2023年4月4日火曜日

【JR八高線撮影記事】寄居にて春を愛でる【令和5年版】


■春が来た
サクラの開花が今年は早かった。本稿執筆時点で本州ではもう東北地方の秋田周辺で開花が始まり、青森でももうすぐ開花が始まるようだ。筆者が住む埼玉県南部では3月15日ごろに平野部ではエドヒガンが咲き始めて、22日ごろからソメイヨシノが満開を迎えた。開花時期に気温が低くなったためか、意外と長いあいだ花が散らないで済んだように思える。春が来ちゃったなあ。

■八高線非電化区間を見たくなった
先日のエントリーで東武東上線のダイヤ改正翌日に寄居まで足を伸ばしたと書いたのは、八高線の非電化区間の春のようすを見たかったからだ。以前もこの場所に春に訪れた記事を書いている。コロナ禍まえの2017年3月末の秩父鉄道SLパレオエクスプレスファーストランの日のことだから、3月18日だったろうか。

まだ芽吹きが始まったばかりのころに、荒川橋梁を越えて走ってくる列車の姿を見るのが好きだ。




■数年ぶりのライトアップがじつによかった
この時期の日没は18時半ごろだが、八高線の列車は16時台に寄居で上下交換すると、次は17時台に寄居発17時54分発の高麗川行き列車しかない。そして、その次は18時半ごろだ。日没ぎりぎりの明るさで撮ることはまだしにくい。だから、16時台の上下の列車を撮ってから、鉢形城公園まで行った。さきほどの八高線の線路沿いからは2.4kmほどの道のりだ。正喜橋に出ないといけないので、やや遠回りではある。もし、まっすぐに荒川の対岸に渡ることができればもっと近いのだろう。

単焦点の望遠レンズ2本をはじめとする交換レンズ5本と、35mmフルサイズボディ2台という組み合わせはけっこうその……機材を軽量化するか筋トレをして鍛えるか……とこういうときにいつも思う。一台はAPS-Cサイズボディにするかマイクロフォーサーズでシステムを組むほうがスマートかもしれない。そうできるのに35mmフルサイズボディを2台持っていったのは自分だ。以前、APS-Cサイズ機とマイクロフォーサーズで撮ったことがあるから、35mmフルサイズでも撮ってみたかった。やや小さいマニュアルフォーカスレンズを中心に持ち出すことで多少の軽量化はしたのだが。

鉢形城公園に行ったのは、エドヒガンザクラの「氏邦桜(うじくにざくら)」がちょうど満開であると、たまたま昼間に訪問されていたおっとっとさんからうかがったから。樹齢150年を超える町の指定天然記念物で、高さは18メートル、枝張りは東西23.5メートル、南北21.8メートル、根回りは6.5メートルという大きな木だ。

この木は満開の時期になるとライトアップが行われる。コロナ禍の時期はライトアップは中止されていて、今年は久しぶりに行われていた。





■平和な光景が愛おしい
ここには何度も訪問して似たような写真を撮っているのに、ひさしぶりに見る氏邦桜のライトアップは美しくて、なんだか息を呑んだ。いつもは星が見えないことが多いが、この日は風もなく星も出てちらちらと瞬いていた。星景写真に挑戦するとおっしゃっている方もいて、なるほどなあと感心させられたし、ものすごくいいインスピレーションをもらえたような気もした。

ひさしぶりのサクラのライトアップに感激していたのは、一眼レフやミラーレスカメラを持ったひとたちだけではない。スマホを持って見に来た近隣のみなさんも同様のようだ。マスクを外して楽しそうに記念写真を撮るひとたちを見て、観光地でそういう光景を見るのもひさしぶりに思えた。なんとなくほろりとさせられた。

こういう平和な光景は意外と簡単に失われてしまうものだというのが、東日本大震災なりここ数年のコロナ禍で得た思いだ。だからこそ、大切にしないとね。

【撮影データ】
Nikon Df, Sony α7II/AI Nikkor 28mm f/2.8S, AI Nikkor 50mm F1.8S, AI Nikkor 85mm F2S, AI Nikkor ED 180mm F2.8S, AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW/Adobe Photoshop CC