2020年11月24日火曜日

【ニッコールレンズの話】自宅にて秋を愛でていて……第四次レンズフード戦争・ニッコールレンズの戦い勃発す!【11月25日追記】

78mmの長さのある⌀86mmの望遠用メタルフード。
前面にもねじが切ってあり
前後ともに同じ口径で連結可能なものは
なかなか手に入らない

■おうちで秋を楽しんでいたのです
東京首都圏でも木々が色づき落葉が進んでいる。夜間や早朝の気温の低さに秋が深まりつつあることを実感する。だが、連休期間中は遠出せずに自宅周辺であいかわらず過ごした。あれがああだからしかたないなあ。それに、連休初日以外は午後になると自宅のあるあたりは暗く曇ってしまった。県内でも秩父は午後も晴れていたそうだけど……土日に秩父に行くのはいまは私はガマンだ。

ベランダに風にのってときおり落ち葉が舞い込むので、それを写した。なにか手を動かしたくなったからだ。落ち葉を白いテーブルに乗せて、古いクリップオンストロボを天井にバウンスさせて光をまわしただけの、お手軽ライティングだ。

A7II+AI Nikkor 85mm F1.4S

■簡単な撮影だけどこれでも古いレンズではいろいろと
こんな撮影でも逆光ではあるので、古いレンズでは内面反射によるフレアは起きやすい。たとえば、1980年代に製造された所有するAI Nikkor 85mm F1.4Sは白バックで撮ろうとするとシャドウのしまりが悪くなることは知っていた。純正フードのHN-20だけではハレ切りの効果が弱い。だから、こういう撮影にはさけていた。

長さ(深さ)があり、効果がありそうで安価なレンズフードを見つけるとつい手が伸びるという「フード病」をひどくしつつある今日このごろだ。「AI Nikkor 85mm F1.4Sにも、より長いレンズフードを装着すればいいのではないか」と考えていた。ところが、⌀72mmで満足のいく長さのフードがなかなか見当たらない。コレクターズアイテムでは使いにくいので汎用的なものがいい。できればいろいろと使いまわしたい。でも自作してきれいに仕上げるほどの腕前もない。コンタックスメタルフード5はその解消になるのではないかと思って手に入れたのだが。AI Nikkor 85mm F1.4Sには大げさに見えるなあとは思いつつ。

■前後が同じ口径で連結可能な望遠用メタルフードを手に入れた
ある日のことだ。密林でさらに大げさに見えるレンズフードを見つけてしまい、それが連休になって自宅に着弾した。左舷の弾幕が甘かった。そこで、試写を自宅で行なっていた。

このレンズフードは金属製で長さ78mmで⌀49mmから⌀105mmまでの各種口径があり、前面にも同じ口径のねじが切ってある連結可能なものだ。「前後が同じ口径で連結可能な望遠用メタルフード」というのはいまでは国内用品メーカーにはなく、大変貴重だ。たいていのひとには不必要だろうが、古い望遠レンズを使うひとならばこの製品の存在意義は理解してくれると思う。樋口一葉先生のお世話にもならない金額であるところもいい。それでも、最近私が買ったレンズフードのなかではもっとも高価だ。野口英世先生のお世話にならないものばかり入手しているからさ。

手に入れたのはLINGO Technology Co., LTDという中国メーカーのもの。Lingo Fotoというブランドでほかにもレンズフードなどを売っているようだ。こういうニッチで数が出るとは思えない製品でも作ってくれるのは、いかにも深圳にある会社らしい。ありがたい。

私の手に入れたものは⌀86mmのものだ。いっぽう、AI Nikkor 85mm F1.4Sはアタッチメントサイズが⌀72mmだから、口径が大きすぎてそのままでは装着できない。AI Nikkor 85mm F1.4Sじたいには、もしかしたら⌀72mmのこのフードを直接つけるとけられてしまうかもしれない。それは私には確認できないのでわからない。

⌀86mmにしたのは、コンタックスメタルフードの72/86リングでさらに延長可能にしておき場合によっては同メタルフード5と連結させること、AI Nikkor ED 180mm F2.8SおよびAI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDなどのほかの望遠レンズとも共有するためだ。そこで、まずはAI Nikkor 85mm F1.4Sにこのフードと72/86リングを装着してみるとこんな感じ。画面四隅はけられないよ。

【11月25日追記】このフードを72/86リング+保護フィルター枠でAI Nikkor 85mm F1.4Sに装着するとほんのわずかにけられることがわかったので、相当強い斜光線をカットする以外には、AI Nikkor 85mm F1.4Sにはコンタックスメタルフード5を使うことにしました。

これはわずかにけられてしまう

■そしてこうなった
さらに、組み込み式フードがあっても短めで引っ込みやすいAI Nikkor 180mm ED F2.8Sにも取りつけると、こういうふうになる。コンタックスメタルフード5ではまだ短いと思っていたのだ。

