2021年6月21日月曜日

【レンズフードの話】第六次レンズフード戦争「塹壕戦」に突入か。直径72mmのニコンゼラチンフィルターホルダーAF-2をどう使うべきか【2021年7月15日加筆訂正】

ニコンゼラチンフィルターホルダーAF-2は
⌀72mmのレンズ用

■⌀72mm用のニコンゼラチンフィルターホルダーAF-2
先日のエントリーでは、ニコン旧製品の⌀52mm用ゼラチンフィルターホルダーAF-1の話をした。その文中で筆者は「AF-1とAF-2のセットをそれぞれレンズフードつきでワンコイン」で入手したと書いた。そこで、今回はAF-2のほうについて書いてみよう。

前部のレンズフードは⌀82mm。
なお「ゼラチンフィルターホルダーAF-2用レンズフード」の
前部にはねじは切られていない。
このフード同士での連結も筆者の所有するものではできなかった

ニコンゼラチンフィルターホルダーAF-2は3インチ(75mm)角のゼラチンフィルター用のホルダーだ。日本写真機工業会刊行「93年カメラ総合カタログ VOL.106」によると価格は税別6,000円。大柄だが4インチ(100mm)角用ではないところは注意されたい。ホルダー自体の構造はAF-1と変わらず、ホルダー自体が開いてシートフィルターを挟むようになっている。裏面に回転式でクリックのある⌀72mmのネジが切られているので、アタッチメントサイズ⌀72mmのレンズに用いる。それ以下のサイズのレンズにはサードパーティ製の各種ステップアップリングを使えば使用できる。

劣化したモルトプレーンは剥離して張り替えた。
ゼラチンフィルターをいまのところ使う予定がないので
モルトプレーンは部分的に貼っている。貼らないと隙間が鳴るのだ。
AF-2は大柄だがあくまでも3インチ角用なので注意

■前部には⌀82mmのねじ込み式フードを装着可能
AF-2はおそらくは中望遠レンズ用にと考えられていたのか、付属するレンズフードは先端からねじの基部後端までの長さが約40mmというサイズ。キヤノンのゼラチンフィルターホルダーやのちのAF-3およびAF-4のように、20mm程度の短いレンズフードを焦点距離に合わせて連結する仕組みにはなっていないので、広角レンズにはこのフードは長すぎて使えない。ホルダー前面のレンズフード取り付け部分は⌀82mmのネジが切られているが、付属するレンズフード前面にはネジは切られていない。

AI Nikkor 85mm F1.4Sにはよく似合うが
私には長さがいまひとつ足りない感じ


AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dにはいい感じ。
⌀62mmのフィルター枠と62-72ステップアップリングを併用。
かっこいいけれど35mmフルサイズではケラれるので
このセットで使用可能なのはAPS-Cサイズ(ニコンDXフォーマット)ボディのみ

なお、連結式のAF-3用ねじ込み式レンズフードHN-36は⌀82mmでAF-2にも使用可能だ。これは自分でも購入して検証した。HN-36は新品ではけっこうなお値段がするので、いまひとつ懐には優しくはない。

そこで、筆者は所有する⌀86mmのコンタックスメタルフード各種を用いる組み合わせを考えた。⌀82mmのW-1を使うと広角レンズに使用できる。望遠レンズには82/86アダプターリングを介してコンタックスメタルフード5を装着すればいいだろう。

AI AF Nikkor 24mm f/2.8Dには
AF-2付属のレンズフードではなく
コンタックスメタルフードW-1を使用。
52-72ステップアップリングを併用している

⌀52mmのAF-1を装着したAI AF Nikkor 35mm f/2D(左)と
⌀72mmのAF-2にコンタックスメタルフードW-1を装着した
AI AF Nikkor 24mm f/2.8D(右)

似合うとは思うけどエリザベスカラーのよう

■いつのまにか「AF-2の活用方法探し」になっているぞ
さて、みなさんはここまで読んでいただくとお気づきになるのではないか。つまり、AF-1の場合までの私は「アタッチメントサイズが⌀52mmのニッコールレンズでも直径を太くしすぎないで済む有効なレンズフードはないか」という気持ちでいた。いまでも使っているのが⌀52mmの古いDタイプAFニッコールレンズとマニュアルフォーカスのAI-Sニッコールレンズが多いから。

ところがこのAF-2の場合は「どうすればAF-2を活用できるか」というふうに、筆者の思考が変わってしまった。まあこのあたりが「レンズフードの鬼」であるゆえんだ。成仏したいから、優しい鬼殺隊の剣士に遭遇したい。AF-1もAF-2も付属説明書なしで入手したからフードの長さのめやすがわからないことと、AF-2は意図せず入手したものだからではあるけれど。

