2020年12月19日土曜日

【西武多摩湖線撮影記事】晩秋の多摩湖線にて


■西武多摩湖線にも変化があった
ふと思いついてひさしぶりに西武多摩湖線沿線を歩いた。列車を撮るというよりも、多摩湖(村山貯水池)周辺を散策するというのがおもだ。それでも、列車の姿をときおり写した。なにしろ、ずいぶん長く続いていた「新101系電車天国」も終りが見えてきたからね。

■1980年代のマニュアルフォーカスレンズを使うわけ
機材はこのところNikon DfにマニュアルフォーカスのAI Nikkor 28mm f/2.8S、同85mm F2S、そして同ED 180mm F2.8Sだけだ。レンズはみな1980年代のものばかりだ。現在の一眼レフ用オートフォーカスレンズよりもコンパクトなサイズであるところが気に入って、それらだけを持って撮影に行くことを試してみたら、すっかりおもしろくなってしまった。

AI Nikkor 28mm f/2.8Sはゆがみが非常に少ないうえに最短撮影距離が20cmというところがAI AF Nikkor 28mm f/2.8Dよりもまさる。AI Nikkor 85mm F2Sは同じスペックではAF化されず、似たスペックのAI AF Nikkor 85mm f/1.8Dはアタッチメントサイズが⌀62mmとやや大型化してしまった。そして、AI Nikkor ED180mm F2.8Sは同じ焦点距離と開放F値のAI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDよりも、絞り開放での解像感が高いように思える。だからピント合わせがしやすいのだ。

つまり、これらマニュアルフォーカスレンズはそれぞれに外形寸法以外にも存在意義がある。

もともと絞り開放で使うということを私はしない。最新のZマウントのSシリーズレンズにはいろいろと敵わないだろう。だが、1,600万画素のNikon Df、あるいは2,400万画素のSony α7IIで使う私には絞ればじゅうぶんだ。仕事の撮影ならば最新鋭の機材で効率よく撮りたいけれど、趣味のような撮影では「知恵をちょっとばかり使って乗り越える」ところがおもしろいのだ。

これらの少し古いレンズに望遠レンズは深めのレンズフードを装着し、逆光や斜光線では必要ならば黒いパーマセルテープでハレ切りをする。逆光や斜光線を避けるわけではない。そういう光線状態でもきちんと対応できるように対策をする。「逆光の呼吸壱ノ型『斜光黒パ斬り』」ってやつね。これを実地で訓練しているようなものだ。



■9000系電車はすでに2編成が活躍中
さて、本線系統から101系・301系電車が撤退したのが2012年12月だから、もう8年も経つ。そのあいだに多摩湖線と多摩川線で用いられているワンマン運転対応改造がなされた新101系電車の4両編成は、塗装の変更と多摩湖線と多摩川線とのあいだで車両の入れ替えこそあったものの、減らされることはなかった。それにしてもずいぶん長いあいだ走るものだと思っていた。下回りが同じ10000系電車と4000系電車も比較的まとまった数があるから、メンテナンスの面で見ると西武鉄道には困らないのかもしれないな、などと思いつつ。

今年になってついに白い塗装のままの257編成と、2016年台風による多摩湖線土砂崩れ事故の被災車両であり伊豆箱根鉄道塗装にされた261編成が運用離脱して廃車になった。このうちクハ1262はメットライフドームエリア内に新設される「トレイン広場」で保存されると、2019年12月19日づけスポニチアネックスでも報じられていた

そして10月より、ついに9000系電車の運用が多摩湖線で始まった。10月からL-trainラッピングをまとっていた9108編成が4両編成に短縮されて、ワンマン化対応がなされてレジェンドブルー塗装のまま多摩湖線運用についている。黄色い車体の9105編成もすでに同様の改造がなされて運用入りしているので、日によっては「多摩湖線を走る2編成が9000系電車」ということも。




なお、運用、所属編成の変遷、多摩川線との移動などの詳細については西武線ブロガーのほかのみなさんのところを参照してね。



9000系電車は101系電車などの足回りを利用し、車体を新製した電車だ。のちに制御装置はインバーター化されたて主電動機も改められた。101系由来で残されたものは、いまでは台車くらいだろうか。西武鉄道は4ドア化を進めるつもりだろうと思われるのに、抵抗制御で消費電力の多い新101系電車を支線で残置させて、4ドアでチョッパ制御の2000系電車初期車だけでなく、車体がより新しいインバーター制御の9000系電車を廃車解体していくのは、なんとも不可解だと思っていた。私には中のひとに友人がいるわけではないので、外から見てあれこれ想像するほかないからね。もっとも、もし知っていても公表はできないから同じだ。

だから、今年になって進んだ新101系電車の2編成の廃車と9000系電車の転用は、新101系電車が好きな私には残念ではあっても……まあそういうものだろうな、仕方がないと思わせる。こればかりはね。



■そうはいいつつも……いい子じゃないのでね
などといいながら、9000系電車は何度も見ているし乗ってもいるのに、多摩湖線で走り始めた姿を撮っていない。戸袋窓を裏から塗装と室内側の化粧板だけで塞いでいるあれがどうしても好きじゃないのだもの。お好きな方にはもうしわけない。

だから、これからもなくなりつつある新101系電車のほうを私はねらうつもり。私はそんなにいい子じゃないからね! また、新101系電車と9000系電車はときおり西武園線も走っているので、その姿は撮っておこうと思う。おもに新101系電車のほうを、だけど。

多摩湖線をしばらく訪れなかったのは、あれがますますああだからという理由ではなく、むしろ自分の写真の撮り方のパターンに飽きたから。ところが、鉄道にふれる機会が減ると、「自分にとってバイブスがアガる鉄道シーン」をますます忘れてしまうのですよ。これはよろしくない。だから、あれがますますああなので、折を見て人出が少ないタイミングでまた出かけてみようと思う。

そのために、気軽にふらりと出かけやすいうえに、操作していて楽しく、自分にとって納得できる画質になるような機材のコンパクト化をあれこれ考えているわけなのさ。


【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 28mm f/2.8S, AI Nikkor 85mm F2S, AI Nikkor ED 180mm F2.8S/RAW/Adobe Photoshop CC 2021
(レンズ名は販売終了時の表記にしてあります)