2023年3月 |
さる10月5日(木)に、西武2000系電車2031編成は横瀬車両基地へ廃車回送されて営業運転を終えた。この列車は「さようなら2031編成ラストラン乗車ツアー to 横瀬車両基地」と名づけられてツアー形式で運行された。
これにより新旧あわせた「2000系電車グループ」のうち1977(昭和52)年から1988(昭和63)年に製造された「2000系」は2400番代の2両固定編成3編成(2409編成、2417編成、2419編成)の残すのみとなった。
【おことわり】本稿あるいは弊ブログではこれら「新」のつかない1988年までに製造された車両を便宜上「初期車」とも表記する。このグループ内でも通風器の形状や側面方向幕を製造時に装備した車両があるなどの増備ごとによる差異はあるが、大きく「2000系」とわけて、「新2000系」との差で「初期車」と記す。2031編成を正確に記すと「前期グループの第5次増備車」になるが、そう書くと煩雑になるからだ。西武オタクのみなさんにはお気に召さないかもしれないが、ご了承されたい。
2023年9月6日づけ西武鉄道プレスリリースにより、2031編成は10月中に廃車になることが報じられていた。このところ玉川上水車両基地所属の2000系初期車6両固定編成は国分寺線運用につくことが比較的多かったことから、昨年梅雨時の撮影を思い出してこの春や、時間に余裕のあるときに私は撮っていた。プレスリリースが出るまえに「そう遠くない日にこういう日が来る」ことは予想できたからだ。
いっぽう、2000系グループのうち1988(昭和63)年から1992(平成4)年に製造された「新2000系」とよばれる後期車のほうも、池袋線と新宿線で活躍しつつも廃車が進んでいる。2両固定編成の2400番代車は新旧合わせて2023年10月現在、すべて新宿線系統に集められているから、「前パン」になる2000系電車を見るならば新宿線系統でしか見ることができない。
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新101系や4000系といった抵抗制御車が残されるいっぽうで、界磁チョッパ制御の「省エネ電車」である新2000系が廃車になるのは、しろうと目にはいささか不思議に思えてならなかった。だが、界磁チョッパ制御は起動時と力行時は抵抗制御のままで、制動時に回生ブレーキを使用するというから、VVVFインバータ制御に比べると「省エネ効果」が低いようだ。
そして新2000系の台車は701系や101系などから転用されて老朽化が進んでいること、高耐候性鋼板が外板に使われていても、一段下降窓や戸袋窓、あるいは通風器からの水漏れによる腐食があるらしいことも、どうやら廃車される理由のようだ。
さる9月26日づけの西武鉄道のプレスリリースには、おそらくは西武鉄道オタクはみな腰を抜かさんばかりに驚かされたはずだ。
それは、本線系統には40000系電車を増備する一方で、支線系統に残されている新2000系、新101系、4000系、9000系を置き換えるために、東急9000系電車と小田急8000形電車を合計100両ほど購入すると記されていたからだ。
西武鉄道では「サステナ車両」と「他社から譲受したVVVFインバータ制御車両を西武鉄道独自の呼称として定義」している。
(以下プレスリリースより引用)
「サステナ車両」として、東急電鉄は「9000系」を、小田急電鉄は「8000形」を、 西武鉄道へ譲渡します。これにより、西武鉄道では、本線系(池袋線・新宿線など)への新造車両の導入に加え、「サステナ車両」を支線系(国分寺線や西武秩父線など)に導入することにより省エネルギー化を加速し、2030年度までに車両のVVVF化100%達成を目指します。なお、今回の連携による第1編成の運行開始は、2024年度を予定しております。
(引用ここまで。文中の全角数字は弊ブログの表記ルールに従い半角数字にした)
どうやらブラシレスの交流モーターを用いたVVVFインバータ制御化が主眼のようだ。さらには、譲渡車両の大半がステンレス車体の東急9000系電車が占めることから、武蔵丘車両検修場での塗装工程も廃止して環境負荷をより減らしたいのだろう。
2023年9月。交換相手は2461編成+ 2525編成という2+4の国分寺線ではめずらしい代走 |
導入車両の譲渡先も発表されている。プレスリリースによると以下のようになる。
東急電鉄「9000系」:多摩川線・多摩湖線・西武秩父線・狭山線
小田急電鉄「8000形」:国分寺線
(合計約100両)
2031編成が廃車になって新2000系の牙城になった国分寺線には、小田急8000形が走り始めることになる。国分寺線がそんなオタク的に興味深い「おもしろ路線」になるとは。
新2000系と小田急8000形は製造年度もあまり変わらないじゃないの……としろうとには思えるものの、譲渡車両はVVVFインバータ制御に更新済のものであり、そうなれば環境負荷の面から新2000系を使い続けるよりも得策であると判断されたようだ。そして、新規増備や改造をするよりVVVFインバータ制御化された中古車両を購入するほうが安価であるからとも。
「21世紀になったら西武国分寺線にVVVFインバータ制御化改造がなされた小田急8000形が走り始めるんだよ」と昭和の時代に少年だった筆者に話しても、とうてい信じてもらえそうにない。
なにしろ、筆者が少年だった昭和時代終わりごろの西武鉄道は抵抗制御で高出力の電車を独自でどんどん増備していて、環境負荷に関心があるように見えなかったからだ。増え続ける乗客をさばくことが主眼で、環境負荷にまで配慮する余裕もなかったかもしれない。
これはもう時代が変わったというひとことにつきる。そして時代が変わったにもかかわらず、堤家と関係のなくなったいまの西武鉄道が、他社から中古車両を大量に購入するという戦後まもないころのような手法再びを取るところも興味深い。コロナ禍後のいまはなりふり構っていられず、という感じなのか。
オタクができることはあれこれを類推しながら見守ることだけだ。今後も動向を見守っていこう。
Nikon Df, Panasonic LUMIX GX7 Mark II/AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D, AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED, LUMIX G 14mm F2.5 ASPH., LUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.S/RAW/Adobe Photoshop CC 2023