AI Nikkor ED 180mm F2.8につけると

コンタックスメタルフード5を先端に連結して
レンズ側にはコンタックス72/86リングを。
F32で空を写したところ、ここまで伸ばすとけられるので
コンタックスメタルフード5は余分だった

【11月25日追記】このフードの先端にコンタックスメタルフード5を連結するとわずかにけられることがわかりました。したがって、このフード+72/86リング+保護フィルター枠でAI Nikkor ED 180 mm F2.8SおよびAI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDに装着することにします。

大げさだなあと我ながら思うよ。笑ってしまうほど大げさに見える。「最近はカメラ機材で悪目立ちしたくない」と書いているのはどこの誰だっけ。めっちゃ目立つやんけ(河内弁ふう)。

よく考えたら、最新の24-70mm F2.8クラスの標準ズームレンズのレンズフードもこのくらい大きいか。そしてなによりも、これだけフードを長くすれば斜光線による内面反射をそれぞれのレンズでかなり確実にカットすることができるはず。もちろん、重さもそれなりにあり、風を受けると揺れやすくなるので、ぶれ対策も慎重に行う必要があるからね。掲載写真でもα7IIを先幕電子シャッターにして、2秒セルフタイマーを使っているよ。

AI Nikkor 85mm F1.4Sでフードなし

同じ条件でレンズフードあり

■晴れた日の日中にさらに試写をするつもり
冒頭で書いたように、白バックでクリップオンストロボをバウンスさせつつ逆光にして撮っている。完全なる逆光だ。掲載写真ではレンズフードの着脱の際にわずかに三脚を動かしてしまったようで、画角が完全には一致しない。そういうところが甘いのだけど……レンズフードをつけたほうはわずかにシャドウのしまりがよくなっている。写っているFED-ZORKIカメラボディの黒い部分を見るとわかりやすい。気にならないひとにはわからない程度に。

1980年代のレンズだからわずかな差であって、もっと古いレンズだともっとはっきりと差が出るはず。これならば、冬の斜光線で撮影するさいにもフレアをある程度はコントロールできる効果があるのではないかと思っている。フレアをわざと発生させたいときはレンズフードを外せばいい。

よく晴れた日に屋外でも試したいのに、これを書いている今日も午後になったら曇ってしまったので、室内のこうした白バックのブツ撮りでしかいまだに試すことができていない。早起きして行動しない自分が悪いのだ。ただ、白バックの逆光写真はかなり意地悪な状況ではあるはずなので、これでも効果が認められるならば屋外撮影でも効果があるはず。

これ以上いろいろ気にするならば蛇腹フードと黒いパーマセルテープを使うほうがいい。あれは三脚を使うときにしか使いづらいので、そのうちに機会があればね。

【2020年11月25日追記】
少し空が明るかったので試写したところ、撮影距離、組み合わせ方によって画面四隅にわずかにけられてしまうことがわかった。ガラスフィルターの中身を外して枠だけ使っていることも関係しそうだ。そこで、当面は以下の組み合わせで使うことにした。さらに、AI Nikkor 85mm F1.4Sに関しては2020年11月28日づけで別途記事を書きました。ご参考まで。

●AI Nikkor 85mm F1.4S(右)
コンタックスメタルフード5+72/86リング+フィルター枠
(オリジナルのHN-20は短く、京セラ時代のカール・ツァイス・プラナーT* 85mm F1.4で推奨されていたコンタックスメタルフード4でもやや短いように思えていた)

●AI Nikkor ED 180mm F2.8S(左)には
このLingo Fotoのフード+コンタックス72/86リング+フィルター枠
(組み込み式フードは短いうえに引っこみやすい。そこで、コンタックスメタルフード5を使っていたものの、これでは短いように思えていたから)

AI Nikkor 85mm F1.4S(右)には
コンタックスメタルフード5+72/86リング+フィルター枠
AI Nikkor ED 180mm F2.8S(左)には
Lingo Fotoの望遠メタルフード+コンタックス72/86リング+フィルター枠

これも「男の子の合体ロボ遊び」みたいなものの成れの果てかもしれないね。あはは。

【ご注意】
このレンズフードには、新品でも細かいスレや傷があった。つくり自体はきちんとしていてねじのピッチも精巧だ。内面にも反射対策の細かい溝が掘られている。コンタックスメタルフードよりもずっと溝が細かい。もっとも、私は用心して試写するまえに内部には植毛紙を貼ってしまったので、素のままでの効果はわからない。販売者も商品の発送前にも連絡をくれて親切だった。それでも、なにかとDIYといいますか……自力更生の精神が要求されるのはあちら産や旧東側製品では残念ながらよくあることだ。そういうことが気にならないひとに向く品物なので、注意されたい。