信電鉄のほかにもうひとつある。それは、群馬県の前橋から桐生にかけて走る上毛電気鉄道だ。中央前橋から西桐生にかけての25.4kmをもともとは農村地帯だった町を経由して結ぶこぢんまりとした鉄道だ……などということは、ここにお越しになる鉄のお仲間には説明不要だろう。中央前橋から数駅乗るとだんだん沿線には畑が広がり始める。
この路線も地形に沿って線路が敷かれていて、それなりのアップダウンがあること、有名な渡良瀬川の橋梁以外にも、桃ノ木川や粕川の橋梁もある。赤城山麓を画面に入れた写真を撮ることもできるし、住宅地のなかを走る様子も見ることができるなど、沿線風景は全長が短いわりには変化に富むところが楽しい。
そして、昭和生まれにはなつかしい元京王井の頭線3000系電車である700形電車がふだんはのんびりと中央前橋と西桐生を結んでいる。もちろんそれだけではない。開業当時に導入された「上州の野武士」ことデハ101号車(以下、デハ101)も年に数回行われるイベントごとに走るし、有形文化財に指定された大胡列車区にはからし色がかわいいデハ104号車、東急からやってきたデキ3021ともと東武の鋼製有蓋車貨車テ241もいる。いろいろと地方私鉄好きにはうれしくなる要素がたくさんある。
■年始のイベントに来ましたよ
■年始のイベントに来ましたよ
そこで、上信電鉄のあとは上毛電気鉄道にやってきた。この日は「新春イベント2017」として、デハ101が沿線を走ることが予告されていたから。秋にも来たばかりだけれど……あの日は通過直前に雲が出たから。新年は再挑戦をしたかった。
昨年の年始とちがって、デハ101は昼過ぎから走り始めた(大胡出庫12:34、中央前橋着12:52)。今年は東武トップツアーズ東武倶楽部主催のツアーが開催され、参加者は東武350型が充当される列車に乗ることができたようで、それも楽しそうだ。
昨年の年始とちがって、デハ101は昼過ぎから走り始めた(大胡出庫12:34、中央前橋着12:52)。今年は東武トップツアーズ東武倶楽部主催のツアーが開催され、参加者は東武350型が充当される列車に乗ることができたようで、それも楽しそうだ。
昼から走り始めるダイヤはその参加者の便宜を図るためと、近隣在住のだいじなだいじな小さなお友だちと、大きなカメラをさげた大きなお友だちへの導線を別にするためかもしれない。理由はわからないが、昨年の年始は冬の太陽の低さを失念していたので、これはありがたい。
■西桐生方の正面が好きなんだ
■西桐生方の正面が好きなんだ
私はデハ101の西桐生方のパンタグラフのない原型に近い非貫通側の顔が好きだ。そこで、大胡を出庫してくる第一便の中央前橋行き上り列車は、貫通路がある顔が正面になるために、順光ではあるけれど撮影地での露出チェックにあてることに決めた。中央前橋から戻ってきて西桐生へ行く第二便(中央前橋発13:00、西桐生着13:57)を本命にすることにしたわけだ。そこで、第一便の通過1時間前から下り列車を撮るポジションに三脚を立てて、待ち構えていた。
ところが、この日はいかにも北関東らしく赤城山からのからっ風が強く吹く日でしてね……最初は雲ひとつない空に少しずつ雲がわき(午後になれば山が隠れるのは予想がついた)、桃ノ木川橋梁のあたりを中央前橋行きの第一便が通過したときには、すっかり真っ暗にかげられた。後追いで撮っていた私ももちろんちぎれ雲に太陽を隠された。とほほほほ。空をめいっぱい入れるアングルなのに、辺りが真っ暗では秋のリベンジにならない。
ところが、この日はいかにも北関東らしく赤城山からのからっ風が強く吹く日でしてね……最初は雲ひとつない空に少しずつ雲がわき(午後になれば山が隠れるのは予想がついた)、桃ノ木川橋梁のあたりを中央前橋行きの第一便が通過したときには、すっかり真っ暗にかげられた。後追いで撮っていた私ももちろんちぎれ雲に太陽を隠された。とほほほほ。空をめいっぱい入れるアングルなのに、辺りが真っ暗では秋のリベンジにならない。
そこで、心の中ではいろいろな神仏に祈った。西桐生行きのデハ101の通過のタイミングと日照が合いますように! と。いやもう、風も冷たいし本気でドキドキした。そのかいもあったのか、第二便の通過時はかげられなかった。やっほー!
