昨年秋より、一眼レフのNikon DfボディにアルカスイスタイプのL型プレートを装着している。全球速卖通(全球速売通)……いやそのA*i*x*r*s*といいますか「東アジアのとある越境ECサイト」で購入した品物で、グリップも兼用する。
だが、購入当初はグリップ部内側がボディとの形状と微妙に合わず、装着することさえできなかった。返品してもよかったしそうする権利もあったものの、どういうわけか正当な権利を行使する気力さえ失って数年間放置していた。
そういうわけアリの品物ならば、ひとことそう書いてくれればいいのに。そんな品物だ。
画面中心を示す白線は筆者が下手に入れたもの。やり直すつもりだ |
だがそのあと、ダイソーで買った小型ハンドグラインダー(商標でいうと「リューター」。ダイソーでは「6Vタイプミニルーター バッテリーBOX付」と「ルーター」と記す)でグリップ内部をごりごり削ってみたら使えるようにはなった。そしてグッタペルカ(カメラ革)をグリップに貼りつけたら、いまや手放せないほど役立っている。結果として購入してよかったわけだ。
だからといって、あれを黙って私に売った連中への負の感情は……消えるわけねえだろ。ざーこざーこ。ぜってー許さねえ。金額の問題ではなくて信義とか倫理観の問題ね。今後はカトリックふうの十字の切り方だけではなく東方正教会ふうのものも加えることにし、メッカの方向にもお願いするつもりだ。
負の感情はともかく。アルカスイスタイプのL型プレートの便利さは日々味わっている。横位置と縦位置の切り替えがしやすいからだ。雲台を調整する必要がなく切り替えができる便利さは捨てがたい。
私の個体ではセーフティストップのねじは手を切るほど痛くはない。 底面に1/4ねじ用の穴が開けられているのは緊急用に役立つかも |
■Nikon D7200にも用意したい
そこで、自分が業務用に頻用しているNikon D7200にもL型プレートを装着したくなった。D7200はすでにずいぶんまえに旧製品になっているが、2,400万画素のローパスフィルターレスAPS-C型センサー機はずっと登場しないままだ。
そこで、自分が業務用に頻用しているNikon D7200にもL型プレートを装着したくなった。D7200はすでにずいぶんまえに旧製品になっているが、2,400万画素のローパスフィルターレスAPS-C型センサー機はずっと登場しないままだ。
実質的な後継機種であるD7500はライブビュー撮影や連続撮影がしやすくなった。バッファメモリー容量が増え、おそらくはめずらしい東芝製CMOSイメージセンサーだったものから、いろいろと定評のあるソニー製CMOSイメージセンサーになり、画素数が減ってイメージセンサーの画素ピッチが大きくなり、画像処理エンジンが新しくなったことなどの恩恵により高感度耐性が向上した。ボディサイズや重量もわずかにちいさく軽量化された。背面モニターもタッチパネル式のチルト型になった。
そういうふうにカメラとして基礎的な性能向上が図られたのはいいのだが、コストダウンとD500との差別化をねらったためか、マルチバッテリーバックが用意されていない。このことに不満がある。さらに、非CPUレンズへの機械的な露出計連動レバーもないので、非CPUレンズで露出計が作動せず絞り優先AEが使えないことも、仕方がないが困る。大多数のみなさんには困らないだろうが、この2点は私にはときどき困る。シングルスロットになってしまったし。これらを備えているD500では私にはやや大げさだ。
そういう理由と、なんといってもD7200の画質のほうが私の好みに合うので、D7200をいまでも使い続けている。東芝がイメージセンサー事業をソニーに譲渡してやめてしまったのだったよね。そういう理由もあってD7500にモデルチェンジしたのかなあと想像している。
ところが、旧製品になると関連アクセサリーは入手しづらくなってしまう。社外品であればなおさらだ。D7200用のアルカスイスL型プレートは各社ともにすでに生産は終わっていて、在庫が残っているものがほそぼそと売られているだけだ。
たとえば、高品質で定評があるReally Right Stuffの製品もベースプレートの在庫があるだけだ。ワイドトレードが日本国内総代理店をつとめるLeofotoでもD7100/D7200用L型プレートはすでに公式サイトに掲載されていない。
だが、私はベースプレートが使いたいのではない。縦位置と横位置の切り替えの利便性を向上させたいのだ。そうなるとL型プレートではないと困る。
じつはふだんはMB-D15を外して使うことが多いのだが |
■密林で仕方なく壱帯壱路
ないものは仕方がない。L型プレートを購入しようと決意したのが遅すぎる私のせいなのだし。それでもあきらめきれないでいるうちに、お米の国の越境ECサイトである密林でマルチバッテリーパックMB-D15に装着できるL型プレートを見つけた。全球速卖通ではなくても壱帯壱路な製品だ。
ないものは仕方がない。L型プレートを購入しようと決意したのが遅すぎる私のせいなのだし。それでもあきらめきれないでいるうちに、お米の国の越境ECサイトである密林でマルチバッテリーパックMB-D15に装着できるL型プレートを見つけた。全球速卖通ではなくても壱帯壱路な製品だ。
D7200ボディ側に装着するものを当初は望んでいたのだが、これをみてふと考えが変わった。三脚座のある重量の大きい望遠レンズを現在は1本しか使っていないので、MB-D15側にL型プレートを装着しておくのは自分の状況では理にかなっている。MB-D15側に装着するほうが、L型プレートの着脱もしやすくて便利かもしれない。
