2023年3月7日火曜日

【東武越生線撮影記事】オレンジベージュリバイバルツートンカラーの81107編成をねらいに東武越生線高麗川橋梁へ


正面が西日で反射するようにねらった

■81107編成がようやく越生線へ
少しまえに数年ぶりに東武越生線に通っていたことは記事にした。それなりに気に入った写真を撮ることはできていたけれど、心残りはないわけではなかった。それは自分がたずねた日には、同線を走る東武8000系電車のワンマン4R車のうち、セイジクリーム塗装の81111編成とオレンジベージュのリバイバルツートンカラーの81107編成に、出会うことがなかなかできなかったこと。

2023年3月上旬の本稿執筆時点では、越生線の電車は森林公園検修区に配置されていて、東上線小川町〜寄居間と共通で用いられている。このうち、東上線は4編成で、越生線は5編成で運用しているようだ。

そして自分が通っていたあいだは、81111編成も81107編成もたまたま東上線側で用いられていた。越生線には通常塗装の編成しかいないことが多かった。

特別塗装の列車を撮りたいならば、東上線末端区間へ行けばいいのはわかっていた。だが、私は越生線で撮りたいと思っていた。優先順位は場所と状況にあり、そこに「できれば」特別塗装の編成が来たらいいなあ、という感じ。

そう思っていたら、先週末からリバイバルツートンカラーの81107編成が越生線の運用に充当されることが増えた。やはりもういちどねらってみたくなった。

■だがしかし走っているならば行く
3月の上旬になって気温も上がり日も長くなったのはいい。春らしくなってきて、冬ほど厚着しないですむ。

だが、ねらっていた構図と日没の位置が合わなくなってしまった。下の2点のスクリーンショットは「サン·サーベイヤー(Sun Surveyor)」で今年の元日と3月7日の日没方向を示したものだ。下流から高麗川橋梁を見ると、いまはずいぶん右側に、より西の方角に沈むようになった。 

2023年元日の日没方向

2023年3月上旬の日没方向

そうはいいつつも、現場で状況を確認しながらねらい方を考えてみようと思い訪ねた。撮影というのは、事前の想定どおりにいかないことは少なくはないのだもの。アレンジはしないとね。

右岸から見た左岸。橋梁よりも右側(西側)に日没するようになった

まずは高麗川右岸に行った。するとたしかに、日没方向が変わったことと、気温が高くなって空の染まり方が冬のそれとはことなる。そんなことを考えてリバイバルツートンカラーの81107編成が下り列車で来るのを待った。それが冒頭のカットだ。

だが、このあとの上り列車で81107編成が森林公園へ入庫してしまった。運用パターンをよく知らないでいたものの、下り越生行きで来るべきスジにべつの編成が充当されてきたのでわかった。だから、この日は81107編成は右岸では撮ることはできたものの、左岸では撮ったものの気に入った感じにならなかった。「あらららら〜」とルパン三世ごっこを河原でしていたよ。

日没方向の空が染まる向きでも

そこで、晴れ間が見えて時間が捻出できた日にまたもや行った。こういうことだけは私はしつこいのだ。そして、以前はもっぱら1/1,000秒程度で列車を止めて写していたのを、流し撮りでうまくとらえるように練習を重ねた。

マニュアルフォーカスで手ぶれ補正機構など備わっていないNikon DfとAI Nikkor ED180mm F2.8Sの組み合わせで、風があまりない日だと私の場合は1/125秒ならば流し撮りの成功率は高い。だが、1/60秒にしたとたんに成功率が相当低くなる。28mmから50mmならば1/30秒でももっとうまく流し撮りできる気がしていたから、自分の実力が残念だ。これはもう練習するほかない。練習していくと歩留まりがよくなるのは体感できる。アーニャがんばるます!(しかし中身はおっさん)

前回のエントリーなどで私が「カメラの握りやすさ」を気にしていたのは、こうやって流し撮りなどを行う場合に、握りにくいカメラでは撮影しづらいからという理由でもある。

ただ、追い写しや流し撮りの成否に関してはカメラボディの握りやすさはもちろん大切な要素なのだが、視点を定めることができているかどうかも重要みたい。うまく説明しづらいが、自分がファインダー内で「この部分をぜったいに写し止めるぞ」と固く決めた決意がにぶって視点をあちこちに迷わせると、カメラの動きが被写体と同調できなくなって、ぶらしてしまうようだ。

