2020年6月2日火曜日

【ニッコールレンズ記事】AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>をAI AF Micro Nikkor 105mm F2.8DとAI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDで置き換えた話

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dと
AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED

■趣味用レンズをすべて単焦点レンズに
6月1日は「写真の日」だとされている。だからというわけではないけれど、カメラ機材の話をする。少しまえに……この緊急事態宣言よりもずいぶんまえではあるけれど……ついに私は趣味の写真で使うレンズをすべて単焦点レンズに置き換えた。ええ、たんなる自己満足の自慢話です。それも安い買い物ができた自慢ね。なんだかあの……すみません。

■AI AF Zoom-Nikkor 80-200mmが好きだった
私は単焦点レンズが好きでも、望遠レンズだけはAI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>をずっと使っていた。当時は版元に勤務する編集者として取材に使うこともあり、取材にはズームレンズのほうが便利だったから。このレンズは1996年に発売開始されたもの。1988年に発売された同スペックの直進式ズームレンズの光学系をそのままに、距離エンコーダーを追加してDタイプとなり、回転式ズームにズーム方式を変更し三脚座を設けたものだ。コーティングなども変更されたと思う。

80mmの広角端と135mmでの描写は『アサヒカメラ』ニューフェース診断室でも高く評価されていて、それは自分の実感にも合う。ただし、望遠端はF5.6以上に絞らないと甘さが目につく。それでも、APS-CサイズイメージセンサーのニコンDXフォーマットのカメラボディで使うときは満足していた。

等倍撮影可能なAI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dはやや全長が長く
AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDはむしろコンパクトだ

■FXボディを使い始めたら……あれ
ところが、AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>を35mmフルサイズイメージセンサーを持つNikon Dfで撮ると、望遠端の画面周辺部の描写が気に入らなくなってしまった。有効1,625万画素しかないのに。私の所有するレンズではファインダーで見ていてもわかるので、画面周辺部に被写体を入れることをためらうほど。なるほど、DXフォーマットで使うぶんには画面周辺部をトリミングしていたというわけか。

そうなると、本来ならばAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VRにでも置き換えるべきだろう。とてもいいレンズだろうから。いいのだけど、私の写真にはおおげさな感じがして。むしろ、小型で最短撮影距離が短いAF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VRのほうが、携帯しやすくいまの私の好みに合う。何度も使わせてもらい、そのたびに便利だと思っていたし。

元箱も説明書もあった自慢です。すみません

そう思っていたある日、とても安価なAI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDを見つけた。パソコン量販店の店頭展示品在庫処分で、元箱と説明書、レンズケースCL-38とそのストラップも付属する。IF化されていて光学系はことなるものの、このレンズの前身であるマニュアルフォーカスのAI Nikkor ED 180mm F2.8Sは自分で所有して、とても優れたレンズだと知っていた。それがヨドバシ最終販売価格の半額以下で売られていたのだ。AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VRのヨドバシ価格からみると4分の1以下の価格だったのだもの。

ハイ、ご明察(『風の谷のナウシカ』原作に出てくるトルメキア・ヴ王の道化師の台詞)。ええまあ、その。ごにょごにょ。手に入れてしまった。だって、なんだかおもしろそうだから。ずっと使ってみたいと思いながら手が出せないでいるうちに、製造中止になっていたのだ。



■AFマイクロ105mmとAF180mmの2本でいけるじゃんか
そして、所有はしていてもDXフォーマットボディでは私には使いづらかったAI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dと組み合わせると、AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>のかわりになることがわかった。バッテリーグリップが用意されていないNikon Dfボディとも大きさのバランスは合う。

しかも、AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDの重さは約760gで、AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dは約560g。AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>は約1,300gだから、2本にわけても重さがあまり変わらない。重さの件はたったいま考えた理屈だけどね。

こうして、1980年代の単焦点レンズ2本で1990年代のズームレンズを置き換えてしまった。いまどきDシリーズ単焦点レンズでDシリーズズームレンズを置き換えるなんてアレでしょう。なにしろ、2本ともに旧製品だ。そして、Dタイプニッコールレンズはもはや進化が終わったレンズだというのに。どのレンズにも手ぶれ補正機構もナノクリスタルコートも超音波モーターもない。レーザーディスクは何者だ。

そして、絞り開放でも画面端まできちんと像を結ぶ最新のZシリーズにくらべたらずっと古いレンズだ。でも、2020年のいまに数世代前のNikon Dfボディをおもしろがって使っている私にはふさわしいレンズなのではないか。被写体も古いものが多いし。DXフォーマットでももちろんいい。予想していたよりも描写が柔らかい。趣味の道具としては私にはじゅうぶんだ。ここでふと思い出すのはこんなセリフ。

滅びゆくもののために
(ジオン公国軍サイクロプス隊ミハイル・カミンスキー大尉。『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』劇中のセリフ )

といいながらウイスキーで乾杯して出撃するところか。いやむしろ

「この戦争はもうすぐ終わる」
「ジオンは負けるな」
(上記作品より。サイクロプス隊隊長シュタイナーとリボーコロニー潜伏中のエージェント・チャーリーの会話)

というほうかもしれない。勝ち目のなさを知っているんだけどね。でも、私はなにか見えない敵と戦っているみたいだけど、勝ち負けとか戦争ではない。基本的には趣味の写真で使う機材だからいいの。使ってみたかった、ただそれだけ。望遠ズームレンズがあるほうが便利な取材には、AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>を今後も持っていくつもりだ。F8まで絞って被写体をよく吟味すればいいのだ。こんな感じの気持ちで。

「ライアットガンだってライフルスラグ弾使えや、装甲車や軍用レイバー程度なら結構いけるんだぜ。要は当てることよ。片目つぶってよーくねらう、これよ」
(『機動警察パトレイバー2 the Movie』より。整備員が太田巡査にいうセリフ)

もっとも、撮影にはあまり持ち出せないうちに昨今の状況になってしまい、AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDを本格的に使ったのはわずかだ。絞り開放ではあまいので、F5.6程度に絞ると安定するようだ。ただし、私の所有する1980年代末製のAI Nikkor ED 180mm F2.8Sほどにはデジタルゴーストが発生しないことはわかった。すごく好きなレンズだったのに、このデジタルゴーストに困らされて使うのをやめていた。この点はありがたい。

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D

AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED

AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED

さて、みなさん。写真をご覧になって気づかれただろうか。このAI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDの銘板の向きは上下が逆なのだ。私は自宅に帰って確かめるまで気づいていなかった。店頭展示中に剥がれたものを店員があやまって上下を逆にボンドかなにかで貼ったのではないかと想像している。それもなんだかおもしろいんじゃない。

「アル、俺はたぶん死ぬだろうが、そのことで、連邦軍の兵士やガンダムのパイロットを恨んだりしないでくれ。彼らだって、俺と同じで自分がやるべきだと思ったことをやってるだけなんだ。無理かもしれないけど、他人を恨んだり自分のことを責めたりしないでくれ。これは俺の最後の頼みだ」
(『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』バーニィからアルへのビデオレターのセリフ)

*古い漫画やアニメのセリフの引用が多くて恐縮です、ぼくはしにましぇーん。

【撮影データ】
Nikon Df/RAW/Adobe Photoshop CC 2020