唯一引っかかるのは壱帯壱路製品であること。露骨な経済覇権だとは思うが、壱帯壱路に関する諸問題はさておく。ここでは壱帯壱路自体やその生産国が問題なのではない。残念ながら経験上壱帯壱路のカメラ関連製品はあからさまに商標権を無視した製品が多く、なおかつ「だいたいしかよくない」「悪くはないがバッチリとはいいがたい」ことが多い。これが問題だということ。大雑把で「ほぼOK」だがツメが甘くて残念なものが非常に多かった。あと、バッテリー生産量が世界一だが……バッテリーなどの電気ものは私にはいまだに少々怖い。だが国産L型プレートは存在せず、お米の国か加羅の国の製品を望んでいたのだが、終売であればやむを得ない。
どれも自分で使ってはいないので正確に評価できないのだが、深圳のレンズメーカーの製品、あるいはワイヤレスのエレクトロニックフラッシュ製品はなかなかいいようだし、広東省中山市にいくつもある高級三脚メーカーの製品はきちんとしているものが多いようなのに。
繰り返しにはなるが、自分ではまだ使っていないので上記について確信はかならずしも持てないけどね。
ただ、日本企業が正式に代理店契約をして輸入しているということは、危なっかしさがそうそう多くはないということだとは思う。また独自性のある製品を生み出しつつあるメーカーには、期待も評価もできる。
「だいたいしかよくない」ような安価なコピー製品をたくさん作って売り逃げするようなアクセサリーメーカーは、いずれ淘汰されていくのだろうか。世の中に出回る商品が「価格は安いがだいたいしかよくはない」ものばかりになるのが、ものすごく嫌なのだ。
不動産バブルもはじけて投資ブームが終わっていくようだし、むこうのユーザーの目も肥えているだろうから、いいかげんな商売をするところはどんどん淘汰されてくださいませ……いや、2022年末になるとだいぶ淘汰された感じはする。
三脚座のあるレンズを1本しか持っていないので ボディ側にL型プレートをつけている |
■自力更生精神を発揮せずに使えそう
2022年10月にもなると、D7200で使えるL型プレートは汎用品以外では、密林(日本)でも1種類しか見当たらなかった。そのカスタマーレビューにも「セーフティストップねじの仕上げが悪く面取りがなされていなくて手を切りそうだ」などとあったので、しばらく購入すべきか迷っていた。
円安のせいもありむかしよりずいぶん値上がりして、お米の国や加羅の国で作られているより高品位な製品のような価格になってしまっていたからという理由もあった。
だが、Df用のあれで学んだのは「最悪でもダイソーの小型ハンドグラインダーで削ればワンチャンなんとかなる」だ。そしてむりして若者の言葉を使うと痛いな、ごめんぬ。
雑な製品をやはり雑な道具で加工してしまうのだ。毒を持って毒を制す、というとダイソーには申し訳ないか。アニメ『平家物語』での平清盛の台詞を引用すれば「おもしろかろう」というところ。加工箇所はさいわい機械部品や電気部品でもなく、目立つ外装でもない。そこで注文した。打ち奉れ打ち奉れ!
「打ち奉れ(打ち申し上げろ)」と謙譲語なのは、たんに『平家物語』の橋合戦を思い出したから。
届いてから非常に疑心暗鬼になって装着してみたら、そう悪くはない。セーフティストップねじも届いた個体は触れても痛くはない。「革命的服务」な「优秀の制品」「マ儿力ヌ亻ヌタ亻プL型プレー卜」ではなく、思ったよりは「アルカスイスタイプL型プレート」として「日本の消費者としてもそう悪いと思えない」くらいの水準の製品だった。あくまでも「そう悪くはない」というところは注意されたい。
期待値が思い切り低かったためにむしろ安堵している部分が多いというのは、よろしくはないかもしれない。
ただ、思うのだ。「運がよかったら購入時の状態のまま使えるかも」「最悪でも少々加工すればなんとか使えそう」というくらいの、非常に低い期待値を持っている。あるいは「返品するときの添え状の文章を考えるとオラわくわくすっぞ」という強気がないと、非常に安価であっても壱帯壱路製品の購入はおすすめできないと個人的には思う。
ねじに精密感がないとか、画面中心部を示すマーカーは自分で入れないといけないなどということは、もはやあまりなんとも思わない。そういうところを期待するほうがまちがっている。自分がたくましくなったのか、経験値が増えたのか、加齢でひとを信じなくなったからか。
いまのところ、自力更生精神を発揮して金属加工をする必要はおそらくはなさそうだ。ははははは。まあいいや。しばらく使ってみようと思う。
2022年10月22日午後追記:かんじんのアルカスイスタイプクランプとの互換性というか「きちんと取りつけられるか」どうかについていっさい書くのを忘れていた。このカメラ用プレートはINPON、雲台につけているクランプはMENGSだが、きちんと噛み合っている。
壱帯壱路のもの同士ならば「他社製」であってもすべてに使えるのかどうか、あるいはRSS、KIRKやMarkinsなどと組み合わせて使えるのかは、どれも所有していない私にはわからないので、あしからず。
■みなさんの期待には必ずしも添えるかどうかなんともあれ
購入したこの製品はすべてのみなさんに必ずしも合うとも思えませんし、高級なパッケージを期待されると困ります。「そこそこよかったらワンチャンなんとかなるんじゃね」という(ややばかっぽい)寛容さをお持ちであるならば……つまりは自分で万が一の際に工夫するのがいやではない方になら、おすすめできるでしょうか。いやあ、やはり怪レい日本语を笑えるくらいではないと「贵樣に才ヌヌ〆」できかねますので、あしからず。
電気系統をいじるようなものではないところだけは気楽ですが。
万が一お気に召さないものや期待はずれのものがお手元に届いても、私のことを恨まないでくださいね。それだけはお願いします。