2020年4月1日水曜日

【ニコンカメラの操作の話】「Fnボタンでファインダー内に水準器表示する」設定の話



■ニコンユーザーのみなさん、使っていますか。ボディ前面の「Fnボタン」を
コンのデジタル一眼レフのうち、7000代以上のカメラ(D7000、D7100、D7200、D7500、D500、D750、D780、D800、D810、D850、D4シリーズ、そしてDf)のボディ前面左側には2つのボタンがある。それ以前の機種は検証していない。そして、D5には3つもあるね。2つボタンがある機種については上下にわかれていて、上は初期設定ではプレビューボタンだ(D7500ではFn1ボタンという名前のボタンであり、残念ながら光学ファインダーでのプレビュー機能が存在しない*)。これはほとんどのひとがプレビューボタンとして使っていると思う。

プレビューボタンについてもねんのために説明しておくと、設定した絞り値に絞った絵柄を撮影前に光学的に表示するボタンね。被写界深度(ピントの合う範囲)を確認するために使う。

では、もうひとつの下にあるFnボタン(ファンクションボタン。D7500ではFn2ボタン、D850ではFn1ボタン)をみなさんはどう使っているだろう。

Zシリーズカメラでは上はFn1ボタン、下はFn2ボタンという名前で、初期設定では上のFn1ボタンは「ホワイトバランス」、下のFn2ボタンは「フォーカスモード/AFエリアモード」だ。

D7000代以上の一眼レフのDシリーズもミラーレスのZシリーズも、この2つのボタンの機能を初期設定から変更できるという話を今日はしたい。

※残念ながらD5600とD3400、D3500ではこの水準器表示設定はできない。両機種ともボディ正面右側のFnボタンがあるが、ファインダー内水準器表示機能は用意されていないからだ。D5600はこのボタンを活用してファインダーに格子線表示をさせることは可能だ。なお、D3400はこれも設定できない。D3500にはボディ右側のこのボタンがない。


Nikon Dfは上がプレビューボタンで下がFnボタン

D7200もおなじ

D7500では上がFn1で下がFn2
(プレビュー機能が存在しない)

D850は上がプレビューで下がFn1

■「プレビュー」と「ファインダー内水準器」が筆者の基本設定
筆者は撮影時に注意しないと画面を傾けてしまうくせがある。はずかしいな。意図せずに画面が傾いてしまうのは筆者にはたいへん望ましくない……というよりもすごくいやだ。そこで、筆者はファインダー内に「格子線表示」をつねに表示させている(「カスタムメニュー」→「d撮影・記録・表示」→「ファインダー内格子線表示」→「する」)。さらに、Fnボタン(D850ならFn1ボタン、D7500ではFn2ボタン)を「ファインダー内水準器」にわりあてている。Fnボタンを押すとファインダー内に水準器表示が現れ、Fnボタンをもういちど押すと消える設定だ。

このFnボタンの設定も「カスタムメニュー」から行う。「カスタムメニュー」→「f操作」→「Fnボタンの機能」(D7500やD850では「カスタムボタンの機能」)に入り、ボディ前面の2つのボタンのうち下のボタンを「ファインダー内水準器」にする。こうするとファインダー内を見ながら接眼部から目を離さないでも水準器表示で傾きを確認することができるというわけだ。

D850での例なので「カスタムボタンの機能」という名称だ

Fn1ボタンに「ファインダー内水準器」をわりあてた

Zシリーズでも同じ設定にできる。ホワイトバランスとフォーカスモード/AFエリアモードの設定変更頻度がそう多くないならば、それぞれの変更はiボタンを押してiメニューから行うのでもかまわないと筆者は思っている。気が変わる可能性はもちろんある。

ライブビュー撮影ではinfoボタン(ZシリーズであればDISPボタン)を押して水準器表示にすればいい。

ふだんは格子線表示で(D850の例、画面はハメコミ)

Fn1ボタンを押すと水準器表示に
(ハメコミ合成。なおDfは下のインジケーターに表示)
これはわかりやすく見せるためにインジケーター表示の
傾きの度合いの目盛りを大きくしていますが、この絵柄は大きく傾いていません。
「大きく傾けたらインジケーターがこうやって伸びる」のですが
この絵柄では「インジケーターは大きくは伸びない」はずです。ご注意ください

■マイメニューへのジャンプや登録済み非CPUレンズの設定にも設定できる
ブログでも裏を取ろうとすると話がいつものようにすごく長くなるのと、ものごとは知れば知るほど「必ずしもそうとはいえない」という煮え切らない表現が増えるし、好みの問題もあるのでできるだけ簡単に説明する。すでにくどい。

