八高線が好きだといいながら、どういうわけか明覚に来たことがなかった筆者。だが、降り立ったのは曇りの日の夕方だ。印象的な絵にしづらく叙情を描きにくい光線状態であることは承知のうえで来たものの、曇り空だけはどうしようもない。そこで、電灯が点り始めるであろう薄暮を待った。
山の稜線の上の天使の梯子を見たり、カラスを撮ったり、あるいは駅舎内で営巣しているツバメを観察していうちにだんだん辺りが暗くなってきた。18時台の列車が来る時間だ。
■暗くなりかけのほうが絵になる
そこへ下り列車がやってきた。あちこちに明かりが点り始めると少しは絵になる。■明覚で薄暮の交換をねらうなら春か秋かな
ただし、17時台から19時台のあいだは明覚では列車交換が行われない。夏至のころではあっても、20時過ぎではさすがに真っ暗だ。だから、明覚で「薄暮の時間の列車交換シーン」をねらうならば春か秋の日の短い季節のほうがいいのだろう。それを知ることができただけでも収穫はあった。列車の時刻は来ないでも調べられるけれど、雰囲気はじっさいに来て、自分の目で確かめてみないとわからないもの。20時の列車ならばここで列車交換がある。だが、19時の上り列車の進入を撮ってすぐに乗り込んで引き上げてしまった。わずかに残照があるこのくらいのほうが、いまの私の気持ちには好ましいから。
そして、八高線を走るディーゼルカーに乗りたかったのに、次の越生で東武越生線に乗り換えてしまった。ロイヤルベージュとインターナショナルオレンジのリバイバルカラーをまとった81107編成が止まっているのを見て、ほとんど条件反射のように。
Nikon Df, iPhone 7 Plus/AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G (Special Edition), AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D/RAW/Adobe Photoshop CC