先週の平日の秩父鉄道SLパレオエクスプレス運行日の午後に、秩父鉄道沿線を訪問した話の続きだ。御花畑から上り列車に揺られて、荒川の渓流と線路が並行する秩父谷の入口ともいうべき、むしろ寄居から来たほうが近いところまで行って列車を眺めていた。
それは、空模様がすっきりしなくても背景を真っ白にせずにすみ、かつSLパレオエクスプレス5002列車もそのほかの上り熊谷・羽生方面行き列車もねらうことができる場所だから。ただし、下り長瀞・秩父・影森・三峰口方面行き列車をねらいやすい場所ではない。それでも望遠レンズをつければなんとか撮ることはできる。「絵になる」かどうかはともかく。
そうやって列車を眺めていたら、下り返空鉱石貨物列車の先頭に真っ赤なデキ506号が立ち駅に差しかかる曲線にゆっくりと姿を現した。おお、あたりが暗くなりかけてきたので赤い色がめだつなあ。
この塗装にも慣れたし、さきごろまでピンク色だった電気機関車(デキ504号:2021年10月現在すでに水色に白帯の塗装に復帰しています)もあったのに、どうしてこの聖火列車牽引用に白い裾帯のない赤い機関車を見ると、なんともいえない笑いがこみ上げてくるのはなぜだろう。
赤い電気機関車を見て笑い出すなんて。旧国鉄時代に交流用を示す赤い塗装の交流用電気機関車を見て笑い出すようなことは、いままでなかったはずなのに。
笑うといっても、ばかにして笑うわけではけっしてない。これはほんとうだ。自分の分析では、どちらかというと反応に困ってしまう場合に浮かべる。困惑の笑みに近い。
私はそういう意味不明な東アジア人的な笑いを浮かべることが多いらしく、外国でもむかし「どうして笑うの」となんどもたずねられたことがあるし、小さい子どもにも「おれはこどもだからしらないんだ。わらわないでくれ」と言われたことがある。そのセリフには驚嘆したけどな。
本人にそのつもりがまったくないのに、状況によってはあざ笑っているのだと受け取られかねないようだから、気をつけないといけないな。
とにかく、この真っ赤な電気機関車が意図せず現れると私はどうしても笑いだしてしまう。そして「ド派手だぜ!」と宇髄天元のようなセリフを思わずつぶやいてしまうのだ。口うるさいヲタ向けではなくて、一般のみなさんの目を「ド派手に」引くことを意図されているのだろうね。
返空の下り鉱石貨物列車が副本線にいると、上り列車にはナナハチ第一編成(7801編成)がやってきた。ひさしぶりにナナハチもデハ7800形側を正面にしてきちんと写したぜ。この交換風景は秩父鉄道の典型例みたいだ。
この下り返空鉱石貨物列車は長時間停車をする。まず、上り羽生行きの各駅停車と交換した。長瀞でSLパレオエクスプレス5002列車を追い抜かす列車で、7503編成ラグビーワールドカップ2019ラッピングトレインだった。この編成はまだラッピングが解除されていなかったのか。私はいままで撮る機会がなかったので、運がいいかも。
このあと、この鉱石貨物列車はSLパレオエクスプレス5002列車と下り各駅停車と三倍交換を行った。そのようすは前回のエントリーにてお目にかけたとおり。
この日遭遇した運用入りしていた電気機関車は、デキ506号(赤)とデキ301号、デキ102号、そのほかに移動中にデキ507号も見ていた。茶色く塗装されたばかりのデキ105号はまだ先週来見ていない。そして、そのほかのデキ100形にも遭遇しなかった。武州原谷構内と武川にもいなかった。
そう思って広瀬川原車両基地まで、SLパレオエクスプレスの入庫シーンを撮るために行ってみると、デキ303号+デキ103号の組み合わせが広瀬川原にいたのがまず目についた。
そして、デキ105号もまだ広瀬川原にいた。この日のあと、10月22日に武川まで回送されたようだ。ということはつまり、この日に稼働しているデキ100形はさきほど遭遇したデキ102号のみ。なにしろ2021年10月現在、在籍しているデキ100形は102号、103号、105号だけだ。そのうち2両は広瀬川原にいて運用入りしていなかった。
あてずっぽうに来たわりには、デキ102号に遭遇できたのだから、かなり運がいいのではないか。
「スナップショット的な写真を撮りたい」などと書いていたくせに、こうしてヲタ成分100%な写真ばかり撮っているのは我ながらおかしい。暗い曇り空だとまあその、ね。いいの。人間とはたいへん重層的で矛盾に満ちた生き物なのですよ。なんてな。人生は驚きの連続だ。
【撮影データ】
NikonD7200,NikonDf/AI Nikkor 85mm F2S, AI Nikkor ED 180mm F2.8S/RAW/Adobe Photoshop CC