2014年2月2日日曜日

【2017年8月25日加筆改訂:ニコンカメラの話】D7000の光学ファインダーを自分仕様にする

【はじめに】
本記事は2014年2月2日付エントリーながら、いまでも検索エンジンでお越しになる方の閲覧数が多いことから、2017年8月25日づけであらためて加筆し、改訂いたしました。いまやD7000はニコンデジタル一眼レフの7000台シリーズとしては、D7100、D7200、D7500が発売されて、もはやD7000は3世代前の機種になりますが、その使い方に悩む方がいまでも多いのかもしれません。そんなみなさんにとってもしご参考になることがあれば、筆者としても望外の喜びです。

なお、文中にあるKatzEye Opticsは交換用スクリーンの生産をやめてしまったようです。また、このあと発売されたD750やD810、あるいはD7100およびD7200、D7500では位相差AF素子および、おそらくは動作アルゴリズムの改善が図られたのか、マルチCAM4800系オートフォーカスセンサーモジュールを用いたD7000、D600、Dfよりも、AFはずっと使いやすくなりました。2017年に発売されたD7500も同様で、AFに困らされることは筆者にはありません。とくに、暗所での撮影は後継機種を用いるほうが確実です。筆者自身は、D7000はいまでもときどき使用していますが、文中にある拡大アイピースは外して、ライブビュー撮影で室内のブツ撮りや予備機として限定的な用途で使うことにしています。後継機がすでに発売されているいまとなっては、それもまたやむを得ないのかもしれません。

なお、本文中にはD7000に備えられているAF微調整による修正は行なっていません。AF微調整以前に、まずメインミラー及びサブミラーの角度がきちんとしていないかぎり、AF微調整の意味がないと筆者は考えます。おそらく、本記事を読まれるかたのうち大半はAF微調整は自力で行えると思えますし、記事を複雑にするのを避けるために、AF微調整について記述を行なっていません。いずれにせよ、本記事はユーザーレベルでのミラーの角度の調整を推奨するものではありません。ユーザーレベルでのミラー角度調整に失敗し、そのうえでAF微調整を行い、かえって調子が悪くなるというのも困ります。ご了承くださいませ。

なお、本記事は今後はあきらかな誤記や事実誤認以外の改訂を行うつもりはございません。記事中のものは2014年2月の執筆時のものです。ご注意ください。

■D7000のAFにあれ? と思う
以前から何度か書いている。ニコンD7000の光学ファインダーは私には残念ながら、素のままではピントが合っているのかよくわからない。スクリーンも倍率も。うーん。以前のカメラや下位機種よりはずっと見やすいとはいえ。

また、オートフォーカス(以下、AF)は中心の測距点以外は挙動が怪しい。中央の挙動も怪しいことがあるが……。そうそう条件が悪いと思えない場合にも測距不能になることがあり、とても残念だ。そのため私は、D7000ではマニュアルフォーカス(以下、MF)モードもしくは、昔から持っていたマニュアルフォーカスレンズを使う機会が多い。こういうときに思うのは、私の目が悪くなければいいのになあ、という嘆きだ。それでも、ピントを外していることはまだわかる。

ここまでAFは食いついていたのに

急に測距不能になることがある

D7000に限ったことではないが、デジタルカメラでいちばん確実にピント合わせをするのは、光学ファインダーはあきらめて背面モニターで拡大表示を行いながらライブビューで合わせること。AFでもMFでもいい。なにしろ、撮像面で合わせるのだから正確さは原理的にはいちばん確実だ。

とはいえ、この方法では動体撮影でAF連続撮影はしづらい。だからこそ悩むのだ。

どういうわけか趣味用途ではこの組み合わせが一番好き

■まずは、ミラー固定位置を確認しよう
もし「うちのD7000のピントはどうなのよ」と思うなら、あらかじめ確認したいのは、光学ファインダーで合わせてみてピントが正確に見えているかどうか。なんでもいいから試写してほしい。ファインダー内でAF合焦マークが点灯し、ピントも合って見える。けれど撮影結果はピンぼけという場合、あるいはライブビューのコントラストAFでピント合わせをしてみたものと、ファインダーの位相差AFで撮影してみて、たとえばファインダーを使用したものが合っていない場合は、ミラー固定角度がずれている可能性がある。AF微調整を用いてもファインダーによる位相差AFでピントが合わない場合は、この可能性が高い。その場合はミラーおよびサブミラーの固定角度をサービスセンターで調整してもらおう。

