2021年7月7日水曜日

【八高線撮影記事】明覚駅までのプチ旅


■八高線キハ110系列にどうしても乗りたくなった
このところ八高線の八王子〜高麗川の電化区間(もしくは八高南線)、あるいは直通運転をする川越線川越〜高麗川の列車に乗ったり、ときには写しているうちに、どうしても八高線非電化区間の列車に乗りたくなった。そこで、あれこれと見ていて目にしたときがわ町にある明覚駅まで行くことにした。

明覚は木造の駅舎のある列車交換が可能な駅だ。駅舎は旧都幾川町で生産された材木を用いて建てられているという。構内にはソメイヨシノの木があり、かつてDD51牽引の貨物列車が走っていたころに、この駅でタブレット交換をすることで有名だった。

だがしかし、私は秩父鉄道や上信電鉄の列車を撮るために八高線の列車に乗り、通過することはあっても降りたことがなかった。東武東上線でもアクセスできる小川町、同越生線を利用できる越生とのあいだにあり、越生から営業キロでも5.2キロメートル、小川町へ8キロメートルほど離れていて、鉄道利用では微妙にたどり着きにくいという理由もあったはずだ。だから、ふだんは明覚のことを思い出すことがなかった。

よく考えたら列車の交換を行う好ましい駅として、明覚があるじゃないかということをなにかを見て思い出し、そこである日の午後にふらりと降りた。

このところずっと、青春18きっぷのポスターを見るたびに魅了される「ディーゼルカーの各駅停車の旅」のようなことをしたかったわけだし、私が在住する埼玉県内にあるときがわ町は自宅からも30キロメートルも離れておらず、決して遠いわけではなかった。それなのに、いろいろと忘れているところがよろしくないね。我ながら鈍い。



■立派な駅舎なのにいまは無人駅
かつての駅舎は1988(昭和63)年に火災にあい、翌年にログハウスふうのデザインで再建されたという。景気が良かった時代の名残のような立派な駅舎だと通るたびに思っていた。だが、2013(平成25)年に駅は無人化された。八高線に限らず合理化が進んでいるのは少々惜しまれる。無人駅になるとしばしば荒れるから。

だが、明覚に関しては少し安心だ。それは今年の4月からときがわ町観光協会が駅事務所に入ったから。レンタサイクルもあるようだが、利用できるのは観光協会の営業時間内に限るようなので注意が必要だ。観光協会の営業時間は10時から16時までで、レンタサイクルは10時から15時までで利用料金は500円、月曜日と火曜日は休業だ。私はこの観光協会の休業日にたずねたので、レンタサイクルはまだ利用していない。

八高線の列車の運転本数は1時間に1〜2本程度で、高麗川、越生や小川町から列車利用では列車をうまくを選ばないと時間がかかるが、東武東上線武蔵嵐山からイーグルバスが受託している町の路線バス(リンク先はPDFファイル)を利用して来ることも可能だ。町内で乗り継げば小川町や越生にもバスで行けるようだ。


■17時台から19時台には列車交換は明覚ではない
私は16時台の列車で降り立った。列車が上下交換するのを見届けた。いい感じだぞ……! と思って時刻表をよく見たら、16時台のあとは20時台の列車まで明覚で上下の交換をしないことに気づいた。事前に見ておけよ私。


それでも、構内の跨線橋から撮ってみたけれど……やはり上下の交換があるほうが、絵になるかもしれないなあ。

あたりを見回すと八高線が関東平野の端、山地が始まるあたりを走っていることをあらためて思い出す。ずいぶん遠くに来た感じがするのはいい。

■暗くなるのを待つことに




梅雨空の日は白い空を画面内に入れないことを自分に課しているので、山並みや地平線を写していない。晴れている日と曇りの日では撮影方法や構図の決め方、レンズ選びは同一ではないのだ。そして、曇り空の日に自分が好むのは薄暮を待つこと。そこで、もう少し暗くなるまで列車を待つことにした。

駅近くのヤマザキショップで飲み物を買って、駅前に座ってぼんやりしていると駅待合室に営巣しているツバメの鳴き声と、飛び交うカラスの声、ときどきやってくる自動車の音がするだけだ。たまに散歩の人を見かける程度。思っていたよりもずっと雰囲気がいい。どうしていままで来なかったのだろう。

カラスが駅舎の屋根に止まったのでカメラを向ける。いい場所に止まってくれて心のなかでカラスに喝采した。けれど、あいつらは警戒心が強いので少し近づくと逃げてしまう。画面を整理したくて数歩近づいたら、すぐにどこかへ行ってしまった。

あたりが暗くなる19時台の列車まではまだ時間があるなあ。さあて、どうするか。

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Nikkor 35mm f/2D, AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D/RAW/Adobe Photoshop