■八高線に乗って、桜井線・和歌山線を思い出した
9月に入り台風の季節になった。残暑はまだ厳しく、晴れた日には夏空を思わせるような青空をときおり見ることができる。けれど、日没後には虫の声がすっかり大きくなり、空を背に広がる雲も秋の雲といったおもむきだ。
昨日、ひさしぶりにJR八高線に乗った。ところが、半年ぶりに乗るのにどうも「ひさしぶり」という感じがしない。むしろ、30分ヘッドで運行されてプラットホームで乗客のみなさんが手持ちぶさたにしているようす、あるいは夏の雑草が伸びた線路を見ていて、最近もそんな路線によく乗っていたように思われた。よく考えてみたら、JR桜井線(万葉まほろば線)、和歌山線ともそう大きく雰囲気が変わらない、それどころか都市近郊を走る電化路線(川越線と直通運転をする高麗川〜八王子)というところもよく似ている。
そうして桜井線と和歌山線のことを思い出したので、時計の針を7月なかばの梅雨のころに戻す。さきごろ、JR西日本より8月22日づけプレスリリースで「227系の投入完了と奈良中南部エリアの活性化」と題して、9月30日(月)をもって105系電車から227系電車1000番台への置き換えが完了するというむねが発表されたし。というわけで、御所と櫟本で105系電車を写した数日後の午後に、こんどは桜井線畝傍を訪ねたときのことを書いていこう。
■畝傍駅が好きだ
八高線・川越線と桜井線・和歌山線は都市近郊を走る通勤通学路線という性格は似ていても、桜井線・和歌山線には大きな特徴がある。それは、開業当初に建てられた古い駅舎が使われている駅がまだあるということ。そのなかでももっとも有名なのは畝傍だろうか。昨年夏にも筆者はこの駅が好きで何度も訪れたことはすでに記事にした。もっとも、そうした古い駅舎が利用者にとって快適かどうかは疑問が残るし、筆者がさらにそれらをうまく使って印象的な絵にできるかも、アレだけど。
秩父鉄道などはうまく古い駅舎を残しているよね。自分はなかなかそれをうまく(あるいは「エモく」)絵にできなくても、そこで列車を待っているのが楽しいから、まああまり深くは考えないことにする。畝傍駅では日陰や木陰(構内に木が植えられている)で列車を待っているのが好きだ。
■105系乗り遊びも兼ねることに
大阪・松原市の滞在先から近鉄ワープで八木西口まで乗り、そこから歩いて畝傍に行くというのがもっか気に入っている訪問方法だ。この日はまず、八木西口で降りてから今井町で、すぐにやってくる桜井線の上下の列車を観察するところから始めた。
まずは畝傍14時13分着、14分発和歌山行き(桜井線内551T 奈良13:37〜高田14:20→和歌山線内 465T 高田14:28〜和歌山16:34)は227系! 動画は撮ったのに静止画を撮り忘れた。そして畝傍14時28分発の奈良行き(和歌山線内448T 和歌山11:50〜高田14:03→桜井線内554T 高田14:21〜奈良15:07)は105系(近ヒネSW003編成)だった。よしよし。でも、松原市は晴れていたのに、近鉄南大阪線に乗っていたら二上山あたりから曇ってきて、橿原市は曇り空なんだよな。
そこでこの日はもう、畝傍で数本の列車を観察してから、列車に乗ってしまう遊びを主目的にした。
14時台は上下一本ずつしか来ないので、次は15時台だ。まず畝傍15時14分発和歌山行き(桜井線内555T 奈良14:37〜高田15:21→和歌山線内469T 高田15:28〜和歌山17:32)は105系でよっしゃ! SW008編成で常磐顔クハ105-5が香久山方から見えたときには、心のなかで埼玉ポーズを決めた。集中式のAU75Gクーラーを載せているところも好きだ。いっぽう、畝傍15時37分発の奈良行き(和歌山線内452T 和歌山12:55〜高田15:03→桜井線内 558T 高田15:30〜奈良16:13)は227系。高田・五条方面に1本去ったと思ったら、奈良方面に現れたというところ。
ふだんはこうして編成番号や列車番号を記さないのに、105系関連記事で今年はいちいち調べながら書いているのは理由がある。それは、この日にうすうす感づいてこの次の撮影ではっきり気づいたことだけど、先回りすれば227系電車は、少なくとも7月中旬のこの時点では運用が固定されているらしいことに気づいたから。117系を置き換えただけではなく、105系が用いられていた運用でも、227系が入るのはいつも同じスジであるように見えたから、その記録のためだ。
■王寺まで105系に乗る
畝傍では奈良行きは15時台には1本しかない。ところが、王寺行きが15時56分着、57分発である。まだ早めではあるけれど、暗い曇り空だからなあ、待つのも飽きたと思っていたら、その王寺行き(557S 奈良15:15〜高田16:03→高田16:04〜王寺16:21)が105系。これはさきほど今井町で撮ったSW003編成が戻ってきたということだね。
まあ、乗りまして。そんなわけで王寺まで行くことにした。よく考えたら、去年もしばしばこの列車に乗って王寺の手前のJR五位堂あたりでいちど下車していそいで入場し直し、五条行き473M(王寺16:07〜五条17:04)という列車に御所まで乗っていたのだった。というのは、3月まで473Mは117系だったから。
などということを、志都美で227系と交換するようすをみて思い出した。
105系電車は駅間では85km/hくらいの速度を出す。103系由来のMT55主電動機のうなりをただ聴きながら、見るでもなしに窓の外を流れる景色を眺める。珍しくもなんともなかったこの音をこうまでなつかしいような気持ちで聴くようになるとは。
今年はもう117系電車はいないので、王寺まで乗り、王寺でしばし対向列車が出発するさまなどを眺めた。そうして帰りは柏原まで関西本線(大和路線)に乗ることにする。ほら、柏原は各駅停車しか止まらない。ということは、201系に乗るわけでけっきょく国鉄型にまた乗れるというわけね。えへへへへ。こういうところだけは意外と抜かりがないな、私も。
【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH. /LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH. POWER O.I.S./LUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.S./Adobe Photoshop CC 2019