これでもしかして運を使い果たしたかもと考えつつ、電車に乗り込んだ。西桐生から中央前橋へ行くデハ101の第三便(西桐生発14:25、中央前橋着15:22)は女渕城址公園でねらうことにした。晴れ間が続いているから、たまには山を画面に入れようかと思ったものの……沿線の家並みを中途半端に入れるのがどうも気に入らず、公園内からむりやり空に抜いた。
■大胡入庫の列車まで追いかけた
これでもしかして運を使い果たしたかもと考えつつ、電車に乗り込んだ。西桐生から中央前橋へ行くデハ101の第三便(西桐生発14:25、中央前橋着15:22)は女渕城址公園でねらうことにした。晴れ間が続いているから、たまには山を画面に入れようかと思ったものの……沿線の家並みを中途半端に入れるのがどうも気に入らず、公園内からむりやり空に抜いた。
■大胡入庫の列車まで追いかけた
これで今日の撮影も終わった、やれやれと思いながら女渕城址公園からはのんびり歩いて新屋まで行き、中央前橋行きの電車に乗った。ところが、中央前橋まで行ったはずのデハ101の返却回送になかなか遭遇しない。大胡にはまだデハ101は戻ってきていないし……大胡を過ぎてから私のあまり回転のよくないあたまをかなりひねった。これはまだ……撮れる、撮れるぞ!
というわけで、大胡を過ぎてからあわてて下車して大胡行きの返却回送列車を撮ることもできた。個人的にはこのカットがいちばん気に入った。最近は画面をできるだけシンプルに構成するのが好みなのだ。それに、上電の沿線でシルエットをいままでうまく撮ることができなかったし、デハ101は日中を走ることが多く、西日のあたる感じや薄暮のなかを走る様子を撮ってみたくてもいままではかなわなかったのだ。あらためてデハ101も気に入ったし。新年にお気に入りのカットが撮れたから、今年もがんばれるぞ。私の心の洗濯はこうしておしまいだ。
撮影地でお会いしたみなさん、ご一緒できて楽しかったです。そして、イベントを企画運営してくださった上毛電気鉄道のみなさんにもあらためてお礼申し上げます。
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH./4K連写(S/S)/Adobe Photoshop CC
■デハ101号車関連記事
【上毛電鉄撮影記事】「上州の野武士」秋の赤城南麓を疾走す(2016年10月24日)
【上毛電鉄撮影記事】「上州の野武士」デハ101、新年も元気に走る(2016年1月5日火)
【上毛電気鉄道PETIT撮影記事】デハ101に乗車! セミナートレイン「デハ101を語る」に参加しました(2015年9月20日)
【上毛電気鉄道デハ101撮影記事】「上州の野武士」今日も活躍(2015年6月7日)
【上毛電鉄撮影記事】菜の花を揺らしてデハ101が行く(2015年4月27日)
■上毛電気鉄道関連記事
【上毛電気鉄道撮影記事】デキ3021+デキ104! 大胡電車庫イベントにて(2016年10月25日)
【お仕事のご報告】Kindle電子書籍『Nikon Df で上毛電鉄を撮る!』発売しました(2015年9月18日)
というわけで、大胡を過ぎてからあわてて下車して大胡行きの返却回送列車を撮ることもできた。個人的にはこのカットがいちばん気に入った。最近は画面をできるだけシンプルに構成するのが好みなのだ。それに、上電の沿線でシルエットをいままでうまく撮ることができなかったし、デハ101は日中を走ることが多く、西日のあたる感じや薄暮のなかを走る様子を撮ってみたくてもいままではかなわなかったのだ。あらためてデハ101も気に入ったし。新年にお気に入りのカットが撮れたから、今年もがんばれるぞ。私の心の洗濯はこうしておしまいだ。
撮影地でお会いしたみなさん、ご一緒できて楽しかったです。そして、イベントを企画運営してくださった上毛電気鉄道のみなさんにもあらためてお礼申し上げます。
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH./4K連写(S/S)/Adobe Photoshop CC
■デハ101号車関連記事
【上毛電鉄撮影記事】「上州の野武士」秋の赤城南麓を疾走す(2016年10月24日)
【上毛電鉄撮影記事】「上州の野武士」デハ101、新年も元気に走る(2016年1月5日火)
【上毛電気鉄道PETIT撮影記事】デハ101に乗車! セミナートレイン「デハ101を語る」に参加しました(2015年9月20日)
【上毛電気鉄道デハ101撮影記事】「上州の野武士」今日も活躍(2015年6月7日)
【上毛電鉄撮影記事】菜の花を揺らしてデハ101が行く(2015年4月27日)
■上毛電気鉄道関連記事
【上毛電気鉄道撮影記事】デキ3021+デキ104! 大胡電車庫イベントにて(2016年10月25日)
【お仕事のご報告】Kindle電子書籍『Nikon Df で上毛電鉄を撮る!』発売しました(2015年9月18日)