■お正月のSLパレオエクスプレスをねらいに
ボォーッ! ボッ!
勾配の下にある駅を通過する汽笛が聞こえてきた。駅はカーブしているので私のいる場所からは列車は駅を通過して築堤を走り始めないと見えない。だが、徐々に列車が近づいてくるのはわかる。私の緊張もいやがうえにも高まる。そしてRECボタンを押す。すると、枯れたすすきの先に煙が見えてきた。
三ヶ日に走った秩父鉄道SLパレオエクスプレスには、「秩父路初詣号」のヘッドマークと日章旗が掲げられていた。私は年始の2日間は書き物ばかりして家にこもっていた。いよいよ仕事始めの前に体を慣らさないといけない。しかも、依頼仕事もある。両方を解決すべく、絶好の被写体である秩父鉄道SLパレオエクスプレスを狙いに出かけた。
■正面からねらえるところは
当初の予定では、広瀬川原の出庫シーンからバッチリ撮るはずだった。こういう書き方をしていることからご想像がつくだろう。年末の夜なべ作業の反動で年始はどうも「早寝遅起き」の習慣がついてしまい、目覚めたのは当初予定していた家を出る時間だ。こうなるとしかたがない、出庫シーンはすぱっとあきらめた。
日章旗や特別なヘッドマークが装着されるなら正面がちに狙いたいとはいえ、おそめに家を出ても時間的に間に合う安谷川橋梁を越えた駅直前の勾配は、このところ相当前から張っていないと撮影しにくい混雑ぶりだ。おまけに、今日使うべき機材は......動画なのですよ。趣味写真撮影用に自前機材も持っていったので、お見せするのはその自前機材によるスチールです。今日は機材が重かったよ! できればほかに撮影者がいない場所が望ましい。みなさんだってお嫌でしょ。「げほっ。あ、動画ですか。すみません」などと気を遣うのは。
■むかし有名だった勾配のある切通区間へ
そこで、秩父市内のかつてたいへん有名だった勾配を目指すことにした。あの場所は駅間でアプローチしにいためか、他の撮影者がいたことは最近あまりないのだ。歩けばいいだけなのけどね。
乗っていた7501編成の上り列車の車内からじっと見ていても、先客がないことを確認し、いつもの駅で下車して歩いた。お目当ての場所に行くと、あ。先客がいらした。ここは定員1名程度なので、いさぎよくあきらめて、勾配途中の上り方の方へ戻る。こちらはもう少し場所の定員も多いから。ただし、気をつけないと背景に民家が映り込む。
■忍法で背後の民家を隠す
だがしかし、今日のパレオくんの煙はじつすばらしかった! 横瀬川橋梁を越えて勾配が始まるあたりからもくもくと煙を吐き始め、順光で輝いてしまう民家は「忍法火遁の術」(といいますか、煙)で隠すことができた。気温が低い季節ならではの恩恵だ。これだけ見ていても来たかいがあったというもの。業務に必要なカットもバッチリ撮れたし。今年の初撮影は幸先がいいぞ。
後ろを振り返り、たなびく煙の中で輝く枯れススキと12系客車を見て、上り5002列車の撮影地に向かうことにした(つづく)。
【撮影データ】Nikon D2X・Ai AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>・ISO100・RAW(Capture NX2にて現像)
■正面からねらえるところは
当初の予定では、広瀬川原の出庫シーンからバッチリ撮るはずだった。こういう書き方をしていることからご想像がつくだろう。年末の夜なべ作業の反動で年始はどうも「早寝遅起き」の習慣がついてしまい、目覚めたのは当初予定していた家を出る時間だ。こうなるとしかたがない、出庫シーンはすぱっとあきらめた。
日章旗や特別なヘッドマークが装着されるなら正面がちに狙いたいとはいえ、おそめに家を出ても時間的に間に合う安谷川橋梁を越えた駅直前の勾配は、このところ相当前から張っていないと撮影しにくい混雑ぶりだ。おまけに、今日使うべき機材は......動画なのですよ。趣味写真撮影用に自前機材も持っていったので、お見せするのはその自前機材によるスチールです。今日は機材が重かったよ! できればほかに撮影者がいない場所が望ましい。みなさんだってお嫌でしょ。「げほっ。あ、動画ですか。すみません」などと気を遣うのは。
■むかし有名だった勾配のある切通区間へ
そこで、秩父市内のかつてたいへん有名だった勾配を目指すことにした。あの場所は駅間でアプローチしにいためか、他の撮影者がいたことは最近あまりないのだ。歩けばいいだけなのけどね。
乗っていた7501編成の上り列車の車内からじっと見ていても、先客がないことを確認し、いつもの駅で下車して歩いた。お目当ての場所に行くと、あ。先客がいらした。ここは定員1名程度なので、いさぎよくあきらめて、勾配途中の上り方の方へ戻る。こちらはもう少し場所の定員も多いから。ただし、気をつけないと背景に民家が映り込む。
■忍法で背後の民家を隠す
だがしかし、今日のパレオくんの煙はじつすばらしかった! 横瀬川橋梁を越えて勾配が始まるあたりからもくもくと煙を吐き始め、順光で輝いてしまう民家は「忍法火遁の術」(といいますか、煙)で隠すことができた。気温が低い季節ならではの恩恵だ。これだけ見ていても来たかいがあったというもの。業務に必要なカットもバッチリ撮れたし。今年の初撮影は幸先がいいぞ。
後ろを振り返り、たなびく煙の中で輝く枯れススキと12系客車を見て、上り5002列車の撮影地に向かうことにした(つづく)。
【撮影データ】Nikon D2X・Ai AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>・ISO100・RAW(Capture NX2にて現像)