■西武狭山線用の新101系4編成のこと
さる2月から西武狭山線には新101系電車が運用入りしていることはすでに何度か記事にした。2月に入って牽引車代用の263編成が運用開始したのを皮切りに、多摩湖線用に玉川上水車両基地に所属していたそのほかの新101系電車が少しずつ小手指車両基地へ異動してきて、3月のダイヤ改正以降は小手指に4編成が所属して狭山線運用についている。そのあいだにも多摩川線との車両の入れ替えもあったので、本稿執筆時の2021年5月11日現在で小手指車両基地に所属して狭山線に用いられるのは、263編成(牽引車代用、黄色)、241編成(伊豆箱根鉄道塗装)、253編成(赤電)、259編成(赤電)という組み合わせだ。251編成(近江鉄道『湖風(うみかぜ)号』塗装)は多摩川線から戻って狭山線を走っていたのはわずかなあいだだけで、5月11日の段階ではふたたび多摩川線にいる。
また、所属が小手指になったために新宿線系統である西武園線運用からは新101系電車は撤退してしまった。北山公園を走る姿はもう少し目にしたかった。「短けえ春だったなあ」という参謀クロトワの劇場版『風の谷のナウシカ』のセリフを思い出す。
■新101系電車がわずかな区間ながらも西武池袋線をほぼ毎日走っている
そういうわけで、3月のダイヤ改正後は新101系電車は狭山線と多摩川線を走るようになった。多摩湖線から撤退しても、依然として多摩湖・狭山湖(村山貯水池・山口貯水池)周辺の路線を走っているのはなんとなくおもしろい。戦前の同貯水池一帯の開発のなごりで、支線が3つもあるからともいえる。
そして、ダイヤ改正の副産物といってもよさそうなのは、新101系電車が池袋線のわずかな区間をほぼ毎日走るようになったこと。これは狭山線への出入庫のためだ。
■回送列車の経路が興味深い
以前も書いたようにこの回送列車の経路が私には興味深い。それは、小手指と西所沢は隣の駅ではあっても、小手指車両基地から出庫した列車は西所沢駅構内の配線のために、いちど所沢まで行くから。池袋線上り(西所沢駅4番線)から狭山線(同駅1番、2番線)には渡り線がないので直接入ることができないのだ。
そこで回送列車が狭山線に入るにはふたつの方法がある。
まず、西所沢駅上り方にある留置線にいったん入る。そのあとで狭山線の2番線に入って、狭山線運用につく。
もうひとつは西所沢を通過していったん所沢まで向かい、所沢で下り線に入る。そのあと西所沢まで戻ってきて狭山線に入る。
いっぽう、狭山線から小手指に向かう場合は西所沢でいちど所沢方にある留置線に入れば、池袋線下り(3番線)に入ることができる。
(2022年6月追記:平日の通常ダイヤでは夕方の場合、小手指に一度入庫していた狭山線運用車のうち1本めは所沢まで回送、2本めは西所沢から留置線に入る、という方法で入線しています。所沢まで回送されるのは「送り込み1本め」のみです。ご注意ください)
そうなると小手指出庫の列車は小手指と所沢のあいだで、小手指入庫の列車でも小手指と西所沢のあいだで見ることができるというわけだ。そして、それも野球開催日ダイヤではない限り定期的に。つまり、日が高い季節で野球およびイベント開催日でなければ狭山線外でも新101系電車を撮影するチャンスがある。野球・イベント開催日と平日夕方の池袋線からの直通列車がある時間には4両編成の新101系電車は狭山線を走らないので、その点は要注意だ。そう考えてメットライフドームのイベントスケジュールや西武ライオンズの試合日程のうち試合開催場所をよく見るようになった。野球に興味はないこの私がだ。
もっとも、当日に西武線アプリを見れば、じっさいに新101系電車が走っているかどうかは、すぐにわかる。
この出入庫の回送列車はわずかな区間であっても運転本数の多い区間を走るために、営業列車なみの速度を出す。西所沢で上り回送列車のようすを見ていると、4番線を力強い音を立てて通過していくところがいい。見ていてなんともしびれてしまう。池袋線系統では飯能以遠に行かないとこの101系電車系列と同じ走行装置を持つ電車の大きな走行音は聞くことができなくなったから、いまとなると貴重だ。あくまでもヲタ的には。
考えたらこういう私はこういう回送列車が好きなのかも。東武亀戸線・大師線と南栗橋車両管区春日部支所(北春日部)を回送する東武8000系電車2R車、あるいは高幡不動からいちど飛田給を経て東府中まで走る京王競馬場線への送り込み回送列車も好きだし。
私にとってもうひとつ興味深いのは、赤電塗装の列車を池袋線系統でひさしぶりに目にできるようになったこと。新宿線よりも一足先に赤電塗装が姿を消したはずだ。101系低運転台車が引退時にイベントで赤電塗装になったときには、鉄道趣味から離れていて私自身はリアルタイムでそれを目にしていないので、池袋線系統を走る赤電塗装の列車を写したことがないのだ。
狭山線で黄色一色の塗装で新101系電車の4両編成が、あるいはときおり2両編成×2の全電動車編成で走っていたころから、狭山線を赤電塗装の列車が走るといいなあと妄想してきた。2021年春になってそんな妄想が思わぬかたちで実現してしまった。このことには関係各位のみなさんに感謝したい。
そうなると、新101系の登場時の塗装である黄色とベージュのツートンカラーも狭山線で目にしたい……などとさらなる欲が出てきた。西武鉄道はきっとそのうち多摩川線と車両を交換して走らせてくれるのではないかなあ……とずうずうしい希望をここに書いておこうっと。レオライナー(山口線)の8500系電車の8521編成を旧西武鉄道塗装ラッピング(西武園ゆうえんちラッピング)にする(リンク先はPDFファイル)ならば、狭山線に新101系の黄色とベージュツートンカラーもぜひ! 西武鉄道の中の方、本件についてよろしくご検討くださいますよう、お願い申し上げます!
動画は2010年7月に走った新101系貸切列車が西所沢を通過するところだ。こういう感じの光景を2021年にふたたび見ることができるようになったというわけ。
【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED/RAW/Adobe Photoshop CC