■「ひつこいカメラのおっちゃん」またもや大和川橋梁に
阪堺電車にはじめて乗ってみて、沿線の雰囲気が気に入った「カメラのおっちゃん」(首都圏在住のふだんは「カメラおじさん」やけど、大阪ふうに「カメラのおっちゃん」と名乗ることにしてんねん←誰?)こと筆者は、日没の頃のようすが見たくて外出許可と夕食のキャンセル願いを届け出て、数日後にふたたび阪堺電車大和川停留所に降り立った。終点の浜寺駅前にはまだ達していないけれど……。気に入った場所にはなんども来て、自分の確認が持てるようになるまで撮るというのが私の撮影スタイルなのだ。カメラおじさんがたんにしつこ……、いや「カメラのおっちゃんがたんにひつこいだけなんちゃうか」という思いもなくはない。ほっといてください!
南海高野線堺東駅までバスで出て、大小路停留所まで歩き、阪堺電車に乗る前に近商ストアで割引になっていたパックのお寿司を買った。せっかく病院外で食事ができる機会だというのに、スーパーマーケットのお惣菜やお弁当を買うというのは、ふだんの私の撮影のときと同じ行動パターンで、買ったあとで思わず笑いがこみ上げた。無意識の行動なのだ。せっかくだからどこか店でおいしいものを食べればいいのにね、と頭の半分では思う。けれど、撮影の時間をより増やしたいのだ。それに、スーパーのお寿司だってけっこういけるんだぜ。なお、近商ストアに入ったのは松原店もひいきにしていたからなじみがある、というだけ。ほら、近鉄沿線住民じゃないですか(キリッ)
そうしてやって来た大和川の河川敷には夏らしい景色が広がっていた。停留所から阪和堺市駅方面を見るともくもくと大きな入道雲が立ち上っている。わあ、すごいなあ! と思わず歓声をあげた。
■金太郎塗りの505号車登場。こいつをねらうよ!
ただし、大和川停留所は小さな屋根があるだけで、日が高い時間にここにいると暑い。そこで、土手に降りて時間をつぶして日没を待っていた。すると、浜寺駅前行きとして金太郎塗り(正面の塗装の境界線が金太郎の前掛けのようになっていて、1950年代に流行した塗り分け)の505号車が現れた。緑と肌色のツートンカラーといい、レトロな金太郎塗りがよく似合うので、私は気に入っているのだ。よく見ると正面にピンク色の枠線の入った人物の写真が掲げられている。撮影後に再生してみると「ご結婚おめでとうございます 斉藤雪乃さん」とあった。ええっと、たしか……鉄道好きなタレントさんでしたよね。ご結婚しはったんか(知らなかった)。こういうヘッドマークが貼られているところもなんだかおもしろいな。
迷うことはなかった。ひちじ……(入院先のナースたちはふつうにこう発音していたけれど、私には発音しにくい)ではなくて午後7時ごろに日没してから505号が戻ってきたからだ。日没してしまいあたりは薄暮なので光線状態はあまり気にしないでよくなった。おでこのヘッドライトもめだって夕方の雰囲気はかえって強調されていいかも。
我孫子道停留所よりの大和川右岸から、左岸の大和川停留所に戻って自分が乗る電車を待った。浜寺駅前行きには「堺トラム」が来た。阪堺電車は1960年代まではとても先進的な車両を揃えていたのに、しばらくその動きがなかったために、いまでこそレトロな車両ばかりに見える。そのなかでこの電車はとても21世紀的だ。毛筆で「堺」というロゴが入れられていると、なんとなく「サムライジャパン」という雰囲気だなあ、などと電車を眺めていた。そうして、はたと気づいた。それはなにげなく撮った(まだたどり着かない)「浜寺駅前」のアクセントは「は」にあり、発音が「[は]までらえきまえ」であることに。そういえば、自動放送も運転手もそう発音しているのだ。東京にある似た感じの地名の「浜町公園」(中央区)は「は[ま]ちょうこうえん」でアクセントは「ま」にあるぜ。わあ、おもしろい。そしてやっぱり、そうとう意識しないと私には「[は]までらえきまえ」というアクセントで発音しづらい。むむむ。カメラのおっちゃん、がんばるで。
【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH. LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S./Adobe Photoshop CC 2018