2021年10月15日金曜日

【秩父鉄道撮影記事】ひさしぶりの訪問日は「デキの動きもりだくさんの日」だった

貴重な東急8500系電車だし、秩鉄でもレア編成だけど、うしろうしろ!

■寄居で降りたらすごいものが通過していった
先日のひさしぶりの秩父路訪問、より正確には秩父鉄道沿線散歩の日は鉄ヲタ的にはいろいろと興味深い一日だった。SLパレオエクスプレスが運行される平日であり、茶色塗装に変更されたデキ105号が試運転を行っただけではない。

どうやら翌日からの鉱石貨物列車の運行再開に備えて、武川から武州原谷貨物駅、影森に向けて電気機関車の送り込み回送が行われる日だったようなのだ。

毎年3月と9月の半ばに太平洋セメント熊谷工場では施設点検が行われて操業を止める。その期間内は秩父鉄道の鉱石貨物列車は運休になる。訪問するしばらくまえにTwitterで鉱石貨物列車の運休開始について知っていた。それからしばらく経ったので、そろそろ動き始めるといいなあという程度の気持ちで訪問をしたところ、寄居で東武東上線を降りて上り方踏切に向かって歩いているあいだに、なにか列車が通過していくのが聞こえた。

踏切に立って寄居駅構内を見ておどろいた。電気機関車が5重連で影森と武州原谷にむけて、鉱石貨物列車の運転再開準備のために回送されていくところだったのだ。5重連というよりも5連というべきなのかな。すべてが通電しているわけではもちろんなくて、4両は「ムド」すなわち無動力だったのだから。

うわあ、すごいものを撮り逃してしまった! やっちまったあ! とは思いつつ、それを知って待ち構えていたわけではないから、撮り逃してもしかたがないね。

すごい回送列車を見てしまった

この写真から見ると、下り方向の三峰口方から記すとデキ502(黄)+デキ302(水色)なのはわかる。さらに最後尾の熊谷方がデキ103であることも。Twitterで目撃情報をツイートされているみなさんから得た情報によると、<三峰口>502+302+303+507+103<熊谷>という編成のようだ。上り方向から<熊谷>103+507+303+302+502<三峰口>と記すべきかしら。

望遠レンズで撮ったものを思い切りトリミングしているが、気温が高くて画像が揺らいでいる。この前日と前々日に武川で電気機関車の撮影会が行われていたので、その展示から組み替えて5両を回送列車に仕立てたようだ。

もっと近くで撮りたいから駅のプラットホームに戻ろうか、と思っているうちに、対向列車に7001編成がやってきた。そして7001編成が駅を出発するとすぐに、この回送列車も駅を出ていってしまった。SLパレオエクスプレス5001列車の到着時刻が迫っている時刻だった。

小前田付近でもし線路沿いにいたら、このデキ回送とSLパレオエクスプレスをそう待たずに続けて写すことがデキたろう、いやできたろう。とはいえ、撮れなかったものはしかたがないさ。

■そのあとでデキ105を撮っていたら
さて、寄居から広瀬川原へデキ105号を見に行ってみたら、試運転が行われることに気づいてそれを待ち構えたというのは前回のエントリーで記した通り。デキ105号が永田へ去ったあと、移動のために最寄駅で列車を待っていると、広瀬川原に向けて緑色のデキ505号が単機回送をしていくのが見えた。

そういえば……午後にそういう回送列車があるようで、すいぶんまえにもそういう列車に遭遇したことがあると思い出した。これもまた撮れなかった。予想していないものはそうそう撮れないもの、しかたがない。と思い、くよくよせずにデキ105号が永田から戻ってくるのを待っていた。そういうところのあきらめがいいのだ、私は。気持ちの切り替えは、わりとあっさりとできる。できなかったことをいつまでもうじうじいっていても仕方ねえだろ。

すると、上り方の踏切警報機が鳴り始めた。待ち望んでいる下り方から来る列車ではない。さらに、上り方から電気機関車の汽笛が聞こえた。もしかして、さきほどのデキ505号だろうか……。ところが、その予想はいい方向に裏切られた。広瀬川原でさきほど洗車されていたデキ102号が武川に向かって回送していくところだったのだ。


旧型機関車の要素がたくさんあるデキ100形との遭遇は、じつにうれしい。この回送列車のこともまったく予想していなかったので、大感激した。感激しすぎて背景の扱いがあれだけど。ゆるしてつかあさい。

