■85mmがうまく使いこなせなかった
むかしむかし、おそらくは中高生だったころ。35mm判換算で焦点距離が85mmから105mm程度の中望遠レンズとよばれる焦点距離をうまく扱うのが、筆者には本当に苦手だった。より正確にいうと「なんとなく絵にできてしまい、そのくせたいしておもしろみがない感じ」がいやだった。適度な遠近感があり、対象をゆがませないですむ。けれど、それ以外の絵作りをしにくい焦点距離であるといっていいだろうか。
カメラ誌やメーカーカタログをひもとけば、お約束のように「中望遠レンズは人物撮影に最適」とある。とはいえ、自分で人物を撮るさいに85mmを使ってみたものの、ありきたりにしか撮れない気がして、やはりなんとももどかしい思いがした。どうしても自分が使うと「宣材写真」みたいに仕上げてしまうのだ。