10月の3連休初日である12日(土曜日)に、ひさしぶりに西武鉄道最寄り駅で「秩父フリーきっぷ」を購入した。まず横瀬車両基地で行われた「ちちぶ&よこぜ車両基地フェスタ2024」を訪ねた。今回はその後に秩父鉄道をひさしぶりに御花畑経由で訪問して、目撃したシーンについてまずは書く。
御花畑駅は小ぎれいに改装されていた。もともとの駅舎を生かしてレトロ風にリノベーションがなされたというのか。
私がもっとも感激したのは2番線への跨線橋の階段に、昭和の時代に私が好きだった秩父鉄道の車両のイラストが描かれていたこと。私は昭和60年代にこの駅でこれら自社発注車両とひんぱんに走る鉱石貨物列車、小田急からやってきた800形に感激して秩父鉄道への訪問を始めたのだもの。
デキ506牽引上り鉱石列車が抑止中 |
■デキ506牽引の鉱石貨物列車がいつまでも来ない
観光客と地元の皆さんで混雑している上り列車(36列車)から、武州原谷貨物駅に鉱石貨物列車がいることを確認した。そして和銅黒谷では上り鉱石列車の姿も見えた。14時半ごろだった。先頭にはデキ506がたっていた。そのときは混雑している列車の窓越しに見ただけで、細かくは観察しなかった。
まずは上りSLパレオエクスプレス5002列車を撮ろうと思っていた。10月5日(土)から27日(日)まで、SLパレオエクスプレス牽引機C58363には「後藤デフ・後藤工場標準マーク付」が装着されている。その特徴的な姿を写すには、サイドビューも描ける場所にしたい。
そこで、私がときどき使う曲線区間に行った。そうして待ち構えて……C58363を撮った。6000系もナナハチもここで撮った。
ただ、SL5002列車の通過後に待っていても、さきほどの和銅黒谷にいたデキ506牽引上り鉱石貨物列車が上って来ない。鉱石貨物列車自体は走っていて、下り返空列車は見ている。だが、下り方向に歩いてみてもデキ506牽引上り列車に遭遇しない。どうもおかしい。
線路から道が離れたところで上り鉱石貨物列車の通過音は聞いた。もしかしてその列車がデキ506の牽引する列車だったのか。日も沈んできたから武州原谷貨物駅でも見てみようかと、下り列車に乗って移動を始めた。すると、和銅黒谷でデキ506牽引上り列車が副本線にまだ停車しているのが見えた。だが、パンタグラフが降りている。ここでようやく、なにか異常事態が発生していることに気づいた。迷ったけれど下車した。
17時ごろにデキ501+301の救援列車が上り1番線に到着 |
下り方デキ501はパンタグラフを下ろし、上り方デキ301のパンタグラフが上がった |
■デキ506が故障して救援列車がやってきた
駅には作業服の秩父鉄道の関係者のみなさんが集い、なにやら話している。上り鉱石貨物列車がプラットホームに隣接する踏切を長時間支障して警報機が鳴りっぱなしだからか、近所の皆さんも出てきた。詳細は不明だが、どうやら7006列車を牽引していたデキ506がなんらかの故障を起こしたらしく、それでこの駅で運転を取りやめたようだ。
駅には作業服の秩父鉄道の関係者のみなさんが集い、なにやら話している。上り鉱石貨物列車がプラットホームに隣接する踏切を長時間支障して警報機が鳴りっぱなしだからか、近所の皆さんも出てきた。詳細は不明だが、どうやら7006列車を牽引していたデキ506がなんらかの故障を起こしたらしく、それでこの駅で運転を取りやめたようだ。
和銅黒谷の副本線で運転を取りやめたのは機関車の運転士氏の機転か、司令氏の指示によるものか。もし本線上、あるいはどこかの駅間で止まってしまったら、観光客で混み合う連休の土曜日にたいへんなことになっていただろう。
国道140号に出て、列車を見渡すことができる上り方の踏切まで来た。そのあいだに、いつのまにか救援列車としてデキ501+301が到着して1番線ホーム(下りホーム)にいた。さきほどまで駅周辺にいた係員氏たちが列車周辺に集い始めた。速度の遅いSLパレオエクスプレス5002列車の通過をやりすごしてから作業を開始するという手はずが決まっていたのだろう。機関車や貨車のブレーキ周りなどを確認していたようだ。
下り本線にいた救援列車(画面左端)が上り方へ移動し始めた |
折り返して転線して副本線に入っていく救援列車 |
救援列車が抑止中の鉱石貨物列車に連結されて |
■救援列車の動きを見ていた
下り本線に停車中の救援列車はどういう動きをするのか、しばらく待ってみることにした。するとまず、デキ301が無動力のデキ501を牽引して上り方にやってきて、踏切を越えて副本線の合流する先で停止。反転して副本線に入り、無動力のデキ501を押しながら推進運転でデキ506と連結した。その後そのまま鉱石貨物列車を下り方に20メートルほど押し込んで、移動させた。
そしてデキ506と鉱石貨物列車を切り離して、デキ301が無動力のデキ501+506を牽引して再び上り方に引き出した。上り本線へ転線して無動力の機関車2両を推進運転で押して駅近くまで移動した。信号機が見える位置に移動したということなのだろう。
そのあと、デキ301と501が切り離されて、デキ301が再度上り方へ進んで転線して副本線にふたたび入り、鉱石貨物列車の先頭に立った。
つまり、鉱石貨物列車の牽引機をデキ506からデキ301に交換し、デキ506はデキ501が牽引するかたちになった。そして上り本線を空けるために、デキ501+506は上り方面へ去っていった。かかった時間はおおよそ40分間弱だったろうか。
そのあとデキ301に牽引機を交換した上り鉱石貨物列車は運行を再開することになったようで、副本線で待機していた。私はその出発前にやってきた下り列車に乗ってしまったので、鉱石貨物列車の出発は見届けていない。
途中で完全に日没したのと、立ち位置と持っていたレンズの関係で、三脚なしのDfと私の腕ではうまく撮れない場面もあった。それでも、こういうふうに入れ替えを行うのか……と思いながら見ていた。てきぱきと機関車が入れ替えられて行くようすは、目にして頼もしく思えた。非常にレアな場面を目撃してしまった。喜ばしい場面ではないのだが。
機関車の故障のように見えたが、原因はわからない。負傷者などはなく旅客列車の運行に支障をきたすことはなかったとはいえ、不幸なできごとだ。だから、こうしためずらしい場面を目撃しても手放しで喜ぶこともできない。
秩父鉄道の関係各位の皆さんには「復旧ご苦労さまでした」とねぎらいたい。撮影を黙認してくれたことにもお礼申し上げます。原因究明と再発防止、今後の安全運転にも頑張ってくれたらと願う。
【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 50mm F1.8S, AI Nikkor 85mm F2S, AI Nikkor ED 180mm f/2.8S/RAW/Adobe Photoshop CC