2022年8月18日木曜日

【ニッコールレンズとコンタックスメタルフードの話】いろいろなニッコールレンズにコンタックスメタルフードを装着して悦に入る俺は「フード病」をこじらせたに決まってる 後日編 シーズン2 「コンタックスゼラチンフィルターホルダー」を増やして草

コンタックスゼラチンフィルターホルダーセット。
RTSシリーズレンズユーザーではないので
元箱と説明書をはじめて目にした

■どこかで聞いたことのある台詞を考えついた
母さん、僕のあのゼラチンフィルターホルダー、どうしたんでせうね。ええ、秋、早稲田から東京女子医大方面へゆくみちで。コンタックスの聖地で買ったあのゼラチンフィルターホルダーですよ。

お盆を過ぎてだんだん夏の終りも近づきつつある。みなさんはお盆はどうされたのだろうか。私はお盆休み期間の終わりまでは自宅でおとなしくしていて、週明けにひと気の少ない都心で写真展を見た。その後、都心には長居をせずにすぐに郊外の自宅へ戻ろうとして、新宿に近いとある有名なカメラ店に寄り道をした。オレンジ色の帯の快速列車に乗ってひと駅めのあの駅近くの店な。



すると、そこには京セラコンタックスのRTSシリーズ交換レンズ用のゼラチンフィルターホルダーセットが元箱に入って売られていた。昨年の11月24日づけ記事にもしたことがあるあの品物だ。日本写真機工業会刊行『93年カメラ総合カタログ VOL.106』(P.37)によると「ゼラチンフィルターホルダーセット」の価格は税別8,600円とあったあれだ。新品で売られていたときには購入を真面目に検討する気持ちにすらならない値段だった。

傷だらけのものは昨年入手してAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dに装着したままで、日々フル活用をしている。あれは有名専門店で野口英世先生おひとりというお値段だからこそ入手した。元箱と説明書こそないものの、ゼラチンフィルターをはさむフレームと、55/67リングも揃っていた。

それと同じ製品でより状態のよいものが、元箱と説明書、さらに製品を包むビニール袋も揃っていて、野口英世先生がおふたりには満たない程度の価格の値札がついて売られていた。新品で売られていたときの4分の1以下のお値段……。そのときに冒頭の詩を思い浮かべた。


これはもう不可抗力といわざるをえない。この波に抗うほうが無理だ。そう思って私は波に翻弄される前にふと目を閉じた……。ああ、時が見える……。そうして、しばらくの時間の消失ののちに店を出た私の手には、さきほどまで店頭にあった元箱に入ったコンタックスゼラチンフィルターホルダーセットと領収書が握られていたことに気づいた。いいかえると、左舷の弾幕が甘くて被弾したということだ。

よもや、よもやだ! 
柱として不甲斐なし!
穴があったら入りたい!

もし私が煉獄杏寿郎ならそういうだろう。いやむしろ、カメラ店に入ったあたりで「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」と冨岡義勇に叱られるところだろうか。それにしても「刀鍛冶の里編」はいつ放送なのかなあ。

「ばっかじゃないの」「そういうめんどくさいことしてるからめんどくさいことになるんだよ」という作詞ナナホシ管弦楽団、作曲岩見陸『おねがいダーリン』の一節が根本凪ちゃんの声で脳内で再生されているよ。かわよ。魂が浄化されて尊い。私ちょろいので。

ゼラチンフィルターホルダーと67/86リングの厚みの差

■複数のレンズに着脱しながら使うのはときに手間がかかる
同じものをすでに所有しているのに、またもや手に入れることへの完璧に合理的な理由などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね(ニチャア)。

春樹語を使ってスカしてみてもなんともならない。それでも、あえて説明すれば、コンタックスゼラチンフィルターホルダーがかなり気に入っていたから、もうひとつほしいとは思っていた。67/86リングより数ミリ厚い程度であり、前面に切られている⌀86mmのネジを利用して、メタルフード4と組み合わせると、私が日々使用しているAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8DおよびAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)によく似合う。サイズもこの2本のレンズには合う。


だから、この2本のレンズのどちらかにゼラチンフィルターホルダーとメタルフード4を装着しておき、「べつのほうのレンズ」を使う場合にゼラチンフィルターホルダーごと着脱をしていた。だが、ステップアップリングも併用していることもあって、この着脱のさいに少々手間取る。だから、もし可能ならば使用頻度の高いこの2本のレンズには、ゼラチンフィルターホルダーはつけっぱなしにしておきたいという思いがあった。

