2021年3月11日木曜日

【ニコンカメラの話】画面をどうしても傾かせがちなのでマグニファイングアイピースDK-17Mと接眼目当てDK-19を装着を外した話

「フッ素コート付きファインダーアイピースDK-17F」にした

■マグニファイングアイピースを使うのをやめた
一昨年秋より遅まきながら、業務用ではなくて自分のための写真にはNikon Dfを本格的に使っている。以前使わせてもらい気に入っていたものの、手に入れる機会がなかったからだ。だが開発を陣頭指揮された有名な方もニコンを退社されたので、長い時間をかけて手元に集ったマニュアルフォーカスレンズが似合う、こういう趣味性の高い嗜好品的なカメラがニコンから今後出ることはそうなさそうだと思い、手に入れておきたかった。ただし、私にはカメラを買う趣味やコレクションして飾っておく趣味はないので、がんがん実用して傷だらけにしている。傷を意図的につけているわけではないけどね。

そうしてあれこれと試すなかで、マニュアルフォーカスレンズを使用する際にファインダー倍率をあげてピント合わせを確実にしたく思い、接眼部に「マグニファイングアイピースDK-17M」(旧製品)と「接眼目当てDK-19」を装着していた。このことは昨年2月に記事にした。前者はファインダー倍率を1.2倍にするもので、後者は他社でいうところの「アイカップ」だ。

このマグニファイングアイピースDK-17Mと接眼目当てDK-19は1年ほど使った。それなのに、思うところがあって先日どちらも外してしまった。

マニュアルフォーカスレンズも楽しく使いたいんだよう

上記のふたつは以前D2Xを使用していたときに購入して、そのまま手元にあったものだ。ニコ爺歴が長くてよかったと思った。D2Xで使っていたのは、Dfでも同様にマニュアルフォーカスレンズでピント合わせをしやすくするためだ。

ところが、しばらく試用しても使うのをやめていた。D7000にもやはりしばらくのあいだはパナソニックのLUMIX Gシリーズ用カメラの「マグニファイヤーアイカップ VYC0973」を使っていた。けれど、けっきょくはそう長いあいだ使うことがなかった。

■ファインダー倍率だけを上げると構図確認がしにくくなる
どれも理由は同じだ。ファインダー倍率を拡大するとピントはたしかに合わせやすくはなる。ところが、ファインダーの全体像がひとめでは見渡しにくくなってしまう。ファインダーにはピント合わせのしやすい倍率とアイポイントのバランスというものがあるみたい。

そのせいか、Dfでファインダー倍率だけを上げると私の場合はピント合わせにばかり気を取られてしまうらしく、画面全体をきちんと見渡せず、画面を意図せずに傾けてしまうこと、構図をおかしくしてしまうことが増える。写真に大切なのはなにもピント合わせだけではない。傾きは撮影後に直せるものの、直す頻度が高いのは作業効率はよろしくはない。

「意図しない傾きのある日の丸構図」というそのままではまったく使い物にならない写真ばかり増えるとなさけないぜ。意図的な傾きやなんらかのねらいがあって自ら日の丸構図を選ぶならいいのだ。意図しないものだから困る。

そういう写真を量産すると落ち込むことが増えて、精神衛生上もあれなことに気づいた。マグニファイングアイピースを装着していないカメラではそう画面を傾かせることがないので、因果関係はあきらかだ。

ライブビューで等倍表示をするほうが見やすい

それに、光学ファインダーよりもライブビューで拡大表示を行うほうがずっとピント確認もしやすい。拡大ボタンではなくOKボタンだけで選択しているフォーカスエリアを拡大する設定にしているから、右手で拡大表示ができる。撮像素子上の画像でピント合わせをするほうが、位相差AFを利用したフォーカスエイド機能よりも原理上は確実にピントが合う。だから、暗所などでは手持ち撮影でもライブビューを使うことをためらわなくなった。


そうなると、ファインダー接眼部で大きく出っ張るマグニファイングアイピースと接眼目当ては私にはかえって邪魔に思えた。自分で装着したのに。

いまは、Dfにもともと付属していたアイピースDK-17ではなく、汚れ対策としてフッ素コートのなされた「フッ素コート付きファインダーアイピースDK-17F」を試用しているところだ。D6、D5、D850、D500には付属しているものだ。

なお、ニコン一眼レフの丸型アイピースにはくもりにくい特殊加工が施された「アンティフォグファインダーアイピースDK-17A」という製品もあり、マスクが欠かせずファインダーをくもらせがちな昨今の情勢下では気になるアイテムではある。私は以前、フィルムカメラのF4で使っていた。雨天の夜に撮影するのに、ファインダーのくもりに困らされていたからだ。たしかにくもりどめの効果は感じたものの、素材がガラスではないらしく傷をつけやすいようで、取り扱いには注意が必要だ。アイピースに付着した水滴をタオルなどで雑にごしごしと拭くような扱いはしてはいけない。もういちどトライしてみようかな。

■ファインダー内格子線表示は常用している

「ファインダー内格子表示」は「する(ON)」
また「電子音設定」は「電子音なし(OFF)」だ
電子音は別カメラで動画撮影するにも邪魔になる


画面を傾かせないようにいろいろと対策は行なっている。使用するカメラはどのメーカーのどの機種でも可能な機種はファインダー内に格子線表示(グリッド表示)を出す設定にしている。これはなにもDfだけにできる機能ではない。ニコンのほとんどのカメラならば「カスタムメニュー」→「d:撮影・記録・表示」タブ内に「ファインダー内格子線表示」の設定があるはずだ。

