2011年1月29日土曜日

【京王6000系撮影記事】さよなら6000系電車えんじ帯リバイバルカラー車


■京王競馬場線運用の6000系電車を撮りに会社帰りに
「♪ぴぴぴっぴぴぴっ……」

駅のホームに電車の近接警告音が響き、自動音声が鳴る。
「3番線ご注意ください。各駅停車高尾山口行きが参ります……」

すると、本線の電車がやって来るタイミングに合わせて踏切の向こうのカーブをゆっくり曲がってくる電車の音がして、やってきたるは競馬場線6000系2両編成! しかも、なつかしいえんじ色帯を巻いたリバイバルカラー編成だ。

3月末で引退すると京王電鉄が公表した6000系電車は、本線の高尾山口行き特急や地下鉄直通電車、橋本行きにもなり、競馬場線や動物園線にも入るなど一時期は京王を代表する電車だった。左右比対称で左側の窓が小さくてなんだかウインクしているような角形の電車は、私にとっては親しみのあるお気に入りの電車だったといっていい。


■5000系電車よりも6000系電車が好きだった
私の年代からもう少し上の方々には、京王線の名車といえば5000系だろうと思う。アイボリーにえんじ色の塗装を初めてまとったパノラミックウインドウの電車だ。それまで路面電車の規格で比較的小型の車体を持ちライトグリーンのいささか地味な印象を与えた京王帝都電鉄(当時)の印象を、「高速鉄道」へ大きく発展させた京王の歴史に重要な1ページを与えた電車だ。車体の大きさが手ごろだったのか、いまでも、富士急行や一畑電鉄で見ることができる。

でも、私には5000系は少々古くさい電車に見えてしまう。「地味な通勤電車好き」な1970年代生まれとしては、物心ついたときに京王線の主役だったこの6000系によりシンパシーがある。

■私の世代には京王線は「高速鉄道」の印象
6000系電車が主役だったころに京王に乗った私には、京王はなかなかの速度でぶっ飛ばす鉄道という印象がある。かつては1,372ミリゲージで路面電車の規格で設計されていて、むしろ小型車両がのろのろと走る鉄道だったのだろう。

線形の改良と同時に車両性能自体の底上げを図り、「高速鉄道」への大転身を図るうえで5000系電車が果たした役割の大きさは書籍でしか知らないのが私たちの世代だろう。車体の大型化をさらに進めて大量輸送を可能にしたのが6000系電車の役割だったはずだ。いまは新宿から調布までノンストップの準特急で10分くらいだろうか。

同時に、特急や準特急といった「列車種別のインフレ化」が進んでいる印象もある。サイヤ人→スーパーサイヤ人みたい。子どものころも多摩丘陵の”山の中”をぶち抜いて高架線を行く相模原線の列車の速さはなんだか目を見張る感じがした。

そんな思い出のある6000系ともこの3月でお別れ。昭和の電車がまた一つ減って自分もまた一つ歳を取ったというわけ。さよなら、京王6000系電車!


■さよなら京王6000系電車
私にはまだまだ新しい電車に見えるけど、京王は回生制御車にすべて置き換える意向だそうだから、なんとも仕方がない。一段下降窓の腐食もあると聞いたこともある。ことことと控えめなコンプレッサーの音が響く。出発時間が来ると再び競馬場正門駅へ電車はゆっくり走って行った。

【撮影データ】
Nikon D2X/AI Nikkor 50mm F1.8S/RAW