AF-1もAF-2も、2021年現在ではゼラチンフィルターホルダーとしての本来の役割を果たす道具として使うことは、私にはほぼないだろう。だから実質的にはこれらゼラチンフィルターホルダーとは、DタイプのAFニッコールレンズに80年代から90年代的な「業務用テイスト」を、いわば「追加トッピング」するようなアイテムだ。そういうのが好きな方にはかっこうよく見えるとは思うし、共感いただけるだろうか。昭和のおっさんの粋がりアイテムってこと。

ずっと見ていると、ゼラチンフィルターホルダーが昔のひとの大きな襟飾りのように見える。大きな襟もなにかの効果よりはむしろ装飾が目的だもんな。とはいえ、まったく効果がないなら私は使わない。

哲学者のフランシス・ベーコン(1561〜1621)

エリザベス1世(1533〜1603)

そして、レンズ単体だけよりも収納スペースを食うのは確かなので、コンタックスメタルフードと使いわけている。あれも大きし重くなるなあ。

組み合わせ式のレンズフードは個々の専用レンズフードよりもケラれにくいようなマージンが設けてあるぶん、サイズが大きくなりがちだということがこの1年で気づいたことだ。かちゃかちゃと組み替えるのはおもしろいけれど、急ぎの現場でレンズ交換とともにレンズフードの組み換えを行うのはあまりよろしくはないかも。

アタッチメントサイズが⌀52mmよりも大きいGタイプニッコールレンズや、ZマウントレンズにもAF-2は使える大きさだから、そのうちそれらを使うようになったらまた組み合わせを考えてみようと思う。そうすればいくらワンコインであっても長く役立てることができるから。こじつけだ。

なお、現時点で私が唯一所有しているGタイプニッコールレンズであるAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)ではAF-2と付属フードではケラれてしまうので使えない。58-67ステップアップリングを介して67/86リング+コンタックスメタルフード4の組み合わせが気に入っているので、そのままでいいや。

AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dには
62mmフィルター枠+62-67ステップアップリング+67/86リング+メタルフード4
AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition)には
58mmフィルター枠+58-67ステップアップリング+67/86リング+メタルフード4
こうしてみるとコンタックスメタルフード4は50mm近辺に向く長さなのかも


斜光線を切る効果についてはもうあえて言及しない。もちろん効果がまったくないわけではない。AF-2の付属するフードでは50mmから60mmでは長く、85mmには短い感じだ。長さの調整ができればさらに効果が向上しそうだ。そして、広角レンズに使うにはハレ切りはどうしても必要だ。

D7200+AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

D7200+AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

Df+AI AF Nikkor 35mm f/2D
画面左の木で太陽を隠してハレ切りをしている

私自身はものを集めたいわけではない。たとえば、いまの私はもし鉄道模型を始めるならば、集めるよりも作りたい、手を動かしたいと考えている。この一連のレンズフードの話も、それに似ている。なにかものを買い集めたりコレクションしたいわけではなく、撮影を効率的にしてより高画質を得られるようにしたい。具体的にはどうすればより効率的に確実に斜光線をカットできるかを考えていた結果として、こうなっているつもりなのだが。どうみてもものばかり集まっているのが心苦しい。

AF-1とAF-2については今後、晴れている日に使用経験を増やしてみないとわからない。これまでの経験から見ると、ハレ切りに役立つレンズのフード長さと口径の相関関係があるようでも、その「スイートスポット」はものすごく狭いようだ。長さの微調整がしやすい所有している蛇腹フードを使えばいいという説もあるね。

「もう少しでケラれるギリギリの長さと口径」になるレンズフードを汎用品から見つけていく作業は興味深いが、正直にいうと少し疲れた。純正レンズフードでは短すぎるから始めた作業ではあるし、誰かに頼まれたわけではないのになんだかあれだ。

ステップアップリングを洗浄してタミヤカラーのマットブラックを吹き、試写ばかりを重ねることになるから。ステップアップリングの光沢塗装もやめてくれないかなあ。

だから、この「レンズフード戦争」はとうぶんのあいだは「敵と対峙して一進一退」という塹壕戦のようなこう着状態になるんじゃないですかあ。なぜか他人ごとのような書き方だ。なにかを買うのは私にはもうおなかいっぱいだからね。

Nikon DXフォーマット機に使うならば
この組み合わせは可能。これはこれで似合う

【2021年7月15日追記】
本記事初出時には、AF-2をAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dに装着して35mmフルサイズで使用できると書きましたが、無限遠で使用する際にケラれることがわかりましたので、訂正しお詫び申し上げます。FXフォーマットボディではAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8DとAF-2の付属レンズフードの組み合わせは推奨できません。ご注意ください。

【2021年7月30日追記】
AF-3用のレンズフードHN-36がAF-2にも使用できることがわかったので、加筆訂正しました。