2013年8月29日木曜日

【Nikon1関連記事】「意外とドジでも予想以上にいい」

センサーサイズが小さいせいで絞りを開いても被写界深度は深め
 
■Nikon 1 V1を買ってみた
Nikon1 V1はなかなかおもしろい。なにごとも経験してみないとわからないものだ、と改めて思わされた。

以前から、仲間うちでどのミラーレス機が使いやすいか、という議論をするなかで「Nikon1シリーズの動作は結構いい」という意見も聞いていた。ただし画質がいいという声は聞かなかった。ただ、この動作レスポンスのよさというのは重要で、実際にNikon1 V2を業務に使っているひとも知っている。私にとっても動作のよさというのはかなり重要な要素だ。少なくともデジタル一眼レフ(以下、一眼レフと略)を選ぶ際にはかなり重視する。

■ヒヒジジイがうるさいことをいう
一眼レフばかりを使い、しかもエントリーモデルを使わないのは、私がスカしているからではなく、動作がもたつくこととAF(オートフォーカス)動作が気に入らないことが多いから。エントリーモデルの小柄なボディサイズと絵は魅力的なのものが多い。ただし残念ながら現状の一眼レフの場合には、ボディサイズが小さくなると位相差AF用のサブミラーも小さくなり、受光できる量が少なくなれば結果的にAF精度はフラッグシップ機やミドルクラス機に及ばなくなる。

デジタル一眼レフのエントリーモデルに画面中央にしかAF測定点がない機種があるとか、左右の測距点の精度が高くない機種があるのはそのせいだ。むかしの、測距点が手動で選べないエントリーモデルのデジタル一眼レフでは運動会の徒競走がAFまかせでは撮れないということもあった。その機種で徒競走を撮ろうとすると、走ってくる人物よりも手前の石灰のラインのほうが色のコントラストが高いために、そちらに合焦してしまうということらしい。

いま、1,600万画素を越えたあたりでは従来の位相差AFでは性能の限界に達したようだ。そこで位相差だけを使うのではなく、ライブビューによるコントラストAFのアルゴリズムを工夫するとか、位相差とハイブリット方式のAF方式などが生み出されつつある。こうやって「小さいカメラのAFはいまひとつ」というものが解消されていけばいいよね。

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■カメラは小さすぎないほうがいいよ
余談だけど、とても小さいカメラを好むひとたちが一定層いるようだ。乱暴な言い方を意図的にするけれど、あまり小さいカメラというのは私にはいろいろと扱いにくい。持ち運びのしやすさと撮影時の使いやすさは相反するようだ。ひとによってこの基準がことなるからむずかしいのはわかる。ただし、あまり「小ささ」ばかりを目標にカメラが進んでいくのは私にはうれしくはない。

デジタル一眼レフの普及価格の製品が出始めたときに私がニコンD70を選んだのは、ニコンマウントだからというよりも、それほど小さすぎず動作がわりと機敏だったから。たとえば、初代キヤノンEOS Kiss DIGITALの絵は魅力的だったけど、残念ながら動作は少しもたつくカメラだった。2000年台には起動時間や書き込み時間、メニュー動作の動作レスポンスがワンテンポ遅れるデジタルカメラは珍しくなかった。D70は確か、画像の読み書きのアルゴリズムを推奨メディアとのあいだで工夫したために、比較的動作レスポンスがよく仕上がったのだった。

コンパクトデジタルカメラになら、いまでもまだ待たせるものはある。使用しているプロセッサーと積んでいるメモリーの容量にもよるし、ピントのピークを探して前ピン側と後ピン側にそれぞれ動く必要があるコントラストAFの原理からしても止むを得ないところもあるからなのだろう。

ミラーレスカメラのことを私は基本的には、レンズ交換のできるコンパクトデジタルカメラとみなしている。つまり、正直いえば画質などに対する期待値がいまひとつだったのかも。そう思うと、動作の機敏さがいまひとつでも、あまり文句もなかったのかも。

■Nikon1 V1はかなり気に入ったのよ
そういう目でNikon1 V1をいじると、予想よりはサクサク動くかなあと思わされる。あまり過度な期待はしてはいけない。AF合焦速度はまあまあ。位相差AFをイメージセンサー内に仕込んでいて、わりと高速処理をする画像処理エンジンを搭載するだけあって、2年前のカメラではあっても「ぱぱっ」という感じでAFが合う。暗い場所で迷うこともあるけど、エントリー一眼レフに暗いズームレンズをつけた時の、あの絶望的な迷い方にくらべたら、「ちょっと迷うかも」という程度。ただし、私は単焦点レンズしか用いていないから、ズームレンズでの動作はわからない。

レリーズして最初に切れるまでのタイムラグは大きくて、そこは困る。ただし、連写モードにしておいて次々にレリーズできるところはいい。つねに連写モードにしておいて、迷ったらどんどん撮ってしまうというスタイルでいるといいだろう。自分の工夫でなんとかできる。

RAW+JPEGで連写すると、少し待たされる。ちなみに、高価な高速メディアを私が使わないのは、メジャーなサ※ディ※クのSD/SDHCカードの書き込みロックスイッチの壊れやすさにうんざりしたから。トランセンドのほうがよほど壊れない。ただし、安いSDHCメモリーカードで認識できなくなったこともあるから、あまり怪しいものも勧めない。

私にとってNikon 1V1は「意外とドジな感じがあるけれど予想以上にいい」。一眼レフとはことなる使いこなしのテクニックは必要だ。私には気に入るところがたくさんあってうれしい。もしかして私は「画質へのこだわり」がそれほど高くない人間かもしれない。というのは、ノイズレスよりもノイズがあっても解像感を塗りつぶされないほうを選ぶから。そこで、デフォルトのパキパキしすぎる輪郭強調を抑えて、ゆがみとビネットの調整する設定にした。

■一眼レフと併用しやすい「真のサブカメラ」があれば
ゆる鉄レイルマン氏が、TwitterかどこかでNikon1 V2のことを「もう少し大きくなっても構わないから、ニコンの一眼レフと同じメニュー構成や操作性にしてほしい」とつぶやいていた。それは同感するところもある。一眼レフのカンペキなサブ機になりうるカメラは魅力的だ。あんまり追求しすぎると一眼レフの存在価値はなくなるけど、もう少し「ニコンの一眼レフのサブ用途」になりうるカメラは頑張ってほしい。

なお、1 NIKKOR 18.5mm f/1.8を我慢しきれずに手に入れたところ、V1には欠かせないレンズになってしまった。もっぱら1 NIKKOR 18.5mm f/1.8ばかりを使う。一眼レフ用のAF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8Gの光学系を転用したという説もある。大きさのバランスもよく画質も繊細ですばらしい。やっぱり、Nikon 1シリーズのようなセンサーサイズが小さいカメラこそ単焦点の大口径レンズが必要だ。