■「速写ストラップ」というものを思い出した
自宅から、ネオプレーン製のカメラストラップが出てきた。「速写ストラップ」と呼ばれている、たすきがけが可能で長さ調節が容易なネックストラップだ。
検索をかけたところ米国Custom SLRのAir Strapという製品だ。日本の大手家電量販店Webサイトによると、国内では「伸縮エアーストラップ」という製品名で売られていたようだ。
そういえば世の中には速写ストラップという製品があった。カメラをたすきがけでかける製品が中心だったように記憶する。BLACKRAPID(ブラックラピッド)やNinjaストラップなどが有名だろうか。大人気のPeak Design(ピークデザイン)のストラップも、速写ストラップに分類できるのだろうか。
思い返してみると、デジタル一眼レフが普及した2010年ごろに現れ始め、コロナ前には各社からいろいろな製品が販売されていた。ミラーレスカメラが主流となったいまでは製品の種類が減ったものの、すでに世間に定着した製品と言っていいだろう。
2016年にはデジカメWatchで記事広告を筆者はいくつか書いていた。いま、この記事を書くためにWeb検索をかけると、自分の書いた記事にヒットしてしまい困っている。他の方が書いた記事ではないと裏とりができないじゃないか。
■Air Strapを使ってみることに
自宅で見つけたこのAir StrapをNikon Dfに装着して、試してみることにした。その理由は、最近デジタル一眼レフを首から下げていると、その重みがどうも気になるようになったから。
「Nikon Dfが重く感じられて、使用をあきらめた」という方の記事を以前読んだことがある。当時の私はそれを読んでもよく理解できなかった。ところが、ここ最近になって自分もそう感じるように。加齢で筋力が落ちたということだろう。認めたくないことだな……。
さて、Air Strapはパッド部分が幅広(最大幅8cm)のやわらかいネオプレーンでできている。細かい空気穴が開けられていて蒸れにくい。そして、カメラボディへの固定は基本的にはボディ側の三角環で行うネックストラップだ。ストラップ部のうちひとつにはスライダーが設けられて、長さ調整が容易に可能だ。
ストラップ部にある下の写真の赤い丸ケイ囲みの部分を上下にスライドさせて、長さの調節を行う。動作は軽い。
Custom SLRが当時主力製品として売っていたのは、Glide One Strap System(グライドワン速写ストラップ)という、カメラを逆さ吊りするたすきがけ専用のストラップだろうと思われる。パット部分がより大きい。C-Loopという名前の回転ストラップマウントを用いて、カメラ底面の三脚ねじ穴にストラップを固定する。
別売のC-Loopを使えば、Air Strapもカメラ底面に固定することはできる。だが、私はカメラ底面にストラップを固定することを好まない。私のNikon Dfをはじめとするデジタルカメラの大半にはカメラ底面にアルカスイスタイプのL型プレートを装着しているから、三脚ねじ穴にストラップを固定することができない。
Custom SLR製品にはこのC-Loopを三脚ねじ穴に固定すると同時に、アルカスイスタイプの三脚にワンタッチで固定できるようにするクイックリリースプレートも用意されていた。私の手元にはない。
C-Loopを使ってストラップをカメラ底面に固定するのを筆者が好まない理由は、三脚固定時に着脱する必要があるから、というだけではない。かつて試用中にカメラ底面のC-Loopがゆるんで外れてしまい、カメラを地面に落とした経験があるからだ。逆さ吊りにしていたので、地面にペンタプリズム部があたりマグネシウム合金製の軍艦部が割れて、修理する羽目になった。
C-Loopを使うならば、ゆるみを常時気にする必要がある。いっそのこと木工用ボンドなどのゴム系接着剤などで、C-Loopを三脚ネジ穴に固定してしまうほうがいいかもしれない。
私はそれがいやで、C-Loopを用いるGlide One Strapを使うのをやめた、ということをこの記事を書き始めて思い出した。
いまなら、C-Loopではなく、QDソケットのカラビナ(QDスイベル)を用いて対応したアルカスイスタイプのクイックリリースプレートなどを使うほうが、着脱しやすいうえにきちんと扱えば容易には外れないはずで、より便利なのではないか。私自身が試用したことがないから、確信は強くは持てないが。
そういうわけで、Air Strapを私は伸縮しやすいネックストラップとして試用している。ここ1週間ほど装着したカメラを持ち出しているが、いまのところ不便を感じない。撮影中に体の正面から下げる場合には長さを短くする。移動中などはストラップ部を長くしてたすきがけにする。逆さ吊りにはしない。
ただ、使っていて不便なところを感じさせないならば、合格点なのではないか。長さを瞬時に変えられることは便利だ。
■速写ストラップを使ってこなかったわけ
カメラストラップの好みは皆さんそれぞれお持ちだろう。撮影対象やカメラの使用目的により、千差万別のはずだ。世の中にカメラストラップが星の数ほどありそうなのも、そういう理由だろう。かんたんに交換できる手軽なアクセサリーでもあるしね。だからこそ、凝り始めると「沼」に陥りそうな代物でもあるかも。
私自身の好みを言えば、ときどき手首に巻くこともあるからあまり厚手ではなく、襟のない服を着ていても首の皮膚にあたって痛くならない素材で、金具などのない幅広の製品が好ましい。汗や皮脂を落とすために洗濯もときどきしたいから、洗える素材がいい。
以前、フィルムカメラを使っていたころには、Nikon F4やF2+モータードライブMD-3、あるいはKIEV-6Sなどの大柄で重みのある機種には国内では銀一が扱っているOP/TECH USAのネオプレーン製ストラップ(プロループストラップ)を使っていた。またマイクロフォーサーズのLUMIX Sシリーズにはドンケの2.5cm幅のストラップ(740-1TN ストラップ 1インチ スウィベル無し タン)を使っている。
いっぽう、デジタル一眼レフにはカメラメーカーロゴのあるストラップを使っている。あれこれとカメラストラップを試してみたことがある。だが、自分にはどれもいまひとつしっくりこないように思えて、ごくふつうのネックストラップに落ち着いていた。
人気のあるストラップも試したことがある。だが、着脱部分のごつさとストラップ素材の硬さ、ストラップ自体の重さが私には合わず、短期間で使うのをやめてしまった。ものすごーくお高かったのに。
速写ストラップをいままで本格的に使ってこなかったのは、上記のカメラを落下させた経験があるからだけではなく、自分にはごつくていささか大げさに思える製品が多いからだ。そしてカメラに付属するようなごくふつうのストラップで間に合っていた。
だが、このAir Strapは速写ストラップのなかでは比較的シンプルに見える。そういう理由もあって試したくなった。気分転換もしたい。
日本国内では当時の取扱代理店がおそらくすでに撤退し、ほぼ販売終了になっているいまになって、そのよさに気づいて使い始めるのは我ながらおかしい。でもね、人間も好みも年齢とともに変わるということだと思うよ。







