2020年11月3日火曜日

【Foton作例集】M-ROKKOR 28mm F2.8を使ってみて……Kindle電子書籍『オールドレンズデータベース』第一弾『M-ROKKOR 28mm F2.8』を発売開始しました


■新シリーズを刊行します
編集者・写真家の齋藤千歳さんとともにAmazonのKindle電子書籍として刊行している『ぼろフォト解決シリーズ』の兄弟シリーズである『Foton機種別作例集』において、あらたに旧製品レンズのレビュー本『オールドレンズデータベース』を新シリーズとして始めました。その第一弾としてレンジファインダーカメラであるMINOLTA CLE用のMマウントレンズM-ROKKOR 28mm F2.8をとりあげました。私と水子貴皓さんの共著です。月額制読み放題サービスkindle unlimitedにも対応しています。ご一読いただけますとさいわいです。

【制作】ぼろフォト制作委員会 
【著】秋山薫、水子貴皓
【編集】秋山薫
【監修】齋藤千歳、小山壯二
【価格】250円


■M-ROKKOR 28mm F2.8とは
M-ROKKOR 28mm F2.8はかつて発売されていたレンジファインダーカメラMinolta CLE用に用意された広角レンズです。1973年にミノルタカメラ(当時)とエルンスト・ライツ(当時)が技術提携を行い、その成果のひとつとしてMマウントのLeitz-Minolta CL/Leica CLが登場しましたが、そのときには40mmと90mmの2本の交換レンズが用意されたのみでした。その後継機種として絞り優先AEを備えたMinolta CLEが発売された際に用意されたのが、このM.ROKKOR 28mm F2.8。Mマウントのカメラで用いることができます。

発売当時の筆者は子どもであったためにリアルタイムで知っているわけではありません。その性能は当時の書籍を見ると評価されていたようです。ただし、発売当時はすでに一眼レフが主力製品だった時期であり、比較的短期間で販売終了しています。むしろ、1990年代のクラシックカメラブーム以降には再評価されていた記憶があります。特許の問題からかMマウントレンズはながらくLeitz以外ではLeitz-Minolta CLおよびMinolta CLE用ミノルタ製レンズしか存在しませんでしたが、1999年のHEXER RFやコシナのVoigtlander BESSAシリーズ、Zeiss IkonなどのMマウントカメラ・レンズが増えるころにも、このレンズを探しているひとが多かったように覚えています。




■コンパクトさと中心部の解像感はなかなか
それからさらにずいぶんたち、いまのデジタルカメラで1980年代の広角レンズを用いるとどう写るのかという興味が筆者にはありました。くわしくは前掲書をぜひ読んでいただきたいのですが、画面中心部の解像感はなかなかいいというのが筆者の感想です。筆者自身が使用したボディが古い広角レンズにはちょっときびしいSony α7IIではあるものの、光学系がレトロフォーカスのM-ROKKOR 28mm F2.8では、さいわいに色づきは感じさせません。

もちろん現代のレンズではありません。けれどこういうレンズを使う場合に、どういう描写を求めるかどうかはひとそれぞれでしょうか。収差を「レンズの味」だと考えていかす撮影方法もありますし、収差をいかにめだたせないように使うかという方法もあります。絞り値や構図、光線状態の選択はそれによって決まるわけです。M-ROKKOR 28mm F2.8は1980年代の「モダンクラシック」なレンズといってよく、戦前に設計されたレンズのようなクラシックな描写をするわけではありません。それでも、最新レンズとはことなる使いこなしや工夫を求められるかもしれません。旧製品のレンズとは、そういう工夫を楽しいと思えるひとに向いています。




■今後ともどうぞよろしくおつきあいくださいませ!
一時期、この本の掲載作例を撮るために早起きしてひとのいない時間に川越を歩いたり、和銅黒谷駅を撮るのにもこのM-ROKKOR 28mm F2.8をつけたSony α7IIを持っていました。ここでは誌面に掲載していないカットを貼っておきます。

この『オールドレンズデータベース』シリーズは今後も続けていくつもりです。ご期待ください。なお、スマートフォンやkindle端末、パソコンで読む電子書籍ですので、印刷された紙の書籍ではありません。Amazon.co.jpから印刷された本が届くわけではございませんので、ご注意ください。

【撮影データ】
Sony α7II/M-ROKKOR 28mm F2.8/RAW/Adobe Photoshop CC 2021