2020年4月3日金曜日

【秩父鉄道2012年4月】Nikon F2で桜堤散歩


■はじめにおことわり
なにかと家にいるので作業に使うコンピューターのハードディスクを入れ替えた。作業のあいまに、2012年4月に撮った秩父鉄道の荒川沿いにある駅の周辺で撮った写真が出てきた。これを書く前の週末あたりにこの場所一帯のソメイヨシノが見頃だとTwitterで見ていたから、じぶんでも見たくなった。

そこで旧ブログで記事にしていたものの、画像処理がどうしても気に入らなくてこのブログでは記事化していなかった。画像処理をやり直して新たに記事化することにする。この春は私自身はとても健康なのに積極的には遠出しづらいので、古い写真を整理しながら来シーズンへの構想を練ることにしよう。

■2012年4月の熊谷・荒川桜堤
鴻巣にそのころいた主治医に会いに行った日の午後に、用を済ませてから高崎線に乗って熊谷へ行き秩父鉄道に乗り換えた。よく通っていた熊谷市内の荒川沿いにある駅の春のようすを見たかった。

熊谷で下り三峰口行きとして待っていたのは1000系電車の国電リバイバルカラー「オレンジバーミリオンII」1003編成だった。ソメイヨシノが開花し始めるころの日中の気温は18℃くらいにまで高くなる。正午過ぎのこの日もおだやかに暖かくて、列車が走り始めると、上熊谷、石原、ひろせ野鳥の森と熊谷から離れるにしたがって、うとうとと居眠りをしているひとたちの姿が目につきはじめた。

私もうたた寝をしたくなったけれど、列車が荒川沿いを走り始めるころには眠ってなんていられなくなった。ソメイヨシノが咲き誇っているのが目についたからだ。そうして川沿いの駅で降りた。


上り方にある小さな第4種踏切を渡って荒川の築堤に出るあたりの雰囲気が好きで、それまでにもよく来ていた。あたりはアブラナの甘い香りもする。春になったらここにシートを敷いて木陰で弁当でも広げて、そのあとでうたた寝でもしてみたい。そう思っているけれどなかなか実行できないでいる。SLパレオエクスプレスが走るとついそれを追いかけてしまうし。

もっとも、とてものどかに見えるように写しているから写真からはわからないけれど、この踏切の背後にはコンクリート製品を作っている工場(ゼニス羽田株式会社熊谷工場)があり、平日は工場が操業する音と出入りするトラックの音が絶え間なく聞こえるので、のんびりするのは土日がいい。



荒川の築堤を歩いて駅の下り方の踏切に出たところで、遠くから電車とはことなる水色の車体とヘッドライトが見えた。この区間は鉱石貨物列車は走らないのでなんだろうかと思っていたら、武川から広瀬川原貨物駅(熊谷工場)への電気機関車の回送列車だった。次位に無動力でデキ108号がつながれていた。好きな機関車だったのでうれしくなった。



この日はそう長居しないで引き上げてしまったようだ。上り列車としてやってきたのは、京浜東北線色の1001編成スカイブルーだった。帰り道の記憶はまったくないが、都内で用事があったらしい。いまなら用事がなければ日没後までねばるだろうか。


この日はNikon F2にNIKKOR-O 2.1cm F4AI Nikkor 50mm F1.8Sをつけて撮っていた。前年夏から入退院を繰り返していて、しばらく使わないでいたフィルムカメラを触りたくなったようだ。NIKKOR-O 2.1cm F4というのは、S型ニコンから転用された対称光学系を持つ古い超広角レンズだ。「21mm」ではなくて「2.1cm」と表記する。ミラーアップ機構とこのレンズ用の突起が備わっているFとF2、ニコマートの一部でのみ使用可能だ。ミラーアップして使うので、外づけファインダーを別途用意する必要がある。ピント合わせは目測だ。私の持つ個体はかなり酷使されてフィルター枠もがたがたでファインダーもレンズリアキャップも付属しない。だからそれなりに安く手に入れたのだと思う。

このレンズがデジタルカメラではどう写るのかはいまでも興味があるのだが、このレンズで使えるアダプターが2020年4月のいまや存在しない。ふつうのFマウント用アダプターには装着できないのだ。どうやら、2003年3月に発売されて2007年まで製造されていたコシナのULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical SLとSUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical SL用に存在したVoigtlander F-Lアダプターリング(リンク先はPDFファイル)があれば、それをライカスクリューマウントから変換するアダプターを併用してミラーレス機に装着できるらしい。ざんねんながら上記アダプターリングを入手できないので自分で試したことがない。対称光学系の超広角レンズでもRUSSAR 20mm F5.6のほうがずっとかんたんに35ミリフルサイズミラーレス機に装着できる。いずれも後部が大きいので装着できないカメラも多いのは要注意。NIKKOR-O 2.1cm F4はアダプターがあっても装着できるカメラはむしろ少ないのではないか。私自身が確認できない。

現代のレトロフォーカスの超広角レンズを使うほうが、もちろん苦労しないでも高画質を得ることができるね。

上記写真はほんとうはF2につけて写すべきだろうけれど、Fのほうが似合うのでFにつけた。

この日はそのころ出回っていたコダックの安いカラーネガフィルムを入れて撮っていて、このカラーネガがじつにスキャンしづらいフィルムだった。銘柄も覚えていない。以前の記事ではそれをうまく処理できないでいた。友人にあったさいに「あんなフィルムを使うから」と苦笑されたのを覚えている。こんどはもっといいカラーネガをつめて撮ってみたい。

【撮影データ】
Nikon F2 Photomic A/NIKKOR-O 2.1cm F4, AI Nikkor 50mm F1.8S