正直にいえばこの調整は自分でできなくもないけれど……工具が必要でもあり、パソコンのメモリ交換ができるとか、プラモデルを組み立てることができるくらいのひとにしかお勧めできない(角度調整を行う場合はあくまでも自己責任で行ってください。筆者はユーザーレベルでのミラー調整を推奨するわけではありません。万が一不具合が起きた場合にも、筆者もメーカーもその責任は負いません。あらかじめご了承ください)。自信がなければメーカーに調整に出そう。このミラーの固定角度がずれは、そのままではほかのどんな対応を行ってもまったく意味をなさなくなる。だから、この点を必ずチェックしたい。

■「ピントが甘く見える」理由をよくみてほしい
強調したいのは、そもそも「ピントを合わせられない」ことと、「ピントを合わせてもズレている」こと、「ピントは合っていても甘い画像になること」はイコールではない。それぞれ、要注意事項が変わるからだ。

「ピントを合わせられないこと」(AF測距動作じたいが不能であること)は、故障かもしれず、あるいはAF性能の問題かもしれない。故障であれば調整を依頼しよう。仕様であればユーザーはもはや、その条件ではAFを使わない使用方法を考えるほかない。

「ピントを合わせてもズレている」(AF合焦マークが点灯しても合焦できていなかったこと)も、ミラー固定位置のズレか、これもはやりハード上の限界かもしれない。

「ピントは合っていても甘い画像になること」(AF合焦は正確でも、画質的にいまひとつであること)ならば、故障ではなくこれはレンズの解像度のせいか、高感度ノイズリダクションやアクティブD-ライティングが悪さをしている可能性がある。

位相差AF(ファインダー使用)とコントラストAF(背面モニター使用)で、たとえばAFのずれ方がひとしく、お使いのレンズがレンズ内モーター駆動のものであれば、レンズ側の調整が必要になる。ボディ内のAF微調整機能で合えばいいが、その範囲内では調整できない場合や、自信がないならばサービス機関で調整を相談してほしい。なお、ボディ内駆動のレンズではソフト的な調整はできないかもしれないが、可能な部分の調整はしてもらえるとは思う。

いずれにせよ常用するレンズ、それも、できればそう古くはない単焦点レンズか、Gタイプニッコールレンズなどの比較的新しいレンズを基準としたうえで、数本のレンズを絞り開放にして、位相差AFとコントラストAFで同条件でかつ、三脚を立ててISO100で高感度ノイズリダクションをオフにし、至近距離と遠景を撮って調べてみてみよう。日中と室内の白熱灯下でもAFの挙動は異なるので、撮影条件は条件は揃えてほしい。その結果もし、特定のレンズでだけピントが合わないのであれば、それはそのレンズのせいだ。

ミラーが正しく調整され、ファインダーのピントと撮像面のピントが合っていてぶれがないことをみきわめたうえで(三脚を使用していてもぶれることはあるので、このぶれがないかどうかもきちんと確認したい)さらに指摘したいのは高倍率ズームレンズや廉価な古いズームレンズ(Dタイプズームやそれ以前のもの)では、どんなに「ピント合わせ」をしても、解像感のある絵にはならないということ。Ai-S以前のMFレンズも同様だ。単焦点ならまだ悪くないとはいえ、現在の多画素機への対応が考えられていないからだ。つまりそういうレンズは「カメラと組み合わせること」はできるが、「高画質」にはならない。このことは強く強調しておきたい。

古いDタイプ廉価版ズームレンズで撮っているユーザーが「D7000のピントが甘い」と言っているのを見かけることがある。それはむしろ、使っているレンズが画素数に見合わないものなのではないのかなと思わされる。ぶれに気づいていない可能性も。

■NRとADLも解像感を甘く見せる要因のひとつ
念のため、もうひとつの可能性を潰しておこう。高感度ノイズリダクションを常時オンにしているなら、解像感の観点からいえば推奨するのはオフにすること。高感度もせいぜいISO800くらいまでで頑張る。アクティブD-ライティングもオフ。いずれもある程度はやむを得ないが、過剰なノイズリダクションによるディテール消失を防ぐためだ。

