2020年6月30日火曜日
【JR桜井線2019年夏】桜井線と藤原宮跡の話
■夏が来れば思い出す
暗い梅雨空ばかり見ているのは飽きる。梅雨が来ないのは農産物や上水道の供給のためにはこまるけれど、めりはりのなさにいやになる。夏の青い空を恋しく思いながら昨年の夏に撮っていたJR桜井線(万葉まほろば線)の写真を見ていて、記事化するのに悩んだ写真を見つけた。
香久山駅と畝傍駅のあいだにある藤原宮跡(ふじわらきゅうせき)をいつも目にしながら、これをうまく利用して桜井線の列車を撮れないかと考えていた。以下は、結果からいうと私にはうまくできなかったのだけどね! という記事だ。
■藤原宮跡とは
この藤原宮跡とは橿原市Webサイトによれば「藤原京の中心施設である藤原宮のあったところ」だ。この藤原京とは、現在の橿原市から明日香村に694年(持統8年)から710年(和銅3年)までの16年間存在したという。その中心部である藤原宮は約1km四方のなかにあったと思われる。
この藤原宮跡のすぐ北側を桜井線が走っているので、列車からも見ることができる。私は真夏にしか桜井線に乗ったことがないので夏の姿しか知らないものの、四季折々の花が植えられているそうだ。桜井線から見ると奈良方面行き列車なら畝傍駅を過ぎてからしばらくして、香久山駅にいたるあいだに進行方向右側(南側)にあるひらけた場所なのですぐにわかる。
これをうまく写真にできないかと思っていたわけですよ。JR西日本にはこんなページもあるしさ。
■藤原宮跡自体はすてきなんです
先に引用した橿原市Webサイトにはこうある。
(以下引用)
藤原宮跡は大和三山の絶好の眺望スポットとなっています。藤原宮跡から見る朝陽・夕陽は息をのむほどの秀景です。平成23年6月には、藤原宮跡からの大和三山の稜線の眺めが、重要眺望景観に指定されました。特に藤原宮跡から香具山方向を望む展望には、コンクリート系の建物がまったく映り込まないため、『光男の栗』『朱花の月(はねづのつき)』といった映画の撮影舞台にもなりました。
(引用終わり)
藤原宮跡から南東の香具山方向はたしかに、高い建物が見当たらない。ところが、反対の北の耳成山や桜井線を望むと、桜井線の線路の奥には住宅が立ち並び、線路にほぼ平行して国道165号線があり、その沿道にはロードサイド型店舗が並ぶ。その奥には近鉄大阪線の線路があり、ごくふつうの都市近郊の風景が広がる。藤原宮跡の最寄駅は近鉄耳成駅かも。それはいいのだけれど、そういうごくふつうの家並みを画面に不必要に入れて撮りたくないのですよ、私じしんは。存在するのはいいけれど、画面からはうまく隠したい。
■むかしの写真を見るといい感じなんだけどねえ
事前にさんざんグーグル検索をかけた。地図検索だけではなく、桜井線の列車と藤原宮跡をうまくまとめた写真はないのかと。ところが、私にとっていい感じに思えたのはみなむかしの写真ばかり。105系電車の写真でも冷房改造がなされずクリーム色にオレンジ帯の登場時の写真ばかり。
ちなみに、藤原宮跡から見ると桜井線の線路は順光で、背後に耳成山も見える。春は藤原宮跡に植えられたサクラやコスモスがいい感じだ。でもなあ……列車を入れて背景をすっきりとさせる処理が私にはどうしてもできなかった。架線柱も南側の藤原宮跡側に立っているし。
なんどもなんども私は桜井線の香具山と畝傍のあいだを行き来しながら考えたのだけど、結局は「藤原宮跡から桜井線を撮るのは私はやめておこう」という結論に達したとさ。だからここで披露するのは桜井線の線路から南の藤原宮跡を向いた写真がほとんどだ。それでも、歩いてこの景色を見るのは楽しかったからまあいいか。散歩するには楽しいよ。遊佐未森『夏草の線路』ごっこを気軽にできるからね。
もしも藤原宮跡から超望遠レンズで花を使って大きなぼけを画面に入れるなどすれば、列車の背後の建物をうまく隠せるかもしれない。ただし、その方法は列車の背後の建物も引き寄せてしまう。全体像を撮るのではなく、部分で見せる画面構成を工夫してみるといいかもしれない。なやましい。
【撮影データ】
Panasonic LUMIX GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH., LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH. POWER O.I.S./RAW/Adobe Photoshop CC 2020
※2019年7月撮影。2020年6月末現在のいまは105系電車は走っていません