2020年5月21日木曜日

【2012年8月、秩父鉄道1000系撮影記事】日暮れどきの秩父に通っていたころ その1


■夏の夜が好きなのかも
2012年と2013年の夏は秩父鉄道沿線に日没後に出かけていた。昼間の暑さが和らぐからという理由だけではなく、夏の夜の雰囲気が好きだからだろう。夏至よりも日没が早くはなっていてもそれでも夕方になっても明るい。

もちろん、そのころは好きだった1000系電車が最後の活躍を見せていたからという理由もある。そのうち、2012年の夏の終わりの日のことを書こうと思う。


■前照灯をこうこうと照らして走る列車
その数日前にふらりと夕方の秩父に試しに来ていた。朝から撮影に来ることはあっても夕方から撮影に出ることはいままでなかった。それが、夕方から来ても雰囲気がよくて楽しく撮影できることがわかった。そこでこの日も秩父に来た。市内の駅で降りたのはかなり遅く、日暮れの時間だ。

下り方を見渡すところに立つと、ずっとこの駅まで下り坂になっているのが見える。そして、遠くからやってくる列車がトロリー線や線路の路面に前照灯を反射させて走ってくる。そのようすを絵にしたくてハイライト基準露出でむりやり撮った。



■音もなんとか写したい
すっきりと晴れた日ではなくて空は焼けなかった。ぼんやりと青っぽいまま色がなくなっていく感じ。カラスがねぐらに帰っていくようすを眺めていると、あたりで虫の声が大きく響き始めた。私自身は静止画のほうが好きだし、写真に写らない音が写真から想像できるように撮れたらいいのに、などとだいそれたことを考える。私はきっと目に見えないものを写したいんだ。

でもまあ、考えているだけでは写らないね。そこで、持っていたコンパクトデジタルカメラでその虫の声を撮ることにした。



■写真が手持ちでは写せない暗さになっても
当時使っていたD2XではあまりISO感度を上げたくなかった。あたりが真っ暗でさすがにうまく写せなくなったころに、上り鉱石貨物列車と下り電車が交換した。下り電車は国電リバイバルカラーの1000系電車1001編成スカイブルーだ。前照灯を灯しながら行き来する列車のようすを見ていてなにやらぐっと……ヲタ的にいうと「萌えて」しまい……しみじみとした詠嘆を感じたといえばいいのだろうか。



この日は好きな1000系電車が上り方にも下り方にも何編成か運用入りしていて、ヲタ的にも「アツ」かった。下り列車として現れたさきほどの1001編成スカイブルーが戻ってこないところを見ると、下り方の駅に入庫して留置されているのだろうという想像もついた。そして、夜の雰囲気をなんとかまだ絵にしたいという名残惜しい気持ちもあった。それで暗くなっても帰るのが惜しまれて、このあと下り列車に乗っても御花畑で降りて西武秩父まで行かずに、さらに足を伸ばして留置中の1001編成を撮った。そのことは以前のエントリーにも書いたので、あわせてご覧いただけたらと思う。

また、Kindle電子書籍の拙著『ぼろフォト解決シリーズ プロの撮り方 Nikon D2Xで秩父鉄道を撮る!』にもこの日の写真を何点か収めている。月額読み放題サービスのkindle unlimitedにも対応しているのであわせてご一読いただけたらうれしい。

【撮影データ】
Nikon D2X/AI AF Nikkor 24mm f/2.8D, AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>/RAW/Adobe Photoshop CC 2020