このプレビューボタンとFnボタンにはほかの機能をわりあてることもできる。筆者は「フィルムカメラ時代からの操作」が好きで上記の設定にしているが、プレビューボタンはいかしておくとしても、下のボタンにはたとえば、「マイメニューへのジャンプ」などを割り当てることもできる。

Dfについて「マイメニューへジャンプできないところが欠点だ」という記事を読んだことがあるが、Fnボタンからジャンプする設定を使えばできる。もっとも私は原始的に「マイメニューを最後に開いてからメニューを閉じる」ことにしていて、そうするとメニューボタンを押すとマイメニューから開くのでFnボタンにわりあてない。アレですけどね。古いカメラなのだし仕方ないじゃん。

また、Fnボタンを押しながらコマンドダイヤルを回す(「Fnボタン+コマンドダイヤル」という表示)設定にして、登録済み非CPUレンズの情報を読み出す「手動設定済みレンズの選択」などにすることもできる。水準器表示のないD2Xのときは筆者はそうしていた。ただし、Fnボタンを押すだけの設定とFnボタンを押してコマンドダイヤルを回す設定は両立できないので注意。

いずれにせよみなさんが使いやすい設定をしていただけたらと思う。設定した本人が覚えていられる程度でね。筆者はあまりこまかくカスタムボタンの設定変更をかけないのは覚えていられないから。またカミングアウトしちゃった。

もし、なにをどう設定したかわからなくなっても故障することはないから大丈夫。壊したりすることはないから怖がる必要はない。どうしてもなら、ツーボタンリセットで設定を初期化してしまえばいいだけだ。

「説明書を読まないでいても操作できる」が理想ですが
フィルムカメラの時代から、理想的なカメラの操作系はおそらく「使用説明書を読まないでも直感的に操作ができること」であったと思う。カメラの多機能化が進むにつれて「多機能カメラにとっての理想的な操作系」をメーカー設計者があれこれ考えているのだろう。そうした試行錯誤は各社で機種ごとの操作の差に見て取れる。

とはいえ、いろいろなところでカメラの操作をしている方を見ていると、ほとんどのユーザーは使用説明書をきっと読んでいないのだろうな、と思わされることは少なくない。正確にいうとおそらくは「説明書をとことん読むユーザー」と「説明書のページを開いたことさえないユーザー」に二分されるのではないかな。

メーカーも使用説明書がむずかしく見えると怖がられると思われるのを避けるためなのだろう。機種によっては基本操作編とメニュー操作編(「くわしい説明」などという表現にしている)などにわける機種があり、スマートデバイスとの連携だけの説明書がべつに用意されている機種も多い。そして、たいていはオンラインで閲覧できる。カメラ内にQRコードがあり、それをスマホで読み取らせてスマホでオンラインマニュアルを表示できるというスマートなやり方をしている機種も。カメラのメニューにヘルプ表示もたいていのカメラにある。

そうかと思うと、ヘルプ機能をいつまでも設けず独自の「かっこよさげ」な言葉づかいが好きなところもある。あそこは説明書も説明不足な気がする。

こうしてメーカーや販社のみなさんが一生懸命がんばっているのに、カメラの使用説明書はいまでもあまり読まれていないのではないかなあ、と思う。かわいそうに。隅から隅まで読んでメニューの内容をすべて覚える必要はない。自分に必要な部分だけでいいから、使用説明書は読んだほうがいいですよ。写真が上達する手助けにはなると思うのだ。読んで損をすることはないもの。

説明書を読まない、などとプロ写真家が書くのもやめてほしいと私は思っているよ。読もうぜ。

昨今のさまざまな理由で積極的に外出できないで家にいるならば、カメラを片手にお使いのカメラの説明書を読むのもきっとなにかの役に立つのではないか。筆者はこういう仕事をしているので読むけれど、それでも読み落としがときどき……いえ、なんでもありません。

*2022年1月26日追記【訂正とお詫び】:本稿初出時にD7500のFn1ボタンは「初期設定ではプレビューボタンにわりあてられている」と記載しましたが、D7500には光学ファインダーでの絞り値のプレビュー機能は存在しません。ライブビューで絞り値を変えることでプレビューの代わりにしてほしいということなのでしょうか。すでにたくさんの方に読んでいただいていておりましたが、筆者の確認ミスによる誤記です。訂正し、お詫び申し上げます。

【カメラの設定のお話】