2009年5月31日日曜日

【秩父鉄道1002編成撮影記事】「秩鉄リバイバルカラーデハ100形タイプ」撮影記 前編

Ai Nikkor 50mm f/1.4S

■秩父鉄道で20年ぶりに鉄道を撮る
そらく、20年ぶりに秩父へ行った。それも、鉄道を撮ることだけを目的にして。

鉄道を撮ることだけを目的に秩父へ行ったのは、1988(昭和63)年春のデハ100形電車引退直前の桜の季節に行ったのが最後だ。それ以降も秩父へはなんども出かけている。だがそれはいつも観光や子連れでのおでかけがおもだった。鉄道撮影に出かけたのは20年ぶりだ。いやはや、20年なんてあっという間だった。

■子どものころにやりたかったことをやってみた
「秩父鉄道リバイバルカラーの臨時急行列車が走る」。この知らせをきいたときに浮かんだのは、どうせなら子どものころにやってみたかった「大好きなNikon F2にポジフィルムを入れて撮ってみよう」という思いだ。

私の少年時代はF3が新製品として発売されていたのに、むかしからどういうわけかF2が好きだった。そして、昭和から平成にかけての鉄道を撮っていた少年のころには、Nikon F2は手に入れることができないでいた。

F2が好きだという執念のような思いだけは持続していたので、鉄道を撮らなくなって、成人して社会人になるころに、ようやく2台のF2が手元に集った。そして、少年時代には持っていなかった単焦点ニッコールレンズも、きちんとした三脚もいまならば手元にある。

とはいえ、いまやデジタル一眼レフのD2XとAi AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D IFが私の望遠撮影時の標準装備だ。こいつでならたいていの場所でもなんとかさまにできると思う。もちろんできあがりの画質も満足できるものだ。


でも……マニュアル車好きが運転を好むように、ときにはカメラを操作して頭を使いたいという思いがある。もちろん、それは趣味の写真だからだ。とはいえ、天候も危ぶまれたので直前まで逡巡した。じつは、撮影地も決めかねて前日夜は眠れなかった。そうして眠い目をこすってがんばって起床してみると空は雨。

ものすごくためらった。だが、ベルビア50ではなくベルビア100にして、いざというときは増感することに決め、デジタルカメラも「押さえ」で持って行けばいいじゃないか、と思いいたる。そう思うと気持ちのもやもやが晴れて来た。

そうしてさっそくカメラバッグにブラックとクロームのF2をつめ、Ai Nikkor 35mm f/1.4S、Ai Nikkor 50mm f/1.4S、Ai Nikkor 85mm F1.4S、Ai Nikkor 180mm F2.8S EDの単焦点レンズとGitzoの小さい三段三脚を持った。「Nikon F2にポジフィルムを入れて撮るぞ」という初志貫徹というやつだ。

これじゃあ、20年どころか30年前のカメラマンの装備だ。でも、D2Xとズームレンズ、サブのデジタル一眼レフという装備よりも、ずっと軽快な感じがするのがうれしい。

■いざ列車に乗り込んで
そうして西武池袋線の秩父鉄道直通列車に乗り込み、うとうとしながら車窓からロケハンをした。SLパレオエクスプレスの運転日でもあるので、すでに場所取りをするファンの姿も数多く見える。霧雨まじりの曇りなので、光線状態をあまり意識しないで撮影地が選べそうだ。そんなことを考えていたら電車は上長瀞の鉄橋を渡った。橋梁から荒川を見下ろすと雨が続いていて水量が多く、あまり河原には降りてみたい感じではない。

そこで、20年前に行ったことがあるけれど、記憶にまったくないべつの場所をめざすことにして、長瀞で列車を降りた。

【撮影データ】
Nikon F2 Photomic A/AI Nikkor 50mm f/1.4S/RVP100