キヤノンゼラチンフィルターホルダーは LUMIX Gレンズにも似合うじゃんか |
昨年の春から夏にかけてからか……F2時代のニコンゼラチンフィルターホルダーAF-1とAF-2、そしてFDレンズ時代のキヤノンゼラチンフィルターホルダーを安価に入手しておもしろがっていた。いずれも旧製品をジャンクコーナーなどで入手したものだが、新品として販売されていた当時には数千円以上したものだ。それが、それぞれワンコイン程度の値札がつけられていた。
いまとなってはゼラチンフィルターはほぼ価値を失ってしまった。IRカットフィルターやNDフィルターならば使用する意味はありそうだが、色を補正するCCフィルターはホワイトバランスを使用すればカメラ側で操作でき、RAW現像で処理できるために不要になってしまった。画像の劣化をまねく光学フィルターよりも高画質なままで補正できるからだ。ただ、JPEG撮影しかしないひとにはCCフィルターは、もしかしたら利用価値はあるかもしれない。
そして、現在主流の角型フィルターは素材にガラスや強化プラスチックを用いていて厚みがあるうえに形状が長方形であり、3インチ角および4インチ角の正方形だったゼラチンフィルターよりも長辺のサイズが大きい。そのため、過去のゼラチンフィルターホルダーには使用がほとんどできないはずだ。
私はしかし、ゼラチンフィルターを使用したくて手に入れたのではない。既存の純正レンズフードよりもフードを深く(長く)したい場合に使うために入手した。この「フードの長さを変えることができる」というところが重要なのだ。
そうして昨年からいろいろな撮影にこれらゼラチンフィルターホルダーを用いている。「見捨てられている銀塩カメラ用アクセサリーに価値を見出した」というところも、ものすごくオタ的なおもしろさを感じている。コレクターズアイテムではない量産品であるところもいい。そしてなによりも、古いレンズで半逆光や斜光線で撮影する場合に実用性をきちんと持つところがいい。
ところが、どういうわけかニッコールレンズでの撮影時にこれらを使いはしていても、マイクロフォーサーズシステムの手持ちのPanasonic LUMIX Gシリーズレンズに装着したことがなかった。
ふと思い出してキヤノンゼラチンフィルターホルダーをLUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.に装着してみたら……ああ、いいよこれ。似合う似合う。いいじゃんか!
■似合うがレンズフードを重くするのは危ないかも
どうしてLUMIX Gシリーズレンズに上記ゼラチンフィルターホルダーを装着しなかったのか。それは基本的には「私のうっかり」でしかない。だがあえていうと、それまでに用いていた「LUMIX G非純正レンズフード」でそれなりに満足していたからだ。
付属する純正のプラスチック製フードはまったく使っていないのだが。
そして、自分にとってLUMIX GX7 Mark IIは大げさに見せないで使いたい機材だから、大きくて大げさなレンズフードにしたくなかったのかもしれない。さりげない「ふう」に見せたいというあたりで、すでに「さりげない」のではないのではないか、という指摘は正しい。GX7 Mark IIにはストラップも業務会員窓口でいただいた業務用のものではなく、市販の地味なものを使っている。サードパーティ製底ケースはグリップ代わりだ。めだたせたくないなのに純正レンズフードを使わないのは、オタクだからだよ。
上記のLUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.には私はニコンのスプリング式フードHS-14を使っていた。AI Micro-Nikkor 105mm f/2.8S用のものだ。家にあったからというのが最大の理由だ。そして、これでなんとなくおさまりがいいから、まあいいかという感じで。逆づけもできるし。
そういういままでの対応はまちがっていなかったかもしれないな、と思ったのはキヤノンゼラチンフィルターホルダーを装着してズーミングをしたときだ。LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.の鏡筒部分はおそらくエンジニアプラスチック製だろう。そのおかげで軽い。いっぽう、キヤノンゼラチンフィルターホルダーはしっかりとした作りであるために、肉厚でそれなりの重さがある。ズーミングして伸びるとこの鏡筒部分に負荷をかけそうな気がした。だから、こういったあまり重いアクセサリーをレンズ前部に装着するのはあまりよろしくなさそうだ。あくまでも推測ではあるが。
重量のあるものをレンズ前部に装着するのは テレ端に伸ばしたときなどにとくに衝撃に弱くなりそうな危惧を抱いた |
そう思うと、LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.のような普及版シリーズの軽量なレンズには、軽量なニコンゼラチンフィルターホルダーAF-1、あるいは従来どおりにHS-14を使うほうが、なにかと安全かもしれない。
じつをいうと私は以前、LUMIX Gシリーズ望遠レンズを地面に落として強い力を与えてしまい、真っ二つに折ったことがあるのだ。そう思うと、重量がレンズ前部にむりにかかるようなものはよろしくないだろう。
