武甲山ふもとの駅にいるあれは……6003編成! |
■秩父路に冬来る。だがヲタにはシーズン入りだ
秩父夜祭も終わり、2022年度のSLパレオエクスプレスの定期運行も終わって、秩父鉄道沿線は少しだけ静かになる時期になる、といっていいかもしれない。鉱石貨物列車を牽引する電気機関車が冬期に前後のパンタグラフを上げて走る時期でもあるので、最近にわかに急増しつつあるデキをねらうヲタには「撮影シーズン到来!」ではある。
一般的な観光客やライトな鉄ヲタが秩父を訪れる数は、おそらくは年末年始とロウバイの時期まで多少落ち着いてしまうはずだ。
鉱石貨物列車も好きだが、もともとは「どちらかというと電車派」である私は、先日11月末の秩父路訪問のさいにひさしぶりに「秩父鉄道の電車はいいな」とあらためて思わされた。そのことを今日は記したい。
再塗装されたみたいでまだピカピカだ |
■6003編成は秩父鉄道リバイバルカラーを維持して出場
筆者が御花畑から下り方向へ移動中に、武甲山のふもとの駅で留置中の6000系電車6003編成を目撃して、駅に進入する列車の車内から運転士氏の頭越しに思わずカメラを向けた(運転士さん、シャッター音が騒々しくてごめんなさい)。それが冒頭の画像だ。
先日まで検査のために熊谷工場に入場をしていたことは知っていたが、昭和時代の300系電車やほかの秩父鉄道の電車に使われていた、はだ色と小豆色のツートンカラーを維持したまま出場したことは知らなかったので、それを知ってうれしかったから思わずカメラを向けた。この駅に留置されていた300系電車を、昭和の時代に国鉄乗り入れの115系電車から見たことを思い出させるのだ。
6003編成が2014年にこの塗装をまとってから、しばらくはうれしくて追いかけていた。このところ、なかなか秩父に来ることもできなかったとはいえ、その動向は気にしていた。3000系電車(旧国鉄・JR165系電車)由来の白地にブルー塗装もいいが、私はこの落ち着いたむかしの塗装がより好きなのだ。西武新101系電車にはよく似合うと思っている。
今回の検査入場で再塗装がなされたようで、まだ色あせていない。だから、また遠くないうちに撮りに行きたい。
なお、秩父鉄道ではPASMOを導入し運用開始した2022年3月12日(土)から、急行『秩父路』号の急行料金無料化キャンペーンを行っている。プレスリリースによると「当分の間」とのことだ。さらに、2022年10月20日(木)にふかや花園駅まえにふかや花園プレミアム・アウトレットがオープンすることを踏まえて、10月1日(土)に行われたダイヤ改正で、熊谷〜寄居で大幅に列車が増便された。そのために、従来は急行運用専用でそれ以外の時間帯には熊谷か影森で待機していた6000系電車も普通列車に充当されているようだ。
そうなると6003編成が撮影できる機会は増えたともいえるし、「普通列車のどれに充当されているか」はじっさいに訪問してみて、線路沿いに立ってみて列車の運用を観察してみないとわからない。各自工夫のことというわけだ。
■元都営のシブいあいつらも元気いっぱい
この日は東京都交通局6000系電車だった5000系電車のうち、5001編成と5002編成にも遭遇して、どちらにも乗ることもできた。冒頭のカットは5001編成から撮った。
このところの私の「ちょっとしたジンクス」として、訪問してすぐに5000系電車に乗ることができると「今日はきっといいことがある」という気持ちになる。今年の春にもそんな経験をした。なにしろ、5000系電車はいまでは全部で3編成しかいないのだから、ねらおうとすると当たらないことが多いのだもの。
とはいっても、たいてい2編成は走っていることが多い……気がするけど確実にそうだとは言い切れない。沿線のどこにいるかにもよるけれど、まったく見かけなかった日はいままではなかった。
撮影時にC58363よりも緊張していろいろあれなんです |
いまややってくるとうれしい存在になるとは |
この5000系電車は1000系電車(旧国鉄・JR101系電車)がさかんに走っているころには、線路沿いにいて遠くから「おでこライトではなく腰部に2灯ある電車」が見えるたびに、ため息をついたりして……すまなかったなあ、といまでは思う。それでも、きちんと撮っていたけどね。いまは遭遇できて乗ることができればうれしい存在だ。熊本電鉄でももう2編成しか残っていないそうだしね。
しかし、5000系電車について私はいつも、同じことを書いている気がするなあ。
■電車も撮りたいな、と思った
ひさしぶりのこの秩父鉄道沿線訪問で、もっとも重要なことは「あ、そういえば漏れ氏でんちゃが好きだったんだわ」という気持ちになったこと。変なことを我ながら書いているな。いや、変なことを書いているのはいつもと同じか。
カメラを持って鉄道沿線を出歩く機会が減ってしまったら、鉄道が好きだったことを忘れかけていたというのはほんとうだ。よろしくないな……。何度も書いていた「好きな鉄道シーン」のことすら忘れかけていたというわけだ。
だから、先日の訪問はSLパレオエクスプレスのよさを再認識できただけではなく、秩父鉄道を走る列車が好きだったことを思い出すきっかけになった。だから、そういう意味でも訪問してよかった。
いままで撮ったのとはことなる写真もきちんとねらってみたいし、あれこれ工夫をしてみたい。そして、「撮影に行かなければ写真は撮れない」というあたりまえのことを再認識したというわけ。
【2014年3月、秩父鉄道5000系電車5003編成】
— 秋山 薫 (@kiev_arsenal23) May 13, 2020
秩鉄1000系電車1003編成オレンジバーミオンIIを待つあいだに撮影。都営三田線から秩父に来ても、そして熊本でも、おそらくはかつてのジャカルタでも、華やかさもなく日々健気に走るようすに惹かれます。この電車は「隠れた名車」なのでしょうね pic.twitter.com/lldG6DHdUy
【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 50mm F1.8S/RAW/Adobe Photoshop CC