■昼に見た回送列車のようすを見に行った
デキ105号の試運転とSLパレオエクスプレス5002列車を見届けてから、冒頭の回送列車がどうなったかを見るために、影森まで行くことにした。10月になると17時で日没してしまうので、写真は撮れなくても構わない。ただ、影森着は18時ごろなら、もしかしたら残照はわずかにあるかもしれない。やってきたナナハチに乗った。


途中の武州原谷貨物駅を通過する列車から観察したところ、さきほどの回送列車のうちうしろ3両が武州原谷にいるのが見えた。つまり、すべて水色の塗装のデキ303号、デキ507号そしてデキ103号ということだ。なんとなくそうだろうと思った。うしろ3両を切り離して、先頭の2両は影森まで行くというほうが、解結の手間がかからない。でも、すでに暗くてさすがに写真には撮れなかった。

そうして影森に着いた。あたりはすっかり暗い。このわずかに残照を残した時間帯の駅周辺の路地を歩くのが好きだ。あちこちの家の台所で夕食の支度をする音と香りがするのもいい。




そんなことを考えながら三輪線向け列車が留置される下り方踏切に歩いていくと……昼の回送列車の先頭2両がいた! すでに翌朝の三輪線運用のために編成されている2本の列車の先頭に、黄色のデキ502号と水色のデキ302号がいる。おそらくは翌日からの鉱石貨物列車の運転再開第一陣は黄色デキ、第二陣は水色デキが先頭に立つのだろう。


夜の撮影が好きなくせにその準備をしてこなかったので、三脚は持っていない。そこで、踏切遮断機の機器箱や手すりにタオルを載せてからカメラを置き、上からカメラを押さえつつ何枚もスローシャッターを切った。この場所は周囲の明かりが少ないので、完全に日没するまえのほうが好ましい。対向列車の前照灯を使うという方法もある。三脚はなにかと持っていたほうが撮影の自由度が増すね。

鉱石貨物列車はこっからはド派手に行くぜ、などと『鬼滅の刃』の宇髄天元のようなセリフを吐きたくなった。秩父鉄道の「中の方」もそう思ったのではないかしら。ようしらんけど。

暗がりのなかではこの塗装だったのはめだってよかった。イェーイ!

■ここまで撮れば私はお腹いっぱい
さて、影森まで来ると御花畑で降りて西武秩父線経由で帰宅したくなる。だが、私が持っているのは「東武鉄道×秩父鉄道SAITAMAプラチナルート乗車券」だから、そうするとせっかくの切符がむだになる。そこで、寄居まで上り列車に揺られた。

経路検索アプリを見てみると、タイミングにもよるだろうけれど、西武鉄道の特急列車を使うのではなければ自宅までの所要時間はどちらでもあまり変わらない。通常の乗車券を購入するならば西武秩父線経由のほうがずっと安いのだが、今日は東上線内にも乗ることができる乗車券を持っている。

そうして秩父鉄道の普通列車、さきほど乗ったのと同じナナハチに揺られて、すっかり暗くなった寄居で降りた。そして東武東上線ホームを見ると……おや! 東武30000系電車が留置されている。午前中にはいなかったし、秩父鉄道線内でも牽引されているところなどは見かけなかったから、午後にでも森林公園から回送されてきたと考えてよさそうだ。さきほど寄居を通りかかったときにすでにいたはずだ。

ここに留置されているということはつまり、翌日には秩父鉄道線内を回送されるということ。そういえば、線路沿いでお会いした方もそんなことを教えてくれたっけ。このあいだ東武50000系が回送されたけど、こんどは30000系の回送がある、とかなんとか。



そういうわけで、久しぶりの訪問では鉱石貨物列車自体は走っていなくても、その前日に電気機関車があれこれと動き回る、とてもおもしろい日にあたることができたというわけだ。なんとなく興奮してしまい、その夜はなかなか寝つけなかった。

これから気候が安定してくるし、鉱石貨物列車が運転再開するならば秩父路訪問はいろいろと楽しめそうだ。5000系電車も1運用だけは走っているのを見かけたし。観光客にもヲタにもハイシーズンの到来だ。

なお、この東武30000系電車は翌日にデキ102号に牽引されて羽生まで回送されたそうだ。なんとなく、あくまでもうっすらとした予感だったけれど、そうなるのではないかという気がしたんだよな。

【撮影データ】
Nikon D7200, iPhone 7 Plus/AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D, AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D, AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED/RAW/Adobe Photoshop CC