誤解してほしくはないのだが、LUMIX Gシリーズがとくに弱いわけではない。あくまでも一般論ではあるけれど、エンジニアリングプラスチックを使って軽量化をしている望遠ズームレンズは、みな総じてショックに弱いはずだ。また、レンズ側に強い力が加わった際に意図的に弱い部分を設けておいてボディ側を壊さないようにするのが、どうやら現代の設計の手法でもあるようだ。それにしても真っ二つに折れるとは、ぶつけ方がよほど悪かったのだろう。さすがにものすごくおどろいた。
ニコンAF-1かHS-14のほうが軽くていいかも |
また、筆者が大好きでGX7 Mark IIにほとんどつけっぱなしにしているLUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S.には、八仙堂から買った⌀52mmの*帯*路製と思しき金属製望遠レンズフード「望遠レンズ用フード ねじ込み式」をつけていた。ステップアップリングを使って⌀52mmにしてあるので、ニコンAF-1も使える。なかなか……似合うのではないかい。
42.5mmにもAF-1のほうがよさそう |
■広角レンズはもうアレ一択
いっぽう、広角レンズには選択肢は多くはない。画角が広いとレンズフードでよけいな光を切ること自体がほとんどできないので、カッコつけと保護の役目がおもになる。LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.は純正付属フードがいちばんいい。先端が細くなる肉厚の金属製レンズフードが付属するという理由で買ったくらいだから、ほかのものにするのは私にはつまらない。
いっぽう、LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH.にはやはり八仙堂で見つけた広角用スリット入りフード「高級広角レンズ用フード ねじ込み式」がつけっぱなしだ。某誌の編集長に「距離計連動式カメラではないのにスリットフードは意味ないし」と笑われたあれだ。
あ、ドームフード(フジツボフード)がお好きな方は各自工夫されてください。私は基本的にあまり好きではなくて。HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limitedのレンズフードはカッコいいとは思うよ。GN Auto NIKKOR 45mm F2.8用レンズフードのようなものはステキだ。そんなわけで、ドームフードに関してはすごく冷淡なのはすまん。
SIGMA 60mm DN | Artに似合うフードはなんだろう |
ブラックボディにシルバーレンズにすると クラシックな感じがおもしろい。 ただし指紋や傷、ゴミがめだつのは注意 |
現在のシグマレンズはミニマリズム的なシンプルでプレーンなデザインをまとっている。このレンズ以降のものはさすがにピントリングにもローレットが刻まれてはいるが、それでも非常にシンプルな外観だ。そして、レンズキャップやレンズフードもふくめて同一のコンセプトでデザインされている。
各社の製品ももちろんそのはずだが、シグマのいまのレンズにはその「縛り」や「くせ」が強く感じられる。シンプルデザインであるにもかかわらず主張が強い。非常に力強い描写もふくめて、そこが現代のシグマレンズのキャラクターであるように思える。
そこにいろいろと装飾のあるレンズフードを追加するのは「思想が一致しない」感じがある。うまく合わないのだ。せっかくの思想をだいなしにするように思えてならない。私の思い込みかもしれないが。
【2022年8月14日追記】
シグマレンズのデザインのことをよく知らずにいたら、こういう展示も行われている。2012年からのプロダクトデザインは、デザイナーの優れた仕事だったわけだ。
https://designcommittee.jp/gallery/2022/07/dg779.html
だから、長いレンズフードが別売でも用意されていなかったこのレンズには、あれこれ考えて、結局は八仙堂で入手した*帯*路製であろうプレーンでシンプルな感じの金属製フード「望遠レンズ用フード ねじ込み式」を装着している。ただ、この長さはまだひかえめだろう。90mm相当になるAPS-Cフォーマットではなく、120mm相当になるマイクロフォーサーズマウントにはもう少し深さがあってもよさそうだ。
いま自分が所有するものでなんとかするならば、そうだなあ。ニコンAF-1に使う偏光フィルター用レンズフードHN-12の延長部分は⌀72だから、それだけを複数個重ねてステップアップリングで装着してみるか。
■困難な時代だからこそ機嫌よくふるまいたい
私は暑さにいささかまいっているのと、60歳未満でも基礎疾患持ちであるため4回目の接種券が発行されてあれのワクチン接種をした。だから、今日もこうして自宅周辺をうろついているばかり。あいかわらずということだよ。週末には台風も来るらしいしね。後藤隊長がいうように、台風ばかりはしかたがないさ。
週末に自宅で蟄居しているのは退屈するよな。しかも、またあれもああだから。でもさ、こういうご時世だからこそ、SNSに愚痴をぼやきを垂れ流して「ばかり」いないで、こうして好きな道具をいじりながらあれこれ妄想をふくらませつつ、「できるだけ」機嫌よく過ごすように心がけようぜ。困難な状況にあっても、機嫌よく「演じて」みせたりふるまって、みなを楽しませようとするひとたちを私は尊敬する。自分もそうありたい。
趣味や知識とは困難なときにこそ、気持ちをやわらげてリラックスさせるもののはず。そうして、あなたの精神衛生に役だつものなのではないかな。