手芸屋さんは移転して盛業中みたい。西友八日市店もまだあるのね |
■もうひとつの「近鉄」
「近鉄」とは「近畿日本鉄道」の略称だ。けれど、近畿地方にはもうひとつの「近鉄」がある……らしい。というのは、滋賀県の近江鉄道のことを自分はそう略さないから。Wikipediaでどこかの誰かが書いたようなにわか知識なのでアレだけど。というわけで、この夏に筆者が2ヶ月ほど大阪で療養生活を過ごした際に撮り歩いた「関西リハビリ鉄」記事も、近畿日本鉄道の電車の記事の次に近江鉄道の訪問記を記すことで、最終章とする。退院した日に帰京する際に、いままでやってみたかったルートで帰ることにした。それは、新大阪からいっきに新幹線で都内へ戻るのではなくて、米原まで寄り道してそこから新幹線に乗るということ。
そして、新大阪から米原まですべてをJR在来線に乗るのではなくて、近江八幡から近江鉄道に乗った。筆者は西武鉄道沿線在住歴が長くて、グループ会社である近江鉄道のことがずっと気になっていたのに、これでようやくはじめて訪問できたことになる。
■「彦根城が見えるころにきょろきょろと列車を探すあなたは立派なレイルファン」
あれはたしか、山と渓谷社が1980年代に出していた「ヤマケイのレイルシリーズ」にある『ヤマケイのレイルシリーズ 7 大阪の電車 京阪神の国電・私鉄』(写真:廣田尚敬、解説:吉川文夫)のなかだったはず。吉川文夫さんが近江鉄道のページでこう書いていたと思う。前掲書がもう手元にないのでうろ覚えではあるけれど……。たしか、「新幹線が米原を過ぎて彦根城が見えるころになると、近江鉄道の列車が見えないかなときょろきょろと見渡すようなら、あなたは立派なレイルファンだ」というようなことを。
じっさいに近江鉄道を訪ねるまえの少年のころにこの一文に接した筆者は、その後修学旅行や観光で京都や新大阪まで新幹線に乗るたびに、米原あたりから沿線風景を目を凝らして見るようになった。するとたしかに、ひなびた単線の線路が見える。なるほど、あれが近江鉄道の線路なんだな、と思うと新幹線の旅の退屈さが少しだけまぎれる。列車を見たことはめったにないとはいえ……。
この夏に大阪の病院へ向かう際にもやはり、新幹線から近江鉄道の線路を眺めていた。そうして、元気になったら乗りに来ようと決意していたのだった。だからこそ、退院時の帰路には近江鉄道を経由したかった。もちろん、近鉄で青山峠を越えて四日市に行き、三岐鉄道を……とも考えたけれど、それはまた次回。三岐鉄道は時間をかけて訪ねたいから。
■近江八幡で「昭和の西武新宿線」の気分を味わう
そうして、新大阪と山科で乗り換えて私は東海道線で近江八幡へ向かった。いま思うと、草津で草津線に乗り換えて貴生川へ出て、そこから近江鉄道に乗ってもよかったのでは……もしかしたら草津線なら113系電車にも乗れたかもしれないのにと思う。それはまあアレだ。たぶん、暑くて思い浮かばなかったにちがいない。それでも、山科では上り京都行き113系「SHINOBI-TRAIN」を見て度肝を抜かれた。
そうして、近江八幡で近江鉄道八日市線に乗り換えると、プラットホームには800形電車805編成がいた。いろいろと改造されていても、ステンレスドアが未塗装のままで側面から見ると原型の西武401系電車らしくて、なつかしい。なによりも車内に乗り込むと、上信電鉄の元西武車に乗っても感じるように、通学で乗っていた昭和60年代の西武新宿線を思い出させるのが楽しい。むかしがすべてよいわけではもちろんないけれど!
はじめて乗った電車は800形805編成! |
昭和60年代の西武新宿線に乗っている気分 |
萌え成分がけっこう多いのね、近江鉄道って |
「海側・山側」って表記のある電車をはじめて見たかも |
さっそくすれ違った電車も萌え成分高め! |
さて、近江八幡を出た電車は田園地帯を走っていく。日本中あちこちにありそうな光景なのかもしれないけれど、古くから人が住む地域だけあって、ときどきとても古めかしく立派な家が見えるのはこのあたりらしさなのか。降りて歩いて列車を撮ってみたい……と思いながらも、先が長いのと今回は荷物が多いのでおとなしく乗りを楽しんだ。
なにかで見た新八日市駅の駅舎はあれかあ! などと感嘆の声を上げていると電車は八日市に着いた。列車は線内折返しのようで、彦根・米原方面へは対向ホームにやってくる列車に乗り換えるように案内された。そこでやってきた電車は、予想していたとおりに、さんざん西武線内で撮ったアイツだった。(以下、続きます)
日本中どこにでもありそうだけど、こういう感じがいい! |
これが新八日市駅の駅舎か |
真横から見ると西武電車だ |
■【上信電鉄撮影記事】150形クモハ151-クモハ152に萌え☆(2016年2月7日)
■【西武鉄道1980年代】西武時代の西武401系電車のこと(2016年2月8日)
【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH. /LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S./Adobe Photoshop CC 2019