そう思っているところで見つけたものだから、ついその、ね。やはりこの説明に合理性はまったくない。気合で対応していたものを札びらを切って解決したようなものだ。

もっとも、「切った札びら」がたいへん少額だからこそ、おもしろがってこうして記事にしていることは、みなさんにはご理解いただけるだろうか。

たとえば、ハスキークイックセットと白レンズと呼ばれる人工蛍石を用いた大口径超望遠レンズ、あるいは舶来距離計連動式カメラとその交換レンズを購入するような高い費用をかけているとしたら、たいしておもしろくないもの。そういうものを読んでくださっても、筆者がスノビッシュで鼻にかけていて鼻持ちならない感じをみなさんに与えて、鼻白ませて鼻を鳴らさせるだけだと思うんだ。「鼻という文字を使う慣用句はたくさんあるものだ」と鼻で笑ってくださったかしら。ここ笑うところだ。

AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)に似合うよね

似合う似合う。似合わせてみせようホトトギス

■AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)につけっぱなしにする
したがってこのコンタックスゼラチンフィルターホルダーセットは、AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)に使用することにした。もともと67/86リングとメタルフード4を使っていたので、67/86リングをこのゼラチンフィルターホルダーに置き換えただけだ。AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)に付属する純正バヨネット式レンズフードHB-47よりは、私自身はこちらの組み合わせのほうが好ましい。なにしろオタクだからね。デュフフ。

ちなみに、このエントリーにある機材写真はすべてコンタックスゼラチンフィルターホルダーを装着し、ハレ切り用自作フレアーカッターマスクを挿入したAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dで撮影している。周辺光量落ちは意図的に撮影後に入れているものであり、撮影時に四隅がけられていることはない。

さっそく活用するよ

■自作のハレ切り用自作フレアーカッターマスクを入れて絶賛活用中
以前も何度も書いているが、私はカッコつけたいという理由「だけ」で各種金属製レンズフードと各社ゼラチンフィルターホルダーを使っているわけではない。ほんとうだってば。広角レンズではレンズフードはほとんど役立たないので、保護とカッコつけが主目的であることは否定しない。だが、標準域から望遠域のレンズではそれ「だけ」ではない。

純正よりも長くすることで、遮光効果をより高めたレンズフードとして使うのが第一目的なのだ。そしてゼラチンフィルター用の溝(スリット)を利用して、自作のフレアーカッターマスクを作り、それを利用して、斜光線などの乱反射(フレア)が生じにくいように対策を行っている。それが第二の見逃せない目的だ。さらに、フィルムカメラの時代に高価で取引されていたのに、いまでは見向きもされていない道具に価値を見出しているところも、じつに愉快痛快だ。フォカヌポウ。

コンタックスゼラチンフィルターホルダーを使うのは、AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8DおよびAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)にたいしてサイズのバランスがよく、なによりも両者が強い斜光線などに対してとくに強いわけではないからだ。とくに弱いわけでもないのだが、もう少し強いといいのに……とは思う。

表現意図にたいして不必要なフレアとゴーストが私は好ましく思えない。むしろものすごくいやだ。だから、それをできるだけ解消したい。

しかし、そう思っているだけでは強い斜光線の問題は解決はしない。でも機材を更新せずに知恵と道具に頼ることにしたしだいだ。よもや、よもやだ! 

なお、最近出たKANIフィルターのFoldable Sunshade Hood for HT100mmやSmall Rigのマットボックスが、フリップがあってハレ切りにはもっとも有効なのではないかと思っている。インターネットで製品写真を見ただけだから、じっさいのサイズ感や重さ、使い勝手などはわからない。角型フィルターを使うユーザーで逆光や斜光線でも撮影するならば、検討してもよさそうだ。

夜の写真を撮るのにも使用しているよ

コンタックスメタルフード関連のエントリーは以下にあるので、ご参考までに。こうして列記するといろいろとはずかしいな。おでばかだから。

なお、2022年のいまにいたるまで旧ヤシカおよび京セラ時代のRTS用カール・ツァイスレンズは一本たりとも所有したことがないので、それらでの「純正」の使い方を語ることは私にはできない。もうしわけない。「・(ナカグロ)」を入れないで表記する現在のカールツァイスレンズに、ステップアップリングを使って組み合わせるのも楽しそうだ。

【撮影データ】
Nikon Df/AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)/RAW/Adobe Photoshop CC