■上信電鉄の車両群の分類が大きく変化した
かつて、1980年代から2019年までの上信電鉄には大きく大別されると2種の車両群があった。自社発注のオリジナル電車群と、西武鉄道から購入した車両群というふうに。それがJR東日本から購入した107系電車あらため700形電車が5編成竣工して150形3編成が廃車になったことでこの分類と勢力図が大きく変わったといっていい。2020年春現在の主力は5編成あるJRから購入した700形。それをサポートする自社オリジナル電車(1000形、6000形、7000形、250形と200形デハ204号とデハ205号)、そして西武鉄道から来た500形2編成だ。
■500形導入時の塗装が好きだった
私が上信電鉄に通い始めたのは2010年ごろと遅いうえに、年に数回しか訪ねることができないままだ。もっと足繁く通いたいなあ。だからこの10年ほど「ときどき観察」をしている程度でしかない。ただそこからうかがえるのは、元西武新101系電車である500形はイベント列車に用いられたりはでなラッピング塗装が施されたりと、「ネタ車」みたいな扱いなのかなというところ。あくまでも私の感想でしかないけれどね。
私は500形の登場時の塗装をとても好ましく思っていた。第一編成のクモハ501-クモハ502がアイボリーに緑のライン、第二編成のクモハ503-クモハ504がアイボリーに赤のラインで、この「斜めのライン」はかつて1980年代の元気いっぱいだった上信電鉄の塗装を彷彿させるところがよかった。1976年に登場した1000形電車は登場時には当時としては斬新なデザインと塗装でとても輝いて見えた。それを思い出させるから。つい最近行われたデハ251号車の塗装変更はそう思うとうれしい知らせだ。世の中が落ち着いたらすぐに見に行きたい。
いまだと、西武鉄道の譲渡車両のなかでは近江鉄道900形「あかね号」がいちばんカッコいいなあ。
■まずは高崎駅でねらう
2010年9月の上信電鉄「鉄道感謝フェスタ」を訪問したときには、当時「銀河鉄道999号」だった第一編成とともに、赤いラインの第二編成も運用入りしていた。これを撮りたいと思っていた私には好都合だった。そこで鉄道感謝フェスタ終了後に高崎駅と高崎検車区が見渡せる競馬場通りと上信電鉄、JRのアンダーパス部分に行ってカメラを構えた。
第二編成が来るかどうかはおそらく知らなかったと思うけど。それとも、もしかしたらあまのじゃくさんに教えてもらったのかも。
■下仁田まで行かずに上州福島で降りちゃった
このときは私ははじめて上信電鉄上信線の列車に乗ったのだった。それまで高崎検車区をながめたことしかなかった。そこでまずは「銀河鉄道999号」に乗って根小屋まで行き烏川橋梁でデハ205-ホキ801-テム6の混合列車を撮った。そのころはまだ佐野のわたし駅は開業していなくて、根小屋から歩いた。
そのあと根小屋からふたたび下り列車に乗り込んだ。下仁田までロケハンをしようと考えながらがまんできずに上州福島で降りた。そこでしばらく待つうちにやってきたのがこのクモハ503-クモハ504だ……いや、ちがう。クモハ503-クモハ504の上り列車をどこかで見かけたので、その折返し下り列車を撮るために暗くなる前に撮りたくて、上州福島で降りてとり方を考えたのだろう。
上州福島は交換施設のあるりっぱな駅で上り方には電化当初からある福島変電所が見える。駅構内には貨車が留置されている。2020年春のいまは運用離脱したクハ304もいるようだ。乗降もそれなりにある。この雰囲気が気に入って降りた。けっきょく日没まで上州福島駅周辺でねばってしまい、下仁田にはたどりつけなかった。
なお、この好ましかったクモハ503-クモハ504の塗装は2012年3月頃に株式会社マンナンライフのラッピング広告車になった。そのデザインもいくつか変遷があった。2016年には真っ赤なラッピングになり、いまはまたなんと説明していいか言葉が出てこないようなデザインだ。
【撮影データ】
Nikon D2X/AI AF Nikkor 24mm f/2.8D, AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D/RAW(いずれも2010年9月撮影)