秩父鉄道で鉱石貨物列車の牽引をおもにこなしている電気機関車「デキ」のうち、デキ500形を中心に2019年ごろより外装の「カラフル化」が進められたのは、ここにお越しになる方でも鉄道好きな方ならばご存知の通り。2019年12月18日(水)づけの埼玉新聞Web版の記事によれば2020年7月8日に東京オリンピック2020の聖火リレー列車を牽引することが予定されていて、それに合わせたそうだ。私は申し訳ないけれど個人的にオリンピックというものに興味がなく、どのオリンピックのテレビ中継も視聴したことさえないので、裏とりをすることを忘れていた。同記事にはこうあった。
(以下引用)
秩父市から皆野町のルートでは、電気機関車の車両を五輪カラーの各色に塗装し、秩父鉄道の秩父駅―親鼻駅間で聖火を乗せた客車をけん引。長瀞町では「長瀞ライン下り」で運ぶ。
(引用ここまで)
また、一般社団法人日本民営鉄道協会の広報誌「みんてつ」Vol.74秋号誌面(リンク先はPDFファイル)においても、秩父鉄道代表取締役社長が聖火列車の計画を語っている。
(以下引用)
実は東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーでも五輪色のELが五重連で客車を牽引して走行する予定となっています。
(引用ここまで)
とにかく、いろいろな事情でここ3年は数回しか秩父鉄道沿線訪問ができていない筆者は、その数少ない訪問の際にじっさいにこれらカラフル化した電気機関車を見るたびにいつも……思わず笑ってしまう。
悪意がとくにあるわけではない。地味で堅実な印象の機関車が、なんとも派手になったなあ! と思うと反応に困ってしまい、やや困惑して笑うという東アジア人的なことをしているのだと思う。ようしらんけど、という関西人用語はこういうときに便利だなあ。
■白い裾はどうしたの
このうち、塗装変更時期が2018年春ともっとも古いピンクのデキ504号には白い裾帯と前面帯、2019年5月に緑に変更になったデキ505号には白い裾帯があるから、途中で白い帯をやめようという計画変更があったのかもしれない。白い裾帯はあるほうが似合うかもね。聖火列車用だから白帯は入れなかったということなのだろうけど。
この電気機関車のカラフル化は一般の観光客にもめだっているようだ。SLパレオエクスプレスが走るまえからこれら電気機関車は貨物列車を牽引して走っている。だが、それにカメラを向けるのはもっぱら鉄道ファンだけで、御花畑、和銅黒谷、親鼻、長瀞、寄居などで遭遇しても一般の観光客はせいぜい「なんだろう」という顔をする程度だったと思う。
ところが、ここ数回訪問してみておどろかされたのは、貨物列車との交換のたびに「あっ!」という声が普通列車車内の乗客から上がること。鉄ではない一般の観光客のみなさんだ。駅などでスマホのカメラを向けるひとが多数いるのもおどろく。各種ラッピング電車でもそうだ。今年度はとくにSLパレオエクスプレスが運休のために、「ふつうの電車」とはことなる列車がめずらしいのだろう。
そして、残念ながら30年も走っていてもまだ「秩父鉄道でSL列車が春から秋にかけてほぼ毎週末に走っていること」を関東地方在住でも知らないひとが、筆者の周辺でさえもまだ少なくはないようだ。SLパレオエクスプレスの写真を見せると「これいまでも走ってるの」とたずねられることが少なからずあるから。西武鉄道の駅や車内にもある秩父の観光案内に出てくるけどなあ。
とにかく「秩父鉄道ではSL列車が走っていることは知っているが、今年は運休していること」を知っているひとはもっと減るのではないだろうか。
そのためなのか、鉱石貨物列車と対向する姿を見た普通列車の車内で観光客のみなさんから「あれSLじゃないの」などという声を聞いてしまうと、ヲタな筆者は「デュフフ」とつい笑いそうになるのをこらえて……笑いを押し殺した変な顔をしながらマスクを深くつけ直すわけですよ。フォカヌポウ。
いちおう黙っているけれど、たまについ「あれはちゃうでえ」と教えてしまう。東京首都圏方言で、「キタコレ拙者」などと早口にならないように。
各種ラッピング電車とカラフルデキが一般の観光客にウケているのはいいことだと思う。これらはもともと鉄道ファン以外の一般のひとたちむけに行われていると思うので。
そんな筆者の願いはただひとつだけだ……イベントに行かないと黒い塗装にゼブラ模様の警戒色の入ったデキ201号が走ることがないようなので、まだその姿を見られないでいる状態の解消だ。デキ201号はレアだからフルコンプできていないのだよ。広瀬川原にもずっと寄っていないし。だから、あれを見たいのだけどなあ! いまは私自身がひとが集まる場を避け続けているので、イベントやイベント列車撮影に行かないでいるからね。そのうちに機会を見つけてねらうか。
■こうやって撮ってしまうから何色でも同じかも
あと、撮影にマニュアルフォーカス単焦点レンズだけを持っていたら、半端なフレーミングの写真も多くて自分であきれている。昭和の時代からカメラを持っているおっさんがだぜ。これじゃあ、かっこつけられていないじゃんかあ。オートフォーカスにずいぶん慣れてしまっているのか、撮影に出かける回数が減っているためか、「ピント合わせ以外」のことに注意が十分にできていない証拠だ。
【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 28mm f/2.8S, AI Nikkor 85mm F2S, AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED/RAW/Adobe Photoshop CC 2021