2014年8月26日火曜日

【2012年8月 秩父鉄道1000系電車撮影記事】 1001編成スカイブルー、夜の駅にて眠りにつく



■なにげない瞬間を絵にしたい
日、日没後の秩父鉄道荒川橋梁(親鼻橋下流のかの名所)を列車が行き交うようすをしばらく眺めていた。空が暗くなりあたりが見えにくくなるころに、ぱらぱらと小雨が降り始め、わずかな残照が照らす部分だけ、うっすらと雨煙が白く煙る。

こういうなにげない瞬間が写真にできれば、といつも思う。あたりまえすぎて、いつでも撮れるような気がしてカメラも向けないことさえあるような日常の情景には、よく見ると詩情をかきたてる瞬間がたくさんあるのではないか。

一昨年の夏は1000系電車がまだ4編成も活躍をしていて、その姿をとらえるために時間を作っては通っていた。そのころの1000系はまだまだ秩父路ではなにか特別なものではなく、ありふれた通勤電車の走りでしかなかった。そういう日常の情景をいまとなっては撮り逃していることを思うとくやしさはあるが、それはもうしかたがない。

■日没どきに秩父にたどり着いた
さて、今回のエントリーでは、そうしてとらえた2012年夏の懐かしい1000系電車のようすをご覧にいれたい。

都内での所用をそそくさと済ませて秩父につくころには、もう西日があたりを染める時間になる。それでも、まだ日の長い夏であれば撮影は可能だ。そして、ラッシュアワーになって運行本数が増えるために夏場はなにかと撮影がしやすい。

秩父市内のお気に入りの駅を行き来する列車を狙ったあと、御花畑で降りて帰宅するのはまだ惜しまれた。それに、影森行きとして1000系1001編成スカイブルーが下っていったのを見ていたから。おそらく、影森入庫であろうと目星はついていた。そこで、影森に向かうことにした。

■留置されているスカイブルーを見ながら
お目当ての1001編成はパンタグラフを下ろして停泊中だった。

影森はご存知のとおり、秩父の中心から一駅行っただけ。住宅地のはずれにあるともいえるが、夕方になると下車する人と上り電車に乗る人は多いものの、駅周辺の住宅地は早めに寝静まってしまうように思える。だから、急行列車が出発してしまった山の麓の駅には私のほかに乗客の姿はなく、虫の声だけがひたすら響いていた。駅の照明と構内灯に照らされる1001編成スカイブルーとしばらくのあいだ対峙した。




【撮影データ】
Nikon D2X/AI AF Nikkor 35mm f/2D/RAW

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