他社機の場合は説明書を参照してほしい。メニューのなかで表示に関するカスタマイズが可能なところで設定可能なはずだ。

格子線表示(グリッド表示)は常時使用中だ(画面ははめ込み合成)

■ファインダー内水準器も使うんだよ

ライブビュー撮影では水準器を必ず使う

さらに、水準器も必ず使っている。ライブビューで撮影するときにも欠かせない。むかしから売られているストロボのシュー部分に取りつける、あるいは一部の三脚製品に付属するバブル式水準器はたいていのものは、高価なものではない限り精度がそう高くはないものが多いように感じていた。2,000円以下のものはあまりあてにならない感じ。さらに、外づけの水準器はファインダーから目を離さないと見ることもできないので、三脚使用時にしか使いにくいのではないか。

現在のほとんどのカメラに備えられているカメラ内の電子水準器のほうが確実と思っていたけれど……必ずしもそうとはいえないみたい。精度に関しては怪しい機種もあるので、ホットシューに取りつける別売のものを買うなら、2ウェイ式の2,000円くらいするものを選んだほうがよさそう。

Dfにはないものの、カメラ内の電子水準器に校正機能がある機種もある。

なお、シューの部分に水準器を使いたいならば、スマートフォンをアクセサリーシューに固定してスマホアプリの水準器もけっこう高精度だと思う。私自身は試したことはないが。

また、モニターが大きいほうが水平・垂直の把握もしやすいだろうから、三脚を使って風景写真をじっくり撮るならば、外部出力モニターを使う方法もありそう。

水準器表示はミラーレスカメラと一眼レフのライブビュー使用時では、表示ボタンを数回押せば表示できるものがほとんどだ。こちらもお使いの機種の説明書をよく読んでほしい。

ニコンの一眼レフで私が常用するのは、ボディ前面のFn(ファンクションボタン)を押してファインダー内に水準器表示をさせる機能だ。これはあらかじめ、「カスタムメニュー」→「f:操作」タブ内の「Fnボタンの機能」で「押し時の操作」から「ファインダー内水準器」を設定しておく必要がある。





ただし、水準器を使っても自分が立っている、もしくは三脚を立てている場所の水平は合わせられるものの、被写体の位置する場所の水平とはまたことなる場合がある。そういう状況では水準器は役立たない。

また、ごくまれにカメラの撮像素子の取りつけがわずかに曲がっていることもあるようだ。これはメーカーに調整を依頼するほかない。自分はさいわいにも経験したことはない。

こうしていろいろやっていても、集中力が欠けているときには私は画面を傾かせることがある。スナップ的に撮影する場合などはとくにね。ほんとうに情けなくて涙が出てくらあ。人体は左右でシンメトリーではなく、姿勢や長年のくせで肩が曲がっていいて、構え方から傾いているのは仕方がない。

だからこそ、画面を不必要に傾かせない対策はいろいろと講じておくほうがいい。

あともちろん、筋力を落とさないように運動も必要だ。フラッグシップ一眼レフに大口径超望遠レンズの500mmF4を一日中携行して手持ち撮影できるような筋力と集中力をめざして頑張らなくちゃ。

理想は三脚を毎回用いて、水準器表示を使用することだ。とはいえ、場所や状況によっては三脚を使えない撮影もあるのだから、そうも言っていられない。一脚もいいかもしれないな。

ファンクションボタンを押してファインダー内水準器表示にも
(画面ははめ込み合成)

■ミラーレスカメラ化の進行は時代の趨勢ばかりではないのではないか
なお、ミラーレスカメラならばファインダー撮影時でも拡大表示も水準器表示も常時可能だ。そう思うと老眼と乱視が進んですっかりローガ二ストとして最前線にいる私も、マニュアルフォーカスレンズを使う場合にはとくにミラーレスカメラを用いることが増えるだろう。徐々にシステムを更新していくほかないか。少しため息。

現在の一眼レフが技術的にすでに飽和状態にあること、静止画と動画の双方に対応しやすいことから、いまやミラーレスカメラがレンズ交換式カメラの主流だ。ミラー機構がないぶんメーカーの製造コストも削減できるだろう。

だが、ミラーレスカメラ化の進行はそれだけが理由なのではないのではないか。

ミラーレスカメラはファインダー上で水準器表示を常時表示可能だ
(写真はα7II)

拡大表示もボタンひと押しでできるし

たとえば、35mmフルサイズセンサーを備えたソニーα7シリーズが市場でたいへん高い評価を得たのは、ボディサイズが小さくて機材一式を小型軽量にできること、手ぶれ補正機構をボディ内に備え、拡大表示がファインダーでもできて、高精度なピント合わせが可能であることにもあると思う。

みなが望遠レンズで動く被写体を追い写ししながら連続撮影をするわけではないので、表示に遅延のない高精度な光学ファインダーを備えた一眼レフである必要はないものね。

つまり、おそらくは職業写真家も写真愛好家のみなさんも、レンズ交換式カメラを購入するユーザーの年齢が高くて視力と体力が衰……おや、誰か来たようだ……日本はおじいさんおばあさんの国に……うわなにをするやめrくぁwせdrftgyふじこlp

アンティフォグファインダーアイピース DK-17A。くもりどめの効果は感じたものの、やわらかい布ではないと傷をつけやすいので要注意

フッ素コート付きファインダーアイピースDK-17F。こちらのほうが筆者には使いやすい。傷が比較的つきにくい