2020年7月11日土曜日

【川越散歩】たそがれ散歩でプチ旅気分を

AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

■空模様のわずかな変化を求めて
今年の梅雨は本気すぎるだろ、と思う。九州や中部で水害被害に遭われている方はほんとうにお気の毒だ。私は私で東京首都圏在住で水害被害には遭っていなくても、連日の梅雨空に困らされている。どんよりとした梅雨空には飽きるよね。

昨今の災いであるあれもまだ続いているので、よほどの用事がない限り自宅周辺にいる。だから、日没ごろにわずかに空が明るくなると心踊る。空にわずかに表情が出るからね。梅雨時期の空は湿度の高さのせいか、驚くような色に染まることも多い。そこで、このごろはそんな時間にカメラを手にして近隣にある時の鐘のある蔵造りの町を歩いている。平日の夕方は一番街も人出も少ない。なお、休日はできるだけ繁華街には出ない。


AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D
■「徒然草ふうに見せかける写真」かな
こうした自分の趣味の「散歩しながらふう写真」を撮るときになると、私はいつも単焦点レンズしか持ち出さない。正確にいうと、ほんとうの「純粋で無目的な散歩」ではない感じがするけど……フォトジェニックに思える何かを見つけようとかなり能動的に探しながら歩いているわけだから。散歩とはもっと受動的なものかもしれないし。だから決して徒然草なわけではない。徒然草ふうに見せようとしているだけだ。

まあええと、散歩論はともかくとしてできるだけレンズ交換もしない。つけているレンズだけで光の当たり方や露出と画角と構図、撮影後の画像処理を考えながらどういう絵にしようかと観察しているのが好きだ。

具体的に撮る被写体のある撮影はまたべつだ。たとえば、列車や航空機を撮ると事前に決めているときは、Ai AF Nikkor 24mm f/2.8DとAI AF Nikkor ED 300mm F4S(IF)の2本を持ち出す。ときおり、この組み合わせがAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8DとAI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDになることもある。

いっぽう、この「散歩しながら写真」のときはいままでであれば、つねに装着しているレンズは50mm程度であることが多かった。漠然とものを見ている画角だからか。それがここ数年は画面をできるだけ単純にしたくて、中望遠で部分的に写すことがおもしろくなってきた。写真をできるだけ説明的にしたくない。中望遠レンズは標準レンズに比べると、被写体の特定の部分をよりじっくりと注視している画角だ。

そして私は目に見みえたそのままのようすを撮りたいわけではない。気に入った被写体を切り取って、それを複数枚並べて自分の思う風景に編集するのが楽しいのだ。それがむかしよりは多少なりとも自分で思うように撮ることができるようになってきた感覚があるので、なおさら写真を撮るということがおもしろく思える。いわば身の回りの世界を理想の姿に編集しているようなものですよ。きゃー! いっちゃった!

■交換レンズは2本あればいいや
そこでいまもっぱら持ち出すのは、35mmフルサイズボディであればAI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dだ。APS-CサイズのD7200ならば90mm相当になるAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D。これら2本と、AI AF Nikkor 35mm f/2DかAI AF Nikkor 24mm f/2.8Dのどちらかを追加する。ただし、そうして数本のレンズを持ち出しても、105mmか60mmだけで撮ることが多い。マイクロニッコールがおもしろくてたまらない。

ズームレンズに比べるともちろん、画角を瞬時に変えることができない。画角を変えるには自分の足を使う必要がある。そうなると、撮影をあきらめることも少なくはない。けれど、仕事の写真じゃないからね! 撮らない自由や失敗する自由さえある。なんといっても自分のがいま装着しているレンズだけでどう写すかをあれこれ考えることが楽しい。

とかいいながら、明日から突然Sony α7RIVにFE 24-105mm F4 G OSS(SEL24105G)で完璧だぜっ! トリミングもし放題! などと言っていたらごめん。あはは。


■想像で遊ぶ権利は誰にも奪えないだろ
ほんとうはしばらくできていない「ボディ1台とレンズ2本だけ持って小さなかばんで列車に乗って遠出する」というやつをやりたいんだ。空に浮かぶ入道雲や青々とした稲田などをぼんやりみながら、ただ列車にゆられたい。

自分にとってPanasonic LUMIX GX7 Mark IIにLEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. とLUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.という組み合わせは、そういう遠出にも便利な組み合わせだから気に入っていた。一昨年と昨年の療養生活が退屈ではなかったのもあいまにそんな撮影行をしていたからだ。いまは健康でもこのコロナ禍の状況を見るとまだ遠出はためらう。とはいえ、できないものは仕方ない。

そこで、近隣の町でプチ旅行っぽく写しているというわけだ。想像で遊びながら写真のトレーニングをしているようなものだ。見慣れた町も素敵に見えるように写すことができれば、見知らぬところはもっと素敵に撮れる腕前が身についているかも。それもまた想像かな。あは。とにかく、この負け惜しみみたいなエントリーでいいたいのは、好きな道具を使って想像で遊ぶ楽しさなんだ。好きなことをしていればつらくならない。

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D, AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D/RAW/Adobe Photoshop CC 2020