45ミリF2.8よりこの50ミリF1.8Sが好き

■レンズは新しいほうがやはりよい
こうなると、ある程度以上の画質を求めるなら、ISO100で高感度ノイズリダクションとアクティブD-ライティングはオフ。そして、新しい単焦点レンズか大口径ズームレンズ(いわゆる大三元ズームレンズ)を回折をおこなさない程度に絞ること。ボディが1,600万画素を越えたら、使えるレンズは限られるのだ。D7000とD800シリーズは画素ピッチ的にひとしい。D800でいわれた「ピンぼけとぶれに注意すること」と「できるだけ新しいレンズを使うべし」という使用術は、D7000にもあてはまる。しかも、APS-Cサイズのぶん、画面周辺部をクロップして使っているために、収差を拡大していることになる。レンズ中央部を使うから悪くないわけではない。

薄暮で無限遠に近いような条件でピンぼけすると泣ける

かくいう私が使っているのはDタイプ単焦点レンズばかり。趣味写真にはAI-S単焦点レンズも持ち出す。これらのレンズは逆光をのぞけば、絞ればまあまあピントが来るかなというところ。とはいえ、表現しにくいが、ときおりD7000ボディが「AF測距をさぼる」ことがある。そういう場合はミラー位置が正確であればファインダー内で見ていても微妙に怪しいので気づく。この測距のさぼりにいちばん困らせられるのだ。

たまに最新のGタイプ単焦点レンズや大三元ズームレンズを借りると、指先が切れそうな切れ味にドキドキする。

パナソニックの拡大アイピースを試用中

■ファインダーを見やすくするふたつのアプローチ
ここまではじつは前提条件。ミラー固定位置やレンズの個々のずれをなくしたうえで、光学ファインダーをなんとかするには、アプローチはふたつある。まず、ファインダースクリーンをピント合わせがしやすいものに交換してしまうこと。ただし、スクリーンは固定式なので、これについても自己責任で行っていただきたく思います。繰り返しになりますが、筆者はスクリーン交換を推奨するわけではありません。万が一不具合が起きた場合にも、筆者もメーカーもその責任は負いません。あらかじめご了承ください。そのうえでファインダー倍率を上げること。なお、経験上はこのふたつは不可分だ。見やすいスクリーンで倍率をあげないかぎり、単に接眼部分が出っ張るだけで、ピント確認がしやすくなるわけではない

前置きが大変長くなった。私はファインダースクリーンをスプリットマイクロのKatzEyeにした(2012年11月に購入。2017年8月現在では入手困難です)。カメラメーカーにいわせると、スプリットマイクロの測距能はそう高くないそうだが、私にはこれでかなりピント合わせが確実になった。私自身はマット面でピント合わせをしないので、マット面の見え方は気にしていない。

そのうえで拡大アイピースを用いている。拡大アイピースはファインダー倍率を拡大はするが、出っ張ることやファインダー像全体を見回すことがしにくくなる欠点はある。だから眼鏡使用者には勧められない。私は最初はニコン純正のDK-21Mを用いていたが、出っ張りと微妙な像のにじみがどうしても気になり、パナソニック「マグニファイヤーアイカップ VYC0973」をいまは試している(2014年2月当時)。大柄だしファインダー像全体は見にくいものの、いまのところ悪くない。


それにしても……MFのしやすいファインダースクリーンを作る技術がカメラメーカーから失われたことと、コストダウンと小型化のために光学ファインダーの倍率が小さくなってしまったことは、実に惜しい。背面モニターによるライブビューや電子ビューファインダーの利点は認めるけれど、いつもまぶしい光を見続けるのも目が疲れるのだ。


■そのうえで、D7000の位相差AFを使うには
何度かミラー位置を調整し、メーカーに調整を画像を添付して依頼しても「異常はありません。仕様です」といわれ、それでもやはり、位相差AF使用時に、撮影者からのピント位置があまり変わらない場所にカメラを向けた場合に、合焦マークが点灯していてもあきらかにAF再駆動が行われず、ピントが合わないというケースが多すぎる。いくどとなく経験して、私はD7000での撮影時に以下のようにしている。

1. AFを用いて合焦確認後、数カット連写して予備を撮る
2. MFに切り替えて無限遠にヘリコイドを動かし、ピントを大幅に外す
3. そうしてふたたびAFを作動させてAF再測距をする。そして数カット再び連写

なんというか……ねえ。変な手間がかかるよね。でも、ここまでするとAFで外すことは少なくなる。上記記事が同じような悩みを持つ方への何らかの参考になれば幸いだ。