また、Nikon Dfの1EV STEPのシャッタースピードダイヤルによる昔ながらの楽しい操作をあきらめて、1/3EV STEPにして、ボディ後ろのメインコマンドダイヤルを回してシャッター速度を1/80秒に設定した。かちかちとした操作を楽しむ大事な部分なのだが、しかたがない。だが、1/80秒ならば1/60秒よりは流し撮りがうまくできる。その練習を重ねていった。

1/3 EV STEPではないと設定できないシャッター速度もある。
シャッタースピードダイヤルを"1/3 STEP"にして
ボディ後ろのメインコマンドダイヤルで操作して設定する


【2023年6月15日追記】
シャッタースピードダイヤルを「1/3 STEP」に設定しないでも、「カスタムメニュー:f 操作」のなかの「f11:シャッタースピードの簡易シフト」を「する」に設定すると、シャッタースピードダイヤルで設定したシャッタースピードをメインコマンドダイヤルで1/3 EV STEPずつ、± 2/3EVまで設定できる。自分は先日この存在に気づいた。「説明書をよく読もう」と書いている筆者がいまごろ。おはずかしい! でも、便利だからここに記しておきます。説明書P.265参照だ。この件については別途記事を書いたので、ご参照くださいまし。

真横からの流し撮りを決めるために通った

■左岸でも再挑戦
右岸は望遠レンズで流し撮りで撮ったので、絵柄に変化をつけるべく左岸の例の場所にも三脚を持参して来た。こちらはやはり広角レンズでねらいたい。

以前の投稿でも書いたように、この構図では奥に見える大学の電光式のロゴを隠すことはしづらい。そこはレタッチでなんとかすることに決めた。「消す」のではない。あくまでも「めだたなく」する。

もう少し左側に太陽が沈むほうが空が暗くなりすぎないだろう

iPhoneでも試写して念入りに構図を確認した。iPhoneはデフォルトではアスペクト比が4:3だから、3:2で見せると以下のようになる。水面の上辺を画面の上下中央に置かないように、空の分量とカメラの高さ、レンズの向きには注意した。レンズの向きは完全に水平にはならない。遠近感の強調による大きくゆがみが出るのは私はいやなので、レンズの向きに気をつけながら28mmで構図を考えた。

OMDSのOI.Shareより

そうやってあれこれ支度をしていると、列車はあっというまに坂戸から戻ってきた。構図の左右の微調節も行ってようやく自分としては「及第点」の写真になった。やれやれという気持ちだ。もう少し明るい時間に左岸でも撮りたいが、そうすると車内の明かりがめだたない。でも、この場所でのこの撮り方はしばらく打ち止めにしよう。

渇水期ではないとこの構図では撮れないのかな。護岸工事で状況が変わったのだろうか。2014年冬ではこの場所は水の中だったのだが。

さらにべつの撮り方も思いついて試したところ、もっと練習すれば自分でも確実に撮れそうなこともわかった。微妙な言い方をしているのは、うまくいかないこともあるから。ただし、日没方向が合う季節や、雲がより広がる季節に挑戦したい。

81107編成であるかどうか撮影者にしかわからないけど、いいのいいの

■移動中もいろいろ撮ることができて楽しい




このあたりは近郊農業という感じで農地がまだ残されている地区だ。農地のなかに住宅地と学校の校舎が建てられている。このあたりは山が近いものの、空が見えるところが好きだ。

そこで、撮影の合間にはなにかとこのあたりで目に入ったものを撮っている。おとなになってようやくこういうことができるようになった。むかしの広田尚敬さんの写真集にあった列車を待つあいだの「余白の時間」を楽しむことができるようになった、というとカッコつけ過ぎかな。

でかけるまえに決めた被写体以外にも、道中で見かけた気になるものを繰り返して撮っておくのも、自分の技術の向上につながる。そう思う私は、移動中にもカメラバッグにカメラをしまわない。そのぶん、ボディやレンズは傷だらけになるけどね。

【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 28mm f/2.8S, AI Nikkor 50mm F1.8S, AI Nikkor ED 180mm F2.8S/RAW/Adobe Photoshop CC