2021年10月9日土曜日

【秩父鉄道2009〜2012】1000系電車1007編成「秩鉄リバイバルカラー」(チョコバナナ)のいたころを思い出しながら、鉄道写真でスナップショットを撮りたいのだと考える夜


■どんな写真を撮りたいのかとずっと考えていた
なかなか撮影に行けないでいる。緊急事態宣言も解除されたし、ワクチンも2回決めてから2ヶ月程度のいまこそ外出のチャンスではあるのだろうけれど。もう少しだけ体調が上向いてくれたらいいのだが。気温が高いとちょっときつい。

そういうわけで、あいかわらず過去に撮りためた写真を見ながらあれこれと、今後撮りたい写真のことを考えている。何度かお目にかけた写真ばかりで恐縮だ。

このところ見ていたのは、2009年から2012年にかけて走っていた、秩父鉄道1000系電車のうち導入時の塗装に似せた「秩鉄リバイバルカラー」をまとった1007編成の写真だ。

2009年10月から走り始めて、2012年12月の引退までにあれこれと追いかけた。ただ、そのときには編成写真をねらいつつも、もっとスナップ的に「1007編成のいる情景」をねらいたいとも考えていたので、できるかぎりそういう写真も撮りためようとしていた。今回お見せするのは、そういうスナップショットが中心だ。




■列車を画面に入れつつ多面的に見せたい
「鉄道写真」とひとくちにいっても、そのジャンル内に含むことができる写真は本来は多様なはずだ。列車の編成を先頭から最後尾まで順光で克明にとらえた「編成写真」だけが「鉄道写真」ではない。もちろん、めずらしい列車を見るとそういう編成写真は私も撮りたくなるけれど。

だが、それ以外にもいろいろな角度から、さまざまな状況下で走る姿をとらえてより多面的にその列車を見せたいといまの私は思う。編成写真というのは列車の走る状況を斜め正面から写したワンカットに過ぎない。好きな列車は複数ページに複数のカットを組み合わせて見せたい……と思うのは編集者だからという職業病なのかもしれない。

思春期に鉄道写真をいちど捨てたのは、その多面性を自分の技術で表現できなかったからだ。いまなら、当時よりは工夫ができるはず。




■「スナップショット」とは「適当に撮った乱雑な写真」ではない
写真撮影のジャンルのひとつに「スナップショット」という技法がある。もしかして大多数のひとたちに誤解されているのではないかと思うのは、このスナップショットというのは深い意図もなく乱雑に撮った写真ではないということ。

カメラを手持ちで被写体にさっと向けて瞬時に写すという技法ではあっても、画面構成や構図、光線状態、被写体の画面内の配置などを入念に計算してないと、スナップショットとして成功しない。優れたスナップショットというのは、かなりの技巧を必要とするはずだ。

私がここ数年来そうありたいと思い、かつこれからも撮りたいなあと思っているのは、この「鉄道のある風景のスナップショット」なのだということにようやく思いいたった。列車が走る場所や人々などの、周囲の環境をうまく取り入れつつ、同時に画面の整理整頓をきちんと行って写真を撮りたい。情報の整理ができていない、漫然と写した写真にしたくはない。

大阪で阪堺電車を撮るのが楽しいのも、鉄道でスナップショットを撮りたいから。なかなかそういう言語化ができなかった。むずかしいけれど、だからこそやりがいがある。

もっとも「この瞬間よ止まれ、汝はいかにも美しい!」(『ファウスト』)というセリフは、魂を奪われてしまうからよくないな。




■1007編成チョコバナナがなつかしいね
さて、この塗装は黄色に茶色の帯という組み合わせから、復活当時はネットスラング的に「チョコバナナ」とも呼ぶひとたちもいた。秩父鉄道に1000系電車が導入された時の塗装にかなりよく似せてある。もう少し茶帯が細いのか正面の「秩父鉄道」の文字がわずかに大きいだろうか。それと、運転室扉に導入時は茶帯は回されてはいなかった。


1980年代半ばにこの塗装に秩父鉄道の電車が変更された際には、それ以前の小豆色とはだ色のツートンカラーが好きだったので、少々失望したものだけど……いま見ると秩父路の風景によく似合う塗装に思える。そんなふうに思えるようになったのは、大人になったからかな。

秩父鉄道観光バスと宝登山ロープウェイの搬器「ばんび」「もんきー」はまだこの塗装をまとっている。見かけるたびになつかしさにかられるけれど、「太陽の光とひまわりをイメージする黄色」にCTBのロゴの入った秩父鉄道観光バスは「幸せを運ぶ黄色いバス」なのだそうだ。

【撮影データ】
Nikon D2X, D7000/AI Nikkor 28mm f/2.8S, AI Nikkor 50mm F1.8S, AIAF Nikkor 50mm f/1.4D, AI Nikkor ED 180mm F2.8S, AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>/RAW/Adobe Photoshop CC