2022年3月9日水曜日

【秩父鉄道撮影記事】デキ100形が大活躍していた日 砂煙を上げて走るデキ103号にしびれる


■秩父路の春の訪れを感じながら
大雪の日に思い切って正丸峠を越えた日にいろいろと列車の写真を撮ることはできた。だが、残念ながらデキ100形の姿を見ることができなかったのが、ヲタ的には残念だった。もう3月だから、秩父セメント熊谷工場の定期検修日が近いはず。そしてパンタグラフをふたつとも上げてデキが走るのも3月中旬までだ。定期検修が始まると4月半ばから下旬まで鉱石貨物列車は走らない。

そこで、まだ鉱石貨物列車が走るうちに訪ねておきたい。そう思い日中の最高気温が18℃まで上がるという天気予報が出た日に、始発列車に乗ってまたもや正丸峠を越えて秩父鉄道沿線に出かけた。

御花畑でやってきた列車は5000系5001編成だった。最近あまり運用入りしている姿を見ていなかった5000系電車を引き当てたところで、今日はいけるのではないか、という妙な確信めいた思いが去来した。こういう根拠のない楽観的な気持ちは大切なんだぜ。

■2本めの三輪鉱山行きの先頭はデキ103号であることが確定!
そうして武甲山の麓の駅に降り立つと、構内には三輪(みのわ)鉱山に向けて送り込まれる返空の鉱石貨物列車が前夜のうちに到着しているのが見えた。そのうち、2本めの列車の先頭にはデキ103号が立っているのを見て、踏切で私はガッツポーズをした。

三輪鉱山へ入っていく曲線のところの陸橋で待っていると、まずはデキ504号が牽引する1本めの三輪鉱山行き列車が駅構内で動き始めるのが見えた。20パーミルの勾配を駆け上るために、駅構内でいちど所定位置から後退して、そこから加速を始めて助走をつけているのをはじめて知った。あれ、そういえばデキ504号はピンク色だったよね。妙にきれいだと思ったら、全般検査を受けて塗装を元に戻したようだ。

■砂煙をあげて20パーミルの勾配を駆け上る
そうして1本めの列車の上下を観察しながら撮り、2本めの列車を待った。ドキドキと緊張が高まる。そうして、三輪鉱山行き返空列車は麓の駅でやはり所定位置から後退し、汽笛を鳴らして勾配を上り始めた。



滑り止めのために撒かれる砂を舞い上げながら走るデキ103号の姿をファインダーで追いながら、私はすっかりしびれた。ここで何度か撮っていても砂煙が上るようすを写せたことがなかったからだ。これで今日の運はもしかしたら使い果たしたかもしれないぞ。いやいや、そんなことをいってはいかん。

■三輪鉱山発の積車ももちろん撮った



三輪鉱山から降りてくる7204列車ももちろん撮った。雲が多い日だったのと、もし晴れてもこの時間では三輪線の列車に陽が当たらないから、これはこれでいい。似た写真は何度も撮っているのであれだけど。それにしても背後の木々も少しずつ芽吹いてきて、春なのですなあ。

【撮影・RAW現像・レタッチについて】
レンズの選択:35mmフルサイズのDfボディに300mm F4と180mm F2.8の望遠レンズを使用した。曇り空が広がるタイミングでもあったので、日陰と日向の輝度差は大きくはないが、広角レンズで日陰を多くしたくはない。

露出設定:晴れたり曇ったりの日だが、午前中はなにかと影が多い場所なので、曇りのほうが露出設定自体は気楽だ。画質モードはいつものように14ビットRAW+JPEGでマニュアル露出モードにして「飛ばさずつぶさず」のややアンダーめの露出設定にして撮影している。

絞り値:私は被写界深度を深くする場合を除いては、絞り開放からせいぜい二絞り程度にとどめる。300mm F4のレンズはF5.6からF8程度、180mm F2.8でもF5.6程度までしか絞らない。

ホワイトバランス:5,000Kの数値入力で設定。

AF(オートフォーカス):いつものようにAFモードは「コンティニュアスAFサーボ(AF-C)」で「AFエリアモード」は「ダイナミック9点」を選択し、AF追従撮影を行なっている。予測駆動AFが働く設定だ。親指AFも併用している。

RAW現像:ハイライトを抑えるためにハイライト部分はマイナス補正し、シャドーを見せるためにシャドー部分をプラス補正をする。つまり、結果的にはコントラストを下げている。そのうえで、画面全体の明るさはRAW現像ソフト上で露出量の再設定をして決める。絵作り設定にAdobe Camera Rawの「カメラスタンダードv2」を選んでいるので、彩度はそう多くは足さない。せいぜいAdobe Camera RawやLightroomのスライダーで+10程度だ。ヒストグラム表示と警告表示も見て確かめつつ、RAW現像の最後に慎重に足す。

レタッチの内容:画面四隅に周辺光量落ちを作っている。画面内に意図せず写り込んでしまったものをめだたせないように、レイヤーマスクを作成してその部分の彩度と明度を落とす処理を行っている。

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED, AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW