2021年1月27日水曜日

【西武新101系撮影記事】西武園線を行く新101系電車263編成


■注目される西武新101系電車263編成の去就はいかに
西武池袋線と新宿線の両本線から新101系電車が去ったのは2012年の秋の終わりだった。それから8年以上のあいだも、多摩湖線と多摩川線にはワンマン運転に対応した新101系電車が残されていて日夜走り続けていることは、ここに来てくださる鉄のお仲間のみなさんにはご存知の通り。そして、多摩湖線での旅客用途と各種車両の牽引車代用として全電動車の263編成のことも。

西武鉄道の「2020年度鉄道事業設備投資計画」(リンク先はPDFファイル)には「国分寺駅のホームドア設置」とあり、「西武鉄道の国分寺駅はふたつあるがどちらのことだ」と発表当初は私は思っていた。それが、多摩湖線国分寺駅ではじっさいにホームドア設置に関すると思しき工事が始まり(1月29日追記:国分寺線国分寺駅の5番線プラットホームにはホームドアは設置されたようです)、2021年1月現在ですでに3編成の9000系電車が4両編成化とワンマン運転対応工事がなされて運用入りしている。したがって、「西武線ブロガー」のみなさんなどがあちこちでいわれている2021年3月で多摩湖線より新101系電車が運用離脱するというのは、おそらくはほんとうなのだろう。

ただし、事業用車兼用であるこの263編成だけは玉川上水車両基地から転属して用いられ続けるのではないかという憶測もなされているようだ。私自身も1月の第三週めに、小手指車両基地でこの263編成が「西武球場前」という方向幕を表示して通電したまま留置しているのは目撃している。多摩川線との新101系電車の入れ替えを行う甲種輸送の準備ではあったはずだが、方向幕の変更は甲種輸送には関係がないものだ。その予想のとおりに3月以降に狭山線用に小手指車両基地へ転属して用いられ、今後も263編成が残るならばありがたいとは筆者も思う。

この件に関してはすべて憶測でしかなく、それ以上はわからないので、私にはこれ以上は言及できない。走り続けたらいいよね。

■西武園線で走るのを目撃してしまった
さて、その263編成が今年に入って数回ほど、西武園線で運用入りしているのをたまたま西武鉄道公式アプリで見てしまったことがある。私が見たのは小手指車両基地に263編成が行くまえ、緊急事態宣言の発令されるまえの1月第二週だ。自宅から遠くはないので散歩を兼ねてでかけた。今日お見せするのはそのときのようすだ。


前回のエントリーで取り上げた航空自衛隊のYS-11シリーズと同様に、自宅から近いところに好きな被写体があるというのはとてもありがたい。ただし、時節柄ひとがたくさん集まるところは避けたい。そこで、さいしょに新宿線から分岐する手前の踏切で待ったら……新宿線下り列車に被られたり、いろいろとあれでしてね。チャンスを活かせないだめなやつだなあ! と我ながら苦笑いをした。

■翌日も走った
その翌日のことだ。なにげなくアプリで西武園線の運用を見たら……翌日もまた263編成のお出ましを知り、再び散歩に出た。散歩ですよ、散歩。おやおや、ちょうど去年の今ごろも似たようなことをしていたっけ


西武園線は全長2.4キロメートルしかないので、全線を歩いても軽い散歩だ……などといいながら秋から冬にかけての寒い時期にばかり歩いているな、私は。

さて、西武園線の線路は東村山を出て新宿線と少しだけ並走してから、大きな曲線を描いて西武園駅をめざす。このあたりは住宅街だ。直線区間に入ると北山公園という比較的大きな公園の端、八国山緑地との境の部分を走る。このあたりは一気に加速するので263編成に乗っているといい感じの加速音を聞くことができる。そして北山公園を抜けて東村山市立北山小学校の先にある八国山たいけんの里のあたりで線路はやや北に曲がる。西武園駅はこの曲線を抜けるとすぐだ。

この曲線のあたりはかつて存在した旧野口信号所跡地だそうで、ここから現在の狭山公園方向に線路が伸びていたという。旧武蔵野鉄道と親会社の箱根土地(のちのコクド)が建設した現狭山線と現多摩湖線に対抗して旧西武鉄道が村山貯水池に向けて当時の西武園線(旧西武鉄道村山線の延伸部)を建設したという歴史も興味深い。村山貯水池(多摩湖および狭山湖)を一大観光地にしようという時代の名残だ。

Google Mapよりキャプチャ

戦時中に旧西武鉄道と武蔵野鉄道が合併し現在の西武鉄道になり、終戦後に路線や駅の整理が行われた結果、村山貯水池そばにあった二つの駅も整理されて西武園駅と多摩湖駅(現在の西武遊園地駅)となり、それぞれの駅間が歩いて10分程度のところに位置するようになった。西武園駅は競輪場最寄り駅となり、同時に西武園線は所沢・本川越方向へ鉄道で近道するルートとして残された。

東村山駅の配線や線形の都合上、本川越や所沢から列車は西武園線に直進できないために下り方向からの直通列車は存在せず乗り換えは必要だが、下り方向からは小平、萩山乗り換えもしくは小川、萩山乗り換えで遠回りして多摩湖線を使うよりも村山貯水池や西武園ゆうえんちにはアクセスしやすい。もっともいまは西武園ゆうえんちがリニューアル中なので、西武園線は西武園駅近くの住宅に住む方と、競輪ファンのための電車というところか。

東村山駅の改良工事により新宿線と国分寺線との直通列車は廃止されてしまったが、国分寺線と西武園線のあいだには直通列車は2021年1月現在には早朝にのみ存在する。

私が西武園線で好きなのは前述の北山公園のあたりだ。私に限らず多くの方がそこで撮った写真を数多く見かけるので、わざわざ言及するのもあれだけど。ほかのみなさんと「似た写真にしないようにする工夫」には頭をかなり使う。




■ダイヤ改正後はどうなるか
西武園線はふだんは新2000系電車の4両編成が充当されている。その予備はおそらく多摩湖線用の電車が充てられるようで、不定期ながら多摩湖線用の新101系電車各種、あるいは走り始めたばかりの9000系電車が走ることも。今年3月のダイヤ改正後にそれがどうなるのかは私にはわからない。ただ予想ができることは、新101系電車は多摩湖線から撤退したら西武園線の予備車に充てられることはなくなりそうだということ。「黄色くない9000系電車」が走ることがあれば「あたり」かな。

2.4kmしかない短い路線とはいえ、公園と丘陵の境を走るためにソメイヨシノやアブラナが咲くのを工夫すれば絵にもできる。そう頻繁に行くわけではないものの、ここも絵にしやすい路線だから今後も観察したいと思う。筆者からすると「近場の大切な被写体」のひとつだ。

【撮影データ】
Sony α7II/AI Nikkor 50mm F1.8S, AI Nikkor 85mm F2S/RAW/Adobe Photoshop CC 2021(2021年1月第二週の緊急事